青春Destroy | ナノ


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「オーケー、オーケー君達はそんな人種だと把握した。…もしかしてその小説、配布してる?」

「配布なんて言葉使わないで下さる!?跡部様ファンクラブに在籍するには納税は義務なのですから!幹部の方達に納税しているわよ!これがあるから私達文芸部は他の人よりも一歩前で跡部様達を見ることが出来てるの!なにもしてない貴女なんかが跡部様達の近くに居て不愉快なのよ!」

喋る喋る。撫子が一番知りたかった情報もすんなりと口にしてくれた。

「へー…賄賂っすか。」

「違うわよ!義務だって言ってるでしょ!?
貴女、知らないでしょうけどここの文芸部はレベル高いの。その辺に売ってる小説よりもね。幹部の方達も私達の書いた小説を読んで喜ぶの。ギブアンドテイクよ。
……まさか跡部様達にバラすつもり?もしバラそうなんて思っているのなら…卑怯な手だけど家の力を借りて貴女を地獄に引きずりおろしてやるわ。」

「まっさかぁ!跡部達にバラそうなんて事しないよ。
逆に貴女達がやってることを私はリスペクトするよ。」

「何…を言ってるの?」

「まぁまぁ、とりあえずこれ読んでよ。私はこれを読んでもらうために此処に来たんだから。」

「……なによこれ。」

「一つは鳳と宍戸のマンガ、一つは忍足が主人公の小説。」

撫子は二つの原稿を渡す。
部員は恐る恐る原稿を受け取り部員みんなで読み始める。

暇になってしまった撫子。
手持ち無沙汰なためそこにある誰かが書いた小説を読むことにした。


静かな時が流れる。

一足先に読み終わった撫子。

ハイ、忍跡でした。乙でした。
クォリティは高いんだけど、雰囲気小説ですね。表現が……遠回しすぎる。高尚な表現とでも言いたいのだろうか。しかしそれでは重要な部分にモザイクがかかってる感じ…。
ホワイトストーンさんの小説の反対だね。現実味が無さ過ぎる。まぁ…これはこういう作品だと思えば良いものだね。
でもここの台詞は「せやけど…俺…自分の気持ち、どないして抑えればええか分からん。なぁ跡部…俺、」とストレートにした方が良いと思うのだが。


撫子が妄想を繰り広げているとバサリと原稿が机の上に置かれる。
みんな読み終わった様だ。

「お?読み終わったのかい?」

ニコニコと女子達の返答を待つ。
しかし女子達は動かない。

あれ?なんかメガネとデジャヴ。

一人の女子が撫子に近づき手をガシッと掴む。

「ヒィ!?」

さらに43とデジャヴ。

「暴言を吐いてすみませんでした!あ、あんな作品見たこと有りませんでしたわ!心に台詞の一つ一つが刺さりました!」

一人の女子をきっかけに他の女子達も撫子に近付く。

「こんな素敵な作品を書けるなんて…何故文芸部に入って下さらなかったの!?」

先程の態度とは一変して撫子に対してとてもリスペクト的な態度である。
ギャップが激しすぎて撫子はたどたどしい返答しか出来ないでいる。

「……いや…あの…初めは文芸部に入ろうとしたんだけど…忍足に頼まれて…跡部との賭けに負けまして…。」

「何ですって!?では貴女が文芸部に入れなかったのは忍足君のせいですの!?」

「あー…はい、そうなります…ね。」

「何てこと!?忍足君は実際に貴女の書いた小説の様になればいいですわ!」

「ん?君達は忍足…好きなんだよね?そんな悪く言っても良いのかい?」

「忍足君がナイト位置にいるのならば貴女はクイーンですわ!この様な作品を作れる貴女の方が格が上ですわ!」

もしかしたらキングの跡部と同列?
やったね撫子。チェスではキングより重宝されるよ。

「…ソウデスカ。」

身の移りの速い女子に恐怖を覚えた撫子だった。

「ですから!貴女のことを椿崎様って呼んでも宜しいですか?」

「いや普通に名前で呼んでくれたら…。」

「では撫子様ですね!」

意地でも様はつけたいようだ。

「モウ、勝手ニシテクダサイ。」

とりあえず文芸部を味方に付けたかった撫子は計画通り…と言えば計画通りなのだが…上手くいきすぎて怖いと感じていた。

「撫子様!この作品達を冊子にして幹部の方々にお配りしても宜しいかしら!?」

「いいよーむしろそうするつもりだったし。出来ればファンクラブ全員に配ってくれない?費用とかは私が出すし。」

「いいえそんな!費用など全て私達が負担しますわ!」

「ほんと!?ありがとう。
でも二つだけ約束して。一つはこれを書いたのは私だと言うことは隠すこと時期を見て私だと言うから。そうだねぇ…PNは通りすがりさんにでもしといて、もう一つはテニス部関係者には絶対見せないこと。」

「前者は了解しましたけど…後者は…。」

「二次創作で一番怖いことは関係者にバレる事なのだよ。まぁ、君たちが今まで書いてきたものが部員にばれていないからこのままの現状を維持してくれたらいいよ。」

「了解しましたわ。」

「もしこの二つを守ってくれるのならばこれからずっと私の書いた作品を見せてあげるから…ね?」

「!?命に代えても守らせていただきます!」

「(うん、いい子たちだ。)」

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