青春Destroy | ナノ


002


日にちは流れ、初めての登校。
そして絶句。

「……………デカァ…。三次元にもこんな学校が存在したんかぁ…。とりあえず職員室行こ。」

すんなりと職員室についた。どんなに広くても地図があったらたどりつきますよね。迷子になってイケメンに会うというフラグは存在しなかった。

「失礼します。今日から通うことになってる椿崎です。」

中を除くとなんだか職員室と言うよりオサレなオフィスと言う感じだ。教職員の中にジャージを着ている先生が見当たらなかった。オサレなオフィスにオサレ服な教職員。こんなところで働いてみたい。むしろなんか顔面偏差値が高い気がする。東京だからなのか。東京って怖い。とか一通り思考してから職員室に居た教師に話しかけた。

「俺が担任だ。よろしく。」

「よろしくお願いします。」

「にしても長い靴下だなぁ。」

「いけませんでしたか?この学校スカート短くて足さらしたくなかったんで履いたんですけど…。」

早い話絶対領域を確保している制服だ。

「大丈夫、大丈夫服装に対して校則無いから。そろそろ三年H組の教室行こう。そこが君のクラスになる。」

撫子は担任に着いて移動した。撫子が教室の中にはいると女子?…大きいね…ヒソヒソ、と聞こえてきた。言われ続けてきた言葉だったから気にはしないが、気持ちのいいものではない。

「席につけー、転入生を紹介するぞ。」

「岡山県の学校から来ました椿崎撫子と言います。田舎出身なので方言が出てきてもスルーしてくれると嬉しいです。こんな私ですがこれからよろしくお願いします。」

「椿崎の席は一番後ろの窓側な。」

撫子は言われた席へと移動した。授業中落書きをするにはもってこいの場所だ。先生ありがとう、そしてありがとう。とりあえず隣の席の男子に挨拶しよう。

「よろしくおねがいします。」

「よろしゅう。俺は忍足侑士や。」

「忍足君、大阪の人なの?」

「小学校までは大阪や。」

「…方言……。」

「大阪に誇り持っとんや!それに方言ってなんかかっこええやん?」

方言について暑く語る忍足侑士だった。厨2真っ最中なのだろうか。自分は他の人とは違う。みたいな。

「そっすね…あ、一時間目って何の授業?」

「あぁ、あの先生や。でも授業はせんと思うでぇ。」

「へ?なんで?」

「先生!次の時間先生の授業せずに椿崎さんの質問タイムにしても良いですか?」

クラスメイトの誰かが叫ぶ。

「良いわけあるか!……今回だけだぞ。この学校に転入生は珍しいからな。」

沸きだつクラスだった。一方、撫子は冷や汗ものである。初対面の同級生に対して、1対40位で相手にしていかないといけないと思うと、実に恐ろしい。

「え、なんで!?」

「そらそうやろ。この学校に途中編入する学生ってほぼ0やもん。」

「好きできたんじゃねーよ!」

忍足にさりげなく助けを求めたがそれは不発に終わってしまった。そして撫子の周りに群がるクラスメイト。お手柔らかに頼みます。と撫子の願いはそれだけだった。

「椿崎さんって背が高いよね!いくつ?」

「170cmは超えてるよ。」

「へぇ、おっきいね!じゃあ前の学校では何の部活に入ってたの?」

「文芸部だよ。」

「文芸部…やて…?」

ちょくちょく会話に入ってくる忍足。

「だったら、この学校でも文芸部に入るんだ?」

「うん、そのつもり。」

「背高いのに、勿体無いなー、バレー部とか入らない?」

「運動も嫌いじゃないけど、もう3年でしょ?今から入ってもなぁ、と思って。」

スミマセン嘘です。創作の時間を運動に回したくないだけです。

「ねぇねぇ、氷帝ってテニス部で有名でしょ!椿崎さんってテニス部の誰が好き?因みに私は跡部様!皆にファンクラブあるんだよ!ね?忍足君。」

「ん?あぁ、せやなぁ。」

クラスメイトの誰かが言った言葉に撫子はフリーズした。先程まで適度に笑みを浮かべていたが、現在は眉をひそめて声を震わせて言った。

「テニス部…無理、生理的に受け付けない。」

「え?何で…。」

「というよりテニスをしてる人無理。私ちょっと小学校の頃、テニスしてる人といざこざがあって…。」

「そうなんだ…。なんかごめん。」

「いや、私も空気壊す様な事言ってごめんね。」

「椿崎さん、それ部長には言わん方がええでぇ。」

「言わない、言わない。そもそも関わるつもりない。」

「……さよか。」

一時間丸々質問攻めになった撫子。疲れ切っていた。つかの間の休憩時間。クラスメイトは質問しきったのか撫子から離れていった。

「疲れた…私のライフはもうゼロよ…。」

「お疲れさん。疲れとるとこ悪いんやけど俺の質問に答えてくれへん?」

「なに?」

「南の反対は?」

「は?何言ってんのいきなり…。」

「ええから。答えてや。南の反対は?」

「…北。」

「西の反対は?」

「東。」

「右の反対は?」

「左。」

「攻めの反対は?」

「受け…………………あ゛!?」

しまった。しまった…しまった!なんて簡単に引っかかてしまうんだ。いつもなら、守り、と即答できたはずなのに。あれか、あれなのか。疲れ切って頭がうまく回転しなかったからとでも言うと言うのか!糖分が足りないんだけどぉお!ハッ!?今から「柔道とか空手とかだったら受けって言うじゃん?」とでも返してしまおうか?いや、もう時間が空き過ぎた。ただの言い訳でしかねぇ!しかも「あ゛」って言ってしまった。今更すっとぼけることが出来ない!

「ダウト。」

忍足はニヤニヤとした笑みを撫子に向けた。撫子は焦りながら最低限のお願いをする。

「忍足君…どうか…どうか御内密にッ!」

「良かったぁ。この学校こっちの人全く居らんてつまらんかったんやぁ。色んな意味でよろしゅうな。」

「……へ?忍足君…君はこっちの人だったんだ。残念なイケメンだね!私も転入初日からこっちの人を見つけるなんて思っても見なかった!嬉しいよ!これからは親しみを持って忍足と呼ぶことにするよ!」

まさか隣になった男子生徒がオタクだとは思わなかった。転入先でこんなにスムーズにお仲間に出会えるなんて、これはもう神様に感謝するしかなかった。ありがとう、神様!毘沙門天の思し召し!

「名前やないんかい。俺は撫子って呼ばしてもらうわ。」

「どうぞお好きに。」

「ジャンル教えてもらってもええ?俺はアニメ、漫画、ゲーム、小説、コス全般の見る専や。」

「私もだいたい一緒。でも創作もするしコスもする。あと笑顔動画にうpしたり…やれること全部やってる。」

「そうなんや!投稿しとるって凄いなぁ、笑顔動画で探してみてもええ?名前なんなん?」

「本名。撫子でやってるよ。」

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