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時刻は5時過ぎ。 撫子は一つ提案する。 「ねぇ、中庭行ってみない?」 「…何でじゃ?」 「ここの中庭綺麗なんだね。背景にするにはもってこいなんだ、ね?忍足。」 「せやなぁ…。行くか?」 「確かに他の背景も有るならば、撮ってみたいですね。」 「学校内も探検したいな。」 「じゃ、行くかの。」 五人は中庭へと移動する。 「着いたー、着いたでぇ。」 「コスして学校内歩くとか初めてだ!なんかテンション上がる。」 「あー、文化祭で着よう思うたら着れるでぇ。」 「MAJIDE!?じゃ今度は跡部とか巻き込もうぜ!」 「せやなぁ…何着さそか。」 ちょっと先の文化祭の話で盛り上がる。 顔面偏差値の高いここの学校の生徒が一斉にコスをしているなんて、と想像したら滾るしかないで候。 「「「………………………………………………。」」」 撫子と忍足は、豪華かつ煌びやかな中庭に到達して雑談。 一方立海メンバーは固まっていた。 こんな日本離れした中庭初めてっっ。 という心情。 「……ここ学校かの…。」 「そう、…ですね。」 「俺達は今日何回驚けば良いんだ?」 「参謀にも分からんことがあるんじゃの。」 仁王が弱みを握ったかのようにニヤリと笑う。 「…………………………。」 柳が黙ったまま開眼。 柳生がシャッターを押す。 今の仁王がニヤリと笑ってもコスをしているのでがくぽが笑っているようにしか見えない。 つまりシャッターチャンス。 良い絵が取れた。by柳生 後で覚えていろ二人とも。by柳 「あまり暗くなっていませんね。いい感じの夕暮れです。撮りがいがありますね。」 柳生がカメラの設定をいじる。 「ペテンさん!撮ろう。柳生君撮って下さいぃ!」 二人はまた触れ合うように、絡み合うように被写体となる。 そこには中世ヨーロッパの雰囲気が仁王から撫子から醸し出される。 柳生はシャッターをきりながら疑問に思う。 ペテンがここまでの表現力を持っている事は肯けるが、撫子がペテンと同等のレベルで雰囲気が醸し出されていた。 「撫子さんはこの様な撮影会の経験は有りますか?」 「いんや無いよ。今回が初めて、…イベント参加なら地元でやったこと有るけど。」 「そうですか。それにしても撮られなれてる感じがするのですが…?」 「あー…まぁ、色々ね…あったのですよ。この身長だとね。」 三人はずっと写真を撮り続けている。 見学者二人も大人しく見学している。 ピロリーン―― 「ん?」 撫子はなにかの音が聞こえた気がした。 「どうしたんじゃ?」 「いやなんか柳生君とは別の方からシャッター音が聞こえたような?」 「…俺には聞こえんかったぜよ。」 「じゃあ、空耳か。……米か米酒か飲ま飲まイェー!」 「……懐かしいの…プリ。」 「…さっきから気になってんだけどさ……ピヨとかプリとかどういう意味?」 突然仁王のアイデンティティにつっこむ撫子。 撫子の言葉に反応した他三人。 みんな知りたいのだろう。さっきまで仁王と撫子を同時に見ていた目が仁王に集中する。 「………プピーナ。」 「ケッ所詮厨2かよ。」 「厨2か。」 「厨2ですね。」 「厨2やん。」 「厨2じゃなか!つーか去年まで俺らもリアル中2だったぜよ!」 「……フッ。」 撫子は鼻で笑う。 「何じゃ!?」 「悪いなんて言ってないさ、たださぁ……変な言葉使ってる時点でアウトだっつーの。十分厨2だ。 そんで否定すんなし、肯定しとけし。そんな私は永遠の14歳だと広言してる。」 カッコいい(笑)ことを言っているが撫子はKAITOの格好をしている。KAITOが痛々しいことになっている。 そしてこの後四人で散々仁王をフルボッコにして撫子は時計を見る。 いつの間にか6時を過ぎていた。 |
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