青春Destroy | ナノ


048


数日後、宍戸復讐用鳳宍本(R−18)が描き上がる。

(でっできたぁ!!)

それは授業中、五時間目の事であった。
授業中、どうのようにしてペン入れやトーン、ベタ塗りの処理をしたかは禁則事項。

鳳にメールしよ。
出来たら一番に見せる約束してるしな。

『例のあの本描き上げたので読んでくれる?出来れば次の時間サボって。』

送信。
数十秒後。サイレントモードにしていたケータイが光る。返信がきたようだ。

『はい、分かりました。では部室で読みます。持ってきて下さい。』

部室…ね。把握。

授業が終わり忍足に見せる。

「おい忍足。アンタBL平気だったよね!」

「……せや。」

「ちょいこれ読んでくれない?」

ごっそりと原稿を忍足に渡す。

「分厚っ!?何なんこれ!」

「俺の力作であり超大作(全102ページ)。宍戸復讐用鳳宍本(R−18)!笑い有り感動有り、ちょっぴり官能的な。
そんな本に仕上がっております。」

「おまっ最近よう授業中になんかしょーると思っとったら、こんなん描いとったんか!しかもR−18て…宍戸哀れすぐるやん。」

「私に暴言吐いた罰だ。ちょっと遅くなったけどな。」

「…でも今は仲直りしたやん。」

「やると一度言ったら私はやります。ちょっと次の時間サボって読んできて。部室で。」

「……了解。」

「部室に行ったら鳳が居ると思うから先に鳳に見せてあげてね。」

「…俺パシりやん?撫子が持って行けばええんとちゃう?」

「忍足にも読んで欲しいんだって!リアルの声は大切なんだから!ほーら出来立てほやほやの原稿だよー。」

「あぁもうインク臭!」

忍足が原稿をプラプラさせる。なんて乱雑な扱い。

「原稿を汚したり折ったりしたらその時は酷い目に遭わせてやる。主に紙面上で。」

「…………………。」

忍足の顔が青ざめる。

「では行ってきたまえ。」

「行ってくるわ…。」

忍足はトボトボと重い足取りで部室に向かう。

授業が始まり数十分後。
撫子のケータイが光る。
誰からだ?差出人を見ると鳳からのメールだった。

『先輩…最高です!話が感動出来ました!宍戸さんのあの台詞心に染みました!(中略)素敵なもの読むことが出来て嬉しかったです。ありがとうございました。』

文面からして好評だ。
鳳が感想を送ってきたという事は忍足が読んでいるのだろう。

授業が終わり忍足が教室に戻ってきた。

「…………………。」

撫子に近付くも下を向いてなにも言わない。

「なんか言えよ。」

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