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「っしゃ、着替えてメイクもバッチリぜよ。」 そこには立海テニス部レギュラーの仁王雅治ではなく。人気レイヤーのペテンの姿があった。 先ほどの仁王よりも色気三割り増し。メイクの底力を見た気がした。 「…流石詐欺師。」 「…参謀それは誉めてるんかの貶しとんかの?」 「両方だ。」 仁王のがくぽは完璧で否定するところなど無いのだが、ペテンが仁王だと解らなかったことがよほど悔しいらしい。 「プリっ。」 仁王は変身。 柳生もカメラの整備は終わった。 後は撫子の登場を待つだけとなった立海メンバー+再びアウェイ忍足。 時間を少し遡って、こちらは撫子と忍足がコスの準備をしているシーン。 「忍足ちょっと衣装とウィッグを出して並べて。あと化粧品を出しといて。」 撫子は服を脱ぎながら指示する。 「りょー。」 忍足は黙って従う。 次々とキャリーから衣装、小道具を出していく。 KAITOの衣装、カイトの青色のウィッグ、ピンクのウィッグがキャリーから見え隠れしている。 …………ピンクのウィッグ? 「忍足?そのピンクのウィッグ、何?」 服を脱ぐ手を取め、忍足に聞く。 「うぃ?」 忍足の背中に冷や汗が流れる。 撫子が大きなキャリーに目をやるとそこにはルカの衣装が、 「何でKAITOの衣装が有ってルカ姐さんの衣装も有るの?って聞いてるの。」 「マイマネーで買いました。出来ればルカ姐さんのコスもしてくれへん?」 「…まだ諦めてなかったのかよ。呆れた…キャリーがデカかったのはこのせいか。別に着ても良いけどペテンさんとのあわせが終わってからね。」 「ほんまか!?おおきに!」 忍足は道具を出し終えたようだ。 同じくして撫子はTシャツ姿になっている。 「よし、ちょっとさらし巻くの手伝え。」 「はいはい。」 撫子が壁に手を付き踏ん張って忍足がさらしを引っ張る。 「はぁ…はぁ…ゆう…ゆう、し…ない…苦…っ、あっ で…でる(内臓が)って言ってるだろ が!!!!」 テラシエル。 「…撫子。やると思っとったけどやめてくれへん?」 「ごめんごめん、ここでやんないともうやる機会無いような気がしてさ。」 「俺の理性が…。」 「んま!私にまで欲情するわけ?欲情するのは二次元までにしてくんね? よっし、次は衣装を着て……忍足、ペテンさんの所に先に行っといて!」 「…なんでなん?」 「変身中の姿は見られたくないからだ!」 「えー…。」 「もう一度言う。出て行け。」 「かしこ、かしこまりました!」 撫子の言うことを聞かずに無事で済んだことのない忍足。 忍足が出て行って、撫子はKAITOの衣装に着替えメイクをしてウィッグを被る。 「おっけーおっけー、完成。……KAITOってつり目だったよね?」 撫子の目つきの悪さをメイクで誤魔化しても限界が有るようだ。 「…しっかしこの衣装クォリティー高いなぁ…。高そ。 よし、みんなの所に行こう!……ただ登場するのは面白くないよね。フッフッフッ…。」 誰もその様なことは頼んでいないのだが。 たんに登場することは撫子のポリシーに反するようで、客サービスがよろしいようで。 扉の前まで来た撫子、扉をほんの少しだけあけて中をうかがう。 すでに仁王はがくぽを演じていた。 「うぉぉおおお!!色気ぱねぇ…!写真で見るよりもやっぱ色気5割増し?やっべー…ほんと私なんかがKAITOでペテンさんの隣に並んじゃってもいいのかな…。 ……うん、おkおk。悩んでも仕方ない。つーか仁王と仲直りできてよかったぁ…もし仲違いしたままだったらこの撮影会も中止だっただろうし。あのペテンさんと友達……良いっ!昔の事もいい思い出に昇華したな。お気楽な俺の脳内GJ。よし行こう。私はKAITO私はKAITO俺はKAITO…俺はKAITOだ!!」 |
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