青春Destroy | ナノ


たんぽぽオムライス


「あれ?椿崎じゃん、なんで立海に居んの?」

友哉が珍しく放課後まで学校で過ごしていて、帰ろうとしたときに立海の制服でない女子生徒がテニス部の方から歩いてきた。よく見て見るとそれは撫子で、知り合いだった友哉は話しかけたのである。

「ん?…おぉ。友哉君ではありませんか、お久しぶりだねー。ちょっとテニス部関係でパシられに来た帰りなのだよ。具体的には書類を届けにね…ファックスで送ればいいものを…ッ!」

「メンドクセーよなマネって…俺も幸村にパシられたことあるから分かるぜ。」

「だよねー!友哉君をパシることが出来る精市君マジ怖い!って言うかさー、友哉君、ちゃんと飯食ってるかね?」

「おいおい、久しぶりに会ったと思ったらいきなりそれかよ。椿崎は俺の母親か!」

「いや、違うけど…蔵さんからな、君の事を聞いていたのだよ。いやー…世間って狭いね。交換転校生お疲れ様だよ。」

「お前って、なんでそんなに交友関係広いんだよ…。」

「日本中にオン友なら居るぜ?たまたま蔵さんたちとはオフでの面識があるだけでな!で、栄養は摂ってるかね?」

「……摂っていると言ったら嘘になるが、摂っていないと言っても嘘になるぜ!」

「…つまりは、また飯での栄養は摂ってない、と。」

「あぁ、そうさ!親は出張で飯は無し!」

「少しは自分で作る努力をしてあげて!」

「俺がそんなことしてみろ、家が倒壊するぞ。」

「ごめんなさい。あー…だったら作りに行ってあげようか?」

「え……勘弁してくれ。」

「何故だ!そこはマジで!?嬉しい!って言うところだろ!?」

「お前作るのってよ!めちゃくそ大きいやつを作ってみた、とかそんなんばっかりじゃねーか!」

「ぐ…否定できない……。しかし、今回は忍足の命を懸けてもいい位まともなのを作ってみせるよ!」

「そこは自分の命じゃねーのかよ…。ま、食えんなら良いや。俺ん家、今卵位しかねーぜ?」

「それがあればどうにかなるから大丈夫!」

撫子は友哉と言う実験台を手に入れた!

二人は友哉の家を目指していった。そして、到着。
撫子はリビングについた瞬間友哉宅のパソコンの電源を入れた。

「ってオイ!俺の家に来ていきなりそれかよ!」

「いやいや、作り方をおさらいしておこうかと思いましてな。立ち上がったら笑顔動画にログインしておいてよ。私は下準備してくるから。」

「頼んだー。」

撫子は速やかに台所へ。そこはとてもきれいに片づけられていた。いや、最近使われている気配が無かった。そして冷蔵庫の中を拝見。

「えっとー、卵と米もあるし、調味料もある。バターもとりあえずある。よし、いける。」

撫子はとりあえずお米を炊く。時間もないし、どうせ炒めるので水に浸すと言う段階はすっ飛ばした。直ぐにスイッチを入れて、炊き上がるのを待つ。その間はリビングに戻り笑顔動画を見ようと思う。

「椿崎ー、ログインしといたぞ?」

「あぁ、ありがと。」

「何を見るつもりなんだ?」

「ん?そりゃぁもう『人間やればできると教えてくれる動画』だよ。」

そう言いながら撫子はその動画を観賞しはじめる。ついでに友哉も一緒に見ている。

「あぁ、たんぽぽオムライスか…ってことはこれから作るのはこれ?」

「うん、これ。いやー、前から作ってみたかったけどね。卵めっちゃ使うから自分の家では難しいなぁとね。丁度良かったよ。あざーす。」

「また俺は利用されたのか!」

「一石二鳥だからいいじゃないか。……あー、よし作り方はおさらいできた、けど…まだ炊き上がってないんだよねー。あ!そうだ!友哉君に是非とも見てもらいたい動画があるのですよ!これですこれ!」

撫子は友哉のアカウントで入っている笑顔動画をログアウトし、自分のアカウントで入り直した。タイトルとかを忘れちゃったからマイリスから飛んだ方が早いと考えたためだ。そうやって、目的の動画を発見。

それは「キャットニップを○べて酔っぱらった猫」である。

友哉はなんだろうと思いながら画面を覗きこんだ。そして撫子はニヤニヤとしながら友哉の顔をガン見する。

「な、なんだ!?猫がありえねぇ動きしてっぞ!?アハッ足元おぼついてねぇ!アハハハハ!え、可愛いじゃん、この猫たち可愛すぎるじゃねーの!?あッ左の猫の下半身ヤベェ!これ寝て食ってやがる!行儀わりぃけどめちゃくちゃ可愛いじゃんか!」

動画を見ながら可愛い可愛いと連呼する友哉。そう言えば友哉の基本スペックは天下のお不良様で、外見もテラお不良様である。そんな彼が動物に対してこんなにも笑顔を見えるなんて…萌え。

「あー……私は君が可愛いよ…。」

「ん?なんか言ったか?」

「いや、何も言ってないよ。あ、そろそろ作り始めようかな。友哉君は私のマイリス動画でも見て暇つぶししててー。ただし、マイリスのタイトルの『BL』は見ないでね。見たら確実に死ぬよ?君も私も。」

「お、おぉ…。」

見られたくない物だけを一応指定して撫子は再び台所へ。ついにたんぽぽオムライスを作ってみる。
十数分後…。

「で、出来た!出来たで!田舎のおかーさーん!君の娘さん初めて作ったのに上手く作りはったで!おかーさーん!」

撫子は二人分作り終えて、包丁とオムライスをリビングの方へと足を進めて行った。そうしたらできれば今聞きたくない動画を友哉が見ている最中であった。

「ん?撫子、もうできたのかー!ってめっちゃ美味そうじゃねーか!早く食おうぜ!」

「……。」

撫子はその言葉をほぼシカトしてゆっくりとオムライスを机の上に置いた。そして、卵をくぱっとする為に持って来ていた包丁を、何故だか友哉に向けた。

「な!?」

「貴様ぁ!今何を見ていた!て言うか今すぐ閉じなさい!ハリーアップ!お前の行動信じらんねぇ!」

友哉が見ていたのは撫子の公開マイリスト。すなわち、撫子が投稿していた動画の一部。もっと言うなら「歌ってみた」。それを友哉が時間つぶして見ていたのだ。

「俺はお前の今の行動が信じらんねぇよ!と、とりあえずそれ降ろせ、な?あぶねーだろ?」

「ううっう…別に私が居ないところで友哉君が見るのは一向にかまわなかったのに、なんで私が居る前で見るんだ!!私は今ものすごく恥ずかしい!私の存在が恥ずかしい!」

「いや…だってよ……椿崎が見てもいいって言ったんじゃん。」

「普通気を使って見ないでしょうがなに!?この公開処刑!」

「別にいいじゃねーか。お前歌とか色々上手いんだからさ。」

「うがぁああ!褒めるな!恥ずかしい!やっぱり君を殺して私も死ぬ!」

「突拍子もねぇ!」


「友哉さーん!遊びに来ましたよー!って撫子さん!?」
「ちょ、光自分今何して入った!?それ犯罪やんな!?え、なんで椿崎が包丁構えとるんや!?」

「財前に謙也!?」
「光君に謙也君!?」

撫子と友哉が漫才を繰り広げているときに財前と謙也がやって来た。

「………撫子さん、友哉さん…修羅場なうな感じですか?お二人ともお付き合いしてはったんですか?」

「「いやいやいやいやいやいやないないないないないない。」」

二人とも完全否定。
それからこうなった経緯を簡単に話して、誤解を解いた。

そして財前は悩む素振りを見せて謙也に質問した。

「謙也さん謙也さん。」

「なんや?」

「俺、どっちに嫉妬すればええんですかね?」

「知らんわ。」




―――――――――
500000hit企画第29弾
にゅあんこ様リクエスト「俺は主と青春主のコラボ ニコ動(青春主の動画)の観賞」でした。

とりあえず名前変換をデストロイ主の方にしました。もし、俺は主の方にもしたかったら言ってください。そちらの方にもあげ直しします。
そして…すみませんでした!!テニプリキャラが最後にちょこっとしか出ていない!!ごめんなさい!oyz

<< TOP >> 
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -