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「ふっ、またつまらぬものを斬ってしまった。」 「いや切ってないだろ、切っては。」 宍戸がつっこむ。 「……ニュアンスがかすってたらセーフ! おっとぉ!もうこんな時間だ。休憩終わってるぜ!さぁみんな練習しがれコンチクショー。」 撫子が宍戸の背中をグイグイ押す。 それに連れられて他のメンバーもついてくる。 外に出たため撫子はKAITOヴォイスにチェンジ。 「んん゛…では行ってらっしゃい。 俺は椿崎さんの代わりに仕事をこなしますから。あと侑士君をしばらくの間借ります。後で返ますので。」 「持って行け。」 「ありがとうございます。」 「俺、物とちゃうで。」 忍足の言葉を無視し椿崎は忍足を連れて手洗い場と洗濯場に向かう。 きっちり仕事をしてからファン達にアクションを仕掛けるようだ。 「よし、終わりましたよ。侑士君。」 「…せやなぁ。」 「ではアクション開始です。良いですか?相づちを打ってくれるだけで良いですので。」 「おk把握や。ほな、」 「「行こか。」」 ダブル吐息。 破壊力はきっと計り知れない。ここにファン達がいないことが残念だ。 二人はファンが固まって観覧しているところに近づく。 二人が近づいてきていることに気付いたファンはさらに大きな声で絶叫した。 撫子は幹部よりも一歩後ろ、一般ギャラリーよりも一歩前の位置に居た文芸部の子にアイコンタクトを送り会長は誰だ?と問う。 「会長!!あの方です!作者にして、蒼の貴公子です!」 撫子のアイコンタクトに気付いた文芸部の子はさり気なく会長が誰かと伝えた。 GJ。と思った撫子はありがとうという妖艶な笑みをその子に送った。 顔を真っ赤にしてへたり込む女子。そして悲鳴を上げるファン達。 うん、可愛い。 そして会長は誰だろうと視線をやるとそこには撫子ドストライクの外見をした女子が、 身長143cm。 お目がぱっちり二重のお人形さんみたい。今にも折れそうな華奢な手足が制服から覗く。 今すぐ抱きつきたい衝動に駆られる。 この人にイジメられてたかと思うと全てを容認しちゃおうかな。 今だから言おう、ラブキャラに対しては基本ドMであると。 しかし今はクールになれ撫子。 このイジメ撲滅計画ファイルはタイミングが重要だ。今ここでバレたら今までの努力がパァ。 「蒼の貴公子、ですわね?」 鈴のような声で問う。 またこれが可愛らしい。 「ここではそう呼ばれているようですね。」 「ええ、お会いしたかったわ、こんな素敵な作品をありがとう。」 「いえいえとんでもない。」 「ところで…二つ聞いて宜しいですか?」 「何です?」 「忍足君との関係とその…頬…。」 ふむ、ここは腕のならしどころだ。 意味を多く含むような受け答えをして、妄想を駆り立ててあげようじゃないか。 上手く行けばKAITOは左になることが出来るかもしれない。 |
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