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桃の姫君リターンズ


「景吾!どういう事なの!?私と言うものがありながら!」

「そうさー!これは酷いものがあるさー!」

「ちょっと待て砂雪、葵!何の事だ!?」

「しらばっくれないで!証拠はあがってるんだから!」

「そうさ!有るんさー!」

跡部の婚約者である砂雪がDVD片手に跡部に詰め寄っている。ちょっと後ろから葵もずんずんと詰め寄る。詰め寄ってはいるのだが、跡部にとっては全く心当たりのない事であり、言いがかり以外の何物でもない。
という認識が5分前。
五分後、跡部は頭を抱えることとなった。何故なら、自分の黒歴史を晒されたから。
そう、あの球技大会での桃の姫君に熱く告白したシーンの一部始終。撫子が正体をばらすちょっと前までのもの。実に誤解を生みやすい。

「これでも言い逃れしようって言うの!?」

「や、違うんだ。これは違うんだ。」

「何が違うって言うのよ!顔に惚れたですって!?どうしてそんな最低なこと言えるの!?」

「けーくん酷いさ!顔で惚れるなんてサイテーさ!」

「一時の迷いだったんだ!俺様もあの後地獄を…。」

「地獄って何よ!?なんなの!?私と婚約者で居て私との関係を切ることの出来ない地獄って言う事!?」

「今から地獄を見せてやろうかさー!?」

「ッ……椿崎ー!椿崎撫子ー!!出て来やがれ!この元凶がぁ!!」

跡部はこの事件の中心人物、撫子の名前を呼んだ。撫子を呼べばこいつは変装をしていて自分も騙されたのだと表すことが出来ると、思ったからだ。
が、しかし、
が、、しかし、
椿崎撫子、面白そうなことは全力で挑んでしまうと言う人格者である。

「跡部様ぁ!やっと私の本名を呼んでくださいましたのね!この撫子、嬉しいですわ!」

撫子が颯爽と登場し、跡部に飛びついた。

「なっ!?」

一種の頼みの綱であった撫子がなんとワル乗り。ルカのウイッグを被って氷帝の制服で、いつもはニーソなのに今だけは少々上品に黒タイツを履いている。

「跡部様!ワタクシとても嬉しかったですわ!私あのように殿方から告白されることなど、生まれてこの方無かったのです!私の秘密を知っても私と依然と変わらず接してくださる跡部様!あの時一瞬でも跡部様の事を疑ってしまった私自身を怒ってしまいたいですわ!私を優しく抱きしめようとしてくれた跡部様…あぁ、愛してますわ。これを相思相愛と言うのですね!跡部様、私今、家と家で無理やり組まされている縁談を全て、すべて断って跡部様と一緒になりますわ!家のものが何と言おうと、私の思いは変わりませんわ!そうでしょう!?跡部様!」

「景、吾…。」

砂雪がはらはらと泣き出した。そりゃぁもう、儚そうに、フラフラと気を失ってしまいそうに、

「けーくんのバカ!砂雪を泣かすなんて鬼!悪魔!!」

「な、お…は?」

「景吾、いえ…跡部君、婚約を破棄させていただきますッ…どうか、その椿崎さんとお幸せ、に……。」

「そんな、…砂雪っ待ってくれ!違う!違うんだ!」

跡部が半泣きになりそうになりながら声を揺らして叫んだ。とても必死に引き止めている。この必死さ、手塚との試合に匹敵する。いや以上かもしれない。


「ウフ…フフフフフフ……っ。」

「ちょ、砂雪ちゃんまだ笑っちゃ、ブハッアハハハハ!!」

「…撫子さんも笑ってるさー。」

女子三人衆。何故だか撫子と葵と砂雪は友達の様に雑談めいたことをし始めた。一瞬にして凍り付いていた空気がほのぼのとしたのだ。

「……アーン?どういう事だ?」

「フフフフっ景吾、ゴメンね?景吾が私以外の人にあんなこと言ったのがちょっとだけ許せなくって、ちょっと懲らしめてやろうって、少々しゃくだったけど、撫子さんとコンタクトを図って。でも、撫子さんってユーモア溢れる方で楽しかったわ。」

「いやー…一瞬の恐怖だったよ。話しかけられて振り向いたら絶対零度の笑みを浮かべてる砂雪ちゃんが居るんだもん。でも、…跡部の婚約者とかどういう事よ!!こんなかわいい子を侍らせた上で桃の姫君に告白してきたってわけ!?しかし、跡部の半泣きを見れたからよし!跡部、が…半泣き…あの跡部様が、フックフフアッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!」

「けーくん、ごめんさー、止められなかったさー。でも告白事件を起こしたけーくんが悪いんだから!……ちょっと遊び過ぎたから、マネの仕事手伝うさー。」

「マジでか!葵ちゃんよ!めちゃめちゃ俺得じゃねーの!」

「そうね、葵にしてはいい考えね。そう、景吾?」

「…なんだ?」

「今後、今回みたいなことが起こってしまったら、二度目は無いですからね。まぁ、もうないと思いますけど。」

「アーン?当たり前だ。俺の愛してる人は砂雪だけだ!」





―――――――――――
500000hit企画第21弾
明星様リクエスト「明星様宅の夢主とコラボ」

こんな感じでどうでしょか!?少々、オチの無理やり感は否めませんが、すみません…。
しかし、婚約者が居ながらにして、主に告白というのはものすごいことをしでかしてしまいましたね、跡部。

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