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※この物語はフィクションであり、登場する人物・団体・組織名・ある特定の属性を持つ三次元の女子とは一切関係ありません。 ある中学の修了式後。 そこで、女子生徒と先生との言い争いがおきていた。田舎の学校と都会の学校が交流を深めることで両校にメリットが生まれめっちゃいいことじゃん?ちょっと試してみたいんだけど。ちょっと、誰か生贄になってくれないかな?そこの女子!そこの女子の椿崎撫子ですが断固拒否します。←イマココ 「椿崎、プロジェクトの一環の交換学生として氷帝に行ってくれ。」 「嫌です。行きたくありません。」 「そんな事言わずに、な?」 嫌だ、とはっきりと言っている女子に対して食い下がる教師。そしてその先生の熱意のある姿勢に対して首を縦に振らない撫子。 「何で私なんですか!?」 「だって君がこの学校で一番理数系が得意なんだもん。」 「だもんじゃないですよ。先生もう三十路過ぎですよね。聞いてるこっちが恥ずかしいですよ。それに私は理数系が良くても文系が壊滅的ですから!先生も知っているでしょう!」 「大丈夫だ、お前にいって欲しい学校は理数系に力を入れてるから。」 先生は笑顔で親指をグッとたててに撫子に向けた。壊滅的と言う言葉を受けてさえも先生は一向に引こうとしない。その強引さ。嫌いではない。が、TPOを考えて発揮してくれたらの事。 「禿がすぞ、髪を。」 「やめてくれ!」 先生はとっさに髪を両手でかばった。はやり、男性は髪の毛を死守しようとするのか。それは悲しい性である。 「何でそんなに嫌がるんだ。お前に行かしたい学校は都会、だから一人暮らしも出来る。お前ぐらいの歳のヤツは一人暮らししたい盛りだろう?授業料も試験的なプロジェクトと言う事で無料。高校もそこで優秀な成績を取っていたらエスカレーター式で行ける。いい所じゃないか。お前の親御さんは賛成していたぞ?」 「どうして先に親に話をしてるんですか!私の意見はどこ行ったんですか!?」 「仕方ないだろう。適任者として先生は椿崎を推したかったんだ。それに…。」 「それに?」 「適任者を推薦したら特別手当が出るって校長が…。」 「生徒を金で売ったんですか!?」 「失礼だな。勿論、先生の生徒である君はとても大切だ。でも先生にお金をくれる学校はもっと大切だ。」 「清々しいほど欲望の塊ですね!けど私だって欲望の塊になりますよ!?この学校で友達と一緒に卒業したいんです!友達と離れたくないんです!」 当たり前だ。小学校から、はたまた幼少期の頃からの友達と一緒に楽しく今まで生活を送ってきたこの学校で卒業したいと思う気持ちはごもっともである。しかし、先生はそんな撫子の欲望も考慮したうえでその話を推し進めているのである。大人との感覚と子供との感覚では相容れない結論から生まれたこのひと騒動。 「撫子〜まだぁ?」 職員室に行ったきり戻ってこなかった撫子を心配して職員室までやってきた撫子の友達。 「おぅ!ちょうど良いところに来た。椿崎を説得してくれねぇか?内申あげるぞ。」 先生は先手必勝と言わんばかりに撫子の友達を仲間に引き入れようと声をかけた。 「ちょっ先生止めて下さいよ。」 「椿崎、これが取引ってやつだ。」 「大人って汚い!こんな先生に惑わされないで!私と一緒に卒業したいよね!?」 「あー…えっと私は撫子が氷帝に行くの賛成なんだよね。」 友達と思っていたのは撫子だけだったのか。友達は撫子が東京へ行ってしまってもいいと言う。 「ほーら椿崎それ見たことか!」 「絶望したぁああああ!!」 「先生、ちょっと撫子かります。説得してみます。」 「頼んだ!」 友達は撫子を連れて先生から離れた。 「なんでそんな事言ったんよ。いっぺん死んでみる?」 撫子は友達を睨む。今にも血の涙を流してしまいそうだ。 「ちょガン飛ばさんで、あんた目つき悪いんじゃけん。よく考えて、氷帝はどこにあるん?」 「…東京。」 それがどうかしたのかよ。とふてぶてしく答える撫子。 「コミケとか大きなイベはどこでやるん?」 「東京。」 「良い?一人暮らししたら親が居らん。パソコンもやり放題、アンソロだって隠さなくても良い、東京に居ればオフ会だってし易い。最高じゃろ!」 オタクにとって一人暮らしはとても快適空間。東京は毎週毎週、毎日でも楽しいイベントがいっぱい。どのイベントに参加しようか、とか贅沢な悩みを抱えることもできる。そんな魅力が撫子はこれから先約束されていたのだ。何故、撫子は気づかなかったのか。しかし今、友達のおかげで気づくことが出来た。流石持つべきものは友達ですね。 「そっか…!私行くよ!先生、私行きます。氷帝!」 撫子は叫んだ。良い笑顔を振りまいてさっきの発言を撤回した。 「本当か!だったら校長に伝えに行ってくるからな。詳しくは書類を渡すからそれを見てくれ。」 先生は教室から出て行った。 「よぉし、イベの前日には泊まらせてな。」 友達が一仕事終えた様な爽やかな笑顔で言い放った。 「おまっ、それが目的だったろ!?」 「計画通り!今更拒否権は認めないぞぉ!」 「計算してないぞぉおおおお!」 撫子は二年間世話になった学校を去ることになった。 |
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