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数日後、宍戸復讐用鳳宍本(R−18)が描き上がる。 (でっできたぁ!!) それは授業中、五時間目の事であった。 授業中、どうのようにしてペン入れやトーン、ベタ塗りの処理をしたかは禁則事項。 鳳にメールしよ。 出来たら一番に見せる約束してるしな。 『例のあの本描き上げたので読んでくれる?出来れば次の時間サボって。』 送信。 数十秒後。サイレントモードにしていたケータイが光る。返信がきたようだ。 『はい、分かりました。では部室で読みます。持ってきて下さい。』 部室…ね。把握。 授業が終わり忍足に見せる。 「おい忍足。アンタBL平気だったよね!」 「……せや。」 「ちょいこれ読んでくれない?」 ごっそりと原稿を忍足に渡す。 「分厚っ!?何なんこれ!」 「俺の力作であり超大作(全102ページ)。宍戸復讐用鳳宍本(R−18)!笑い有り感動有り、ちょっぴり官能的な。 そんな本に仕上がっております。」 「おまっ最近よう授業中になんかしょーると思っとったら、こんなん描いとったんか!しかもR−18て…宍戸哀れすぐるやん。」 「私に暴言吐いた罰だ。ちょっと遅くなったけどな。」 「…でも今は仲直りしたやん。」 「やると一度言ったら私はやります。ちょっと次の時間サボって読んできて。部室で。」 「……了解。」 「部室に行ったら鳳が居ると思うから先に鳳に見せてあげてね。」 「…俺パシりやん?撫子が持って行けばええんとちゃう?」 「忍足にも読んで欲しいんだって!リアルの声は大切なんだから!ほーら出来立てほやほやの原稿だよー。」 「あぁもうインク臭!」 忍足が原稿をプラプラさせる。なんて乱雑な扱い。 「原稿を汚したり折ったりしたらその時は酷い目に遭わせてやる。主に紙面上で。」 「…………………。」 忍足の顔が青ざめる。 「では行ってきたまえ。」 「行ってくるわ…。」 忍足はトボトボと重い足取りで部室に向かう。 授業が始まり数十分後。 撫子のケータイが光る。 誰からだ?差出人を見ると鳳からのメールだった。 『先輩…最高です!話が感動出来ました!宍戸さんのあの台詞心に染みました!(中略)素敵なもの読むことが出来て嬉しかったです。ありがとうございました。』 文面からして好評だ。 鳳が感想を送ってきたという事は忍足が読んでいるのだろう。 授業が終わり忍足が教室に戻ってきた。 「…………………。」 撫子に近付くも下を向いてなにも言わない。 「なんか言えよ。」 |
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