青春Destroy | ナノ


042


「っしゃ、着替えてメイクもバッチリぜよ。」

そこには立海テニス部レギュラーの仁王雅治ではなく。人気レイヤーのペテンの姿があった。
先ほどの仁王よりも色気三割り増し。メイクの底力を見た気がした。

「…流石詐欺師。」

「…参謀それは誉めてるんかの貶しとんかの?」

「両方だ。」

仁王のがくぽは完璧で否定するところなど無いのだが、ペテンが仁王だと解らなかったことがよほど悔しいらしい。

「プリっ。」

仁王は変身。
柳生もカメラの整備は終わった。
後は撫子の登場を待つだけとなった立海メンバー+再びアウェイ忍足。



時間を少し遡って、こちらは撫子と忍足がコスの準備をしているシーン。

「忍足ちょっと衣装とウィッグを出して並べて。あと化粧品を出しといて。」

撫子は服を脱ぎながら指示する。

「りょー。」

忍足は黙って従う。
次々とキャリーから衣装、小道具を出していく。
KAITOの衣装、カイトの青色のウィッグ、ピンクのウィッグがキャリーから見え隠れしている。

…………ピンクのウィッグ?


「忍足?そのピンクのウィッグ、何?」

服を脱ぐ手を取め、忍足に聞く。

「うぃ?」

忍足の背中に冷や汗が流れる。
撫子が大きなキャリーに目をやるとそこにはルカの衣装が、

「何でKAITOの衣装が有ってルカ姐さんの衣装も有るの?って聞いてるの。」

「マイマネーで買いました。出来ればルカ姐さんのコスもしてくれへん?」

「…まだ諦めてなかったのかよ。呆れた…キャリーがデカかったのはこのせいか。別に着ても良いけどペテンさんとのあわせが終わってからね。」

「ほんまか!?おおきに!」

忍足は道具を出し終えたようだ。
同じくして撫子はTシャツ姿になっている。

「よし、ちょっとさらし巻くの手伝え。」

「はいはい。」

撫子が壁に手を付き踏ん張って忍足がさらしを引っ張る。

「はぁ…はぁ…ゆう…ゆう、し…ない…苦…っ、あっ で…でる(内臓が)って言ってるだろ が!!!!」

テラシエル。


「…撫子。やると思っとったけどやめてくれへん?」

「ごめんごめん、ここでやんないともうやる機会無いような気がしてさ。」

「俺の理性が…。」

「んま!私にまで欲情するわけ?欲情するのは二次元までにしてくんね?
よっし、次は衣装を着て……忍足、ペテンさんの所に先に行っといて!」

「…なんでなん?」

「変身中の姿は見られたくないからだ!」

「えー…。」

「もう一度言う。出て行け。」

「かしこ、かしこまりました!」

撫子の言うことを聞かずに無事で済んだことのない忍足。
忍足が出て行って、撫子はKAITOの衣装に着替えメイクをしてウィッグを被る。

「おっけーおっけー、完成。……KAITOってつり目だったよね?」

撫子の目つきの悪さをメイクで誤魔化しても限界が有るようだ。

「…しっかしこの衣装クォリティー高いなぁ…。高そ。
よし、みんなの所に行こう!……ただ登場するのは面白くないよね。フッフッフッ…。」

誰もその様なことは頼んでいないのだが。
たんに登場することは撫子のポリシーに反するようで、客サービスがよろしいようで。
扉の前まで来た撫子、扉をほんの少しだけあけて中をうかがう。

すでに仁王はがくぽを演じていた。

「うぉぉおおお!!色気ぱねぇ…!写真で見るよりもやっぱ色気5割増し?やっべー…ほんと私なんかがKAITOでペテンさんの隣に並んじゃってもいいのかな…。
……うん、おkおk。悩んでも仕方ない。つーか仁王と仲直りできてよかったぁ…もし仲違いしたままだったらこの撮影会も中止だっただろうし。あのペテンさんと友達……良いっ!昔の事もいい思い出に昇華したな。お気楽な俺の脳内GJ。よし行こう。私はKAITO私はKAITO俺はKAITO…俺はKAITOだ!!」


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