バルス!! |
「やぁやぁ仁王、今回のあわせの衣装は私作だけど我慢してくれ。」 今回は木手、すなわちチョココロネ作の衣装は準備できなかった。だからと言って市販のものを買ってしまっては余分なお金を払ってしまうことになる。発送料だとか、その他色々。手間賃とか手間賃とか、人件費とか。普通ならそのお金はアンソロ代に費やしたいじゃない!と言う訳で今回は撫子作のコス衣装。 因みにうたプリのレン(仁王着用)とマサ(撫子着用)のステージ衣装である。 「仕方ないのぉ。今回は我慢してやるぜよ。」 「貴様何様だ、作ってもらっている身でありながら、バカか。今すぐその服のB地区部分だけ切り取ってやろうかぁ!」 「そんな恰好のレンをおまんは見たいんか!」 「見たい見たくないで言えば、見たい!」 「この痴女がぁ!」 「間抜けな格好をしたレンを私は見たい!」 「おまんの愛は歪みすぎじゃぁ!」 「今に始まったことじゃねぇよ!」 「……言い返せんッ。じゃけど…なんで今回はコロネさんの確保できんかったんじゃ?結構融通効くようになったんじゃろ?」 「うん、メル友にもなったし、結構連絡は取り合うんだけど…チョコさんなんか今イベントに向けて修羅場なうらしくって、流石に作って!とは言えなかったんだ…。」 「椿崎にも常識あったんじゃな…。」 「非常識になってやろうか?ぁあ?勿論お前限定でな!」 「非情に申し訳なかったぜよぉお!辞めてくんしゃい!」 「うん、止める止める。だってここはイベント会場!私は、いい子ちゃんだからね。そんな最低な姿をこんなところで晒さないぜぃ!」 「………プリ。」 撫子と仁王はイベントにてまずコスプレゾーンで被写体に励んだり、撮影者として暴走したり、ありとあらゆるコスの楽しみを体験して、それからサークルスペースへ足を運んだ。 今回は参加ジャンルはよろずな為、色々なサークルが存在していた。アンソロを売ってたり、CDを売ってたり、写真集を売ってたり、雑貨を売ってたりしている。 「メンソーレ、メンソーレ。チョココロネデザインの雑貨、発売中さー。」 「「……ん?」」 「ねぇ、私の聞き間違いでなければ、チョココロネって聞こえたんだが…。」 「わざわざ沖縄から来たんか?……メンソーレって沖縄じゃったか…。」 もしかして木手がここに居るのか?と思って二人はその声が聞こえてきたスペースに行ってみた。そこには犬みたいな髪形をしている男子が一人。 見たことあるぞ。確か…、帽子男児。………?確かコロネさんのメールによく話が出ている…。 「甲斐…君?的な名前の人?」 「!?…なんで俺の名前知ってるさー?」 不審者を見る様な目で二人を見た。 「全国大会中の焼肉大会で出会ったはっきり言う女子です。」 「ああ!あん時の女さー!確か…撫子いう奴!」 「甲斐君、なに撫子さんを呼び捨てにしてるんですか、ゴーヤ食わせますよ。そして撫子さんこんにちは、撫子さんとペテンさんもこのイベントに参加していたのですね。」 甲斐が撫子を認識した瞬間、木手がどこからか戻ってきた。 「ゴ、ゴーヤだけは勘弁さー!」 「おおおお…チョコさん、わざわざ東京のイベントまで来て、どうしたのさ。」 「そろそろ市場を大きくしようかと思いましてね。」 「売名行為っすか。」 「そうとも言いますね。しかし、思うように売れませんねぇ。せめて飛行機代だけは稼ぎたかったのですが…。」 「うわー…それは切実だね…。今、どれくらい売れた?」 「正直一つも売れてません。原因は分かっているのです。男が売っていると言う点がネックなんでしょう。」 「あー……私が売り子してあげようか?」 「…いいんですか?」 「うん、良いよねペテンさんよ。」 「別にええぜよ。」 「ではお願いします。甲斐君、君は邪魔になるのでその辺遊びに行ってください。」 「さー…。」 木手は先ほどまで売り子を担当していた甲斐を邪魔者扱いして、どっかに行かせた。 「…いいの?あんな扱いで。」 「いいんです。実際売り子をしていて一つも売れなかったのですから。」 「そっか…。」 と言う訳で売り子をすることになった撫子。とりあえず客集めから始める。ヅイッターで『私、ペテンさん御用達の衣装を作っているチョココロネさんが東京のイベ上陸!雑貨を売ってます。場所はアリーナのスペースG−19。私とペテンさんが売り子なう』と呟いてほぼ準備完了。すると人が集まる集まる。 「……二人の知名度凄いですね。」 「感心する前に手を動かしてほしいぜよ。」 人を裁くのも大変。スペースにも限りがあって、さっさとさばかないと周りのスペースさんに迷惑をかけてしまうからね。結果的にたくさん売れた。先ほどまでの一つも売れないなんて嘆いていたサークルとは思えないくらいの成長である。フリーペーパーもすべてなくなって、宣伝はばっちりであろう。厭らしい話、お金と差し入れがざっくざっくである。 「お疲れ様です撫子さん、ペテンさん。」 「乙乙ー!良かったね、いっぱい売れたね!ところで差し入れのお菓子を頂いてもいいかね!」 差し入れのお菓子の中にはとても美味しそうな期間限定お菓子があったのだ。具体的にはポッキー的な…。バイト代として、いただこう。 「はい、どうぞ食べてもいいですよ。」 木手からも了解をもらって、撫子は開封。ついでに仁王にも分けてやった。 「うっほほーい!で、飛行機代は確保できたかね。ポリポリポリ」 「えぇ、それ以上に売れましたよ。これでまた新しい衣装を製作する試品を作ることが出来ます。」 「あー…いつもいつもお世話になってますぅ。ポリポリ」 「こちらこそ、有意義に着てくださっているようで何よりです。今着ているモノは私が作ったものではありませんねぇ。」 「うん、流石に修羅場だって聞いてたから頼むことは酷かなーと思いまして…。」 「そうですか…いつか撫子さんとペテンさんにあわせたものを作ろうと思っていたのですが…残念です。」 「チョコさんに落ち度はないです!しかし作ってくださると言うのなら、今度は軍服でよろしくお願いします!ポリポリポリポリ!!」 「…では次作るときはウエスト部分を5pほどゆとりを持たせましょうか。」 「「ブホァッ!?」」 口にお菓子を含んでいた撫子と仁王は噴出してしまった。 「な、何を!?」 「いえ、撫子さん、最近お菓子の食べ過ぎでしょうかね。少し肥えているような気がするのですが?」 「な、なななッ…ぁあ!!チョコさん見た目だけで分かるんだったッ!バルス!バルスゥウウ!!」 「プリ…ブハグググハッピィ……ッ!」 仁王、笑ってはダメだ。寿命が縮むぞ、物理的に。 「お菓子を我慢しろとは言いませんが、運動をお勧めしますよ。」 「アハ、アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ忠告ありがとうございます。」 もう乾いた笑しか出てこねぇ。 「ヒ、ヒィッ椿崎おまん、運動せんといけんぜよ!ブハッ!」 「チョコさん、ちょっとこれから運動してきますわ。」 持っていたお菓子を置き、撫子は立ち上がる。 「はい、いってらっしゃい。お勧めの場所はあちらですよ。人通りが少なかったところは。」 「ありがとうございます。仁王、行くぞコラ。」 仁王の襟元をひっつかみ、木手のスペースから出て行った。 「ハ?」 「私の体系について爆笑したくせに無事でいられると思うなよ。」 「ピ!?」 「フルボッコにしてあげらぁ。」 ――――――――――――― 500000hit企画第23弾 海崎 蒼月様リクエスト「青春主と木手/仁王」でした。 木手さんがどうやって東京に来させようか迷いました。こんな感じで落ち着きました。そしてオチは安定の仁王…ゴメン、仁王……。 |
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