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順調に何事も無いようにいつも通りに練習が始まった。ただ違うのは撫子が居ずにKAITOが居る。後はギャラリーが居てそのギャラリーの視線の先には跡部ではなくKAITOが居ることだ。 KAITOがギャラリーの視線に気付いて手を振ると窓が割れんばかりの歓声が、…悪い気はしないよね。 KAITOに敗北中の跡部。分かり易く怒っている。 「お前ら休憩だ!KAITOとか言う奴、こっちに来い。」 跡部に呼び出しを食らった。 いつもなら逃げるが今回は面白そう。そんな理由で跡部について部室に入っていった。 面白そうな雰囲気を嗅ぎつけたレギュラー陣も部室の中に入っていく。 跡部とKAITOが向かい合う。 視線×8ある中で話すようだ。 「…お前、調子に乗ってんじゃねぇぞ。」 「へ?いったい何の事でしょうか?俺は別に。」 「お前が俺よりもメス猫どもに人気あることが気にくわねぇんだよ。」 「それは俺に言われても。俺にとっても不本意ですし。」 「あーん?自慢か?」 「いや、だって俺…女だし?」 「は?」 跡部を中心に滝と忍足以外の人の目が点になる。 「つーか、私撫子だし。」 「はぁあぁぁあぁ!?」 ウィッグをとる。 はらりと長い髪の毛が垂れてくる。 「おい…本当に椿崎かよ…。」 「これでも撫子DEATH★ ちなみにジャージは忍足からぺりました。また宍戸騙されたね。ぷっぷくぷー、ダッセー。滝は最初からって言うか跡部がスライドに写真を映したときから分かってたもんねー。」 「撫子やるねー、ほんと別人だよ。」 「滝に褒めてもらえた…純粋にっ!」 初めて滝に褒められた事に感激している。 その間に思考がフリーズしていた跡部が復活した。 「…―にくわねぇ。」 「何?」 良く聞き取れない。 「気にくわねぇ!なんで俺より人気なんだよ!」 「おこなの?激おこなの?激おこプンプン丸なの?まぁ、流石にKAITOがパンピにバレたのは計算してなかったよ? けどね、ちょっとKAITOは使えるって思ってしっかりファンサービスしてるし。この日のために下準備を頑張ったんだよ。」 計画を遂行したり、本を作ったり、不本意だけど妄想の対象になったり、 最後のは心の汗が出てきましたよ。 「アーン?お前、今日なにがしてぇんだ?」 「もちろん、勝つるため(ファンに)!」 撫子は器用にウィッグをかぶり直す。 「あぁ?ふざけんな!勝つため(俺に)だ!?やっぱ気にくわねぇ、始めから気にくわねぇ、お前をマネージャーにしたのは間違いだったか?辞めろ、今すぐ。」 「は、…ぁ?」 跡部は冷たく言い放し撫子を突き飛ばす。 撫子は二、三歩後ろによろめく。 状況把握が上手くできていない、 何故こうなった? 忍足の誘いと跡部の命令を受けてマネージャーを始めた。 間もなくしてイジメが始まった。 しかしテニスへの偏見も無くなりこれからみんなとバカやっていけると思った。 けどファンクラブからのイジメはエスカレート。 このままの状況が続いたら自分は不登校になってしまうかもしれない。 自分はファンクラブからのイジメから抜け出そうと翻弄して、 跡部に辞めろと言われた。 今ここ。 「おい、跡部。何言うとんや?撫子は―――。」 「…気にくわねぇ、ねぇ…気にくってたまるか!私だってなぁ、苦労してんだよ!!テメェのその態度が気にくわねぇよクソがぁ!!」 |
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