青春Destroy | ナノ


花が欲しい


今日は撮影会ではなくイベントにて撫子と仁王がバナナイス『背徳の記憶〜The Lost Memory〜』のあわせを予定していた。レン役は撫子のコス友達が担当するはずだったのだが、体調を崩して来れなくなってしまったようだ。

「ゴメン!ペテンさん!マジゴメン!私の連れ来れなくなった!」

「な、んじゃと!?バナナイスじゃのーなるが!ナイスじゃが!このままじゃったら!」

「うっさいなぁあ!謝ってんだから許せよ!私だけの責任じゃねーよ!むしろ頑張れば私だって被害者だ!折角夜なべして作ったのに…折角忍足にレンの衣装代出してもらったって言うのに……かーさんがーよなべーよしてー…。」

「一番の被害者は忍足か…プリ。」

「はぁ…仕方ない。これはこれでやっていこうではないか…レンが居なくて不毛な二人になろうじゃないか。」

「それもええな。…のう椿崎?」

「なんだい?」

「レンをする気h――。」

「だが断る。」


とりあえずこの二人を被写体に写真を撮る柳生。イベントだから「写真お願いします!」という声が絶えない。流石人気レーヤーと言うべきか。

が、しかし…。

「花が欲しい。」

「ハァ…?」

写真を撮られながら、さらにKAITOっぽい表情を保ちながら撫子は地を這う様な声で呟いた。

「花が欲しい花が欲しい花が欲しぃぃいいいいいい……。」

「…レンの事かの?」

「おうともよ…もう、なんだろ。お前とのBLフラグばっか飽きた。レンきゅんとフラグを立てたい。レンきゅんに萌えてきゅんきゅんしたい。」

「贅沢言いなさんな。」

「…柳生クーン!レンきゅんをやってm――。」

「だがお断りさせていただきます。私がそれを着たらカメコが居なくなってしまいますよ。」

「クッ…つんだ。」

「折れるの早いぜよ。」


「あっれ?柳生先輩なにしてんすか?…もしかしてそのKAITOとがくぽって撫子さんと仁王…先輩?」

何故かこのイベントに遊びに来ていた赤也。柳生の存在に気づいて、その後被写体になっていた二人にも気が付いた。

「「「…赤也(君)。」」」

「…ペテンよ…ここにレンきゅんの衣装があるのだが。」

「…来る予定だった奴の身長は?」

「165p弱。やーぎゅ君、赤也君確保ぉお!そして仁王は連行!後は任せた!」

「了解しました。」

「え、え、え?どういうこと?え?先輩なんすか?」

柳生君は赤也を確保。そして更衣室まで連行。

「じゃ、赤也君あとでねー!」

撫子は三人を見送って一人だけでサークルを見て回った。
30分ぐらいしたとき、会場の出入り口が一瞬にして騒がしくなった。

「なんだなんだ?」

撫子は野次馬根性を発揮、少しの人だかりができているところに頑張って割り込む。そうしたらそこにはバナナスのハイクォリティーレイヤー様が居た。

「ってペテンさんとあk…レッドさんじゃないかぁあ!レッドさんマジ可愛いぃいい!!」

先ほど見送った三人であったため、撫子は三人に駆け寄った。

「撫子さんッ…酷いっす……。」

眉をハの時にしてボソボソと赤也が呟いていた。

「…何したんだい?」

「いんやただ単に服ひん剥いてレンの衣装を着さしただけじゃ。赤y…レッドの髪まとめるの苦労したんよ?」

「あー……レッドさん、似合ってるよ!」

「残念ながら嬉しくないっす!これほとんどドレスじゃないっすか!」

「レッド君、それを着たくないならペテン君と撫子さんの身長を追い越す事ですね。」

「俺ヒガイシャっすからね!?好きでコスをしたんじゃないっすからね!?」

赤也が柳生に突っかかる。が、撫子が赤也の肩を掴んで自分の方へと向かせてそのままポーズ。

「残念ながらレッドさんには被写体になってもらうェ!良い経験だと思って!レッツビギン!」

「そうじゃの、俺らは皆に萌えを提供する使命があるんじゃ。ほれレッドもっとレンっぽい顔しぃ。」

「え、え?」

「はい、お三人ともいい感じですよ。こちらに目線は無くていいのでしっかりファンサービスしてください。」

「「イエッサー!」」

撫子と仁王と柳生はいつもの様に手慣れた様にコスプレをエンジョイしていく。戸惑う赤也。

「え、ちょ…え?哀愁漂うように?」
「にお…ペテンさん近いっす、近いっす、キモいっす。」
「うえええええ、撫子さん近い!顔近いっす!なんで!?先輩達止めに入んないんですか!」
「これってイセイフジュンコーサイなんじゃないっすか!?」
「ままままま、近いから近いから近いからぁああ!」
「俺、もう…疲れた………。」

コスプレ初体験の赤也の言葉を一部抜粋。

イベントも終わり、人気レイヤーの皆さんは最後まで囲まれていたのだ。終わることになってやっと解放された。

「やー、ペテンさんもレッドさんもお疲れ様ぁ!!念願のバナナイスが出来てとても楽しかったよ!」

「じゃな。三人でのポーズの取り方の練習にもなったしのぉ。」

「………俺、もうお婿に行けない…。」

「じゃあ、私が娶ってあげるよ。」

「………。」

疲れ切った目でこちらをジトーっと見てくる。

「嘘です。冗談です。でも本当に助かったよぉ!赤也君がいてくれてさ!!とても充実したイベントになったよ。お礼にこれから焼肉に行くか!」

「マジっすか!?行くっす!」

先ほどまでの死んだ目から一転、ランランと目を輝かせていた。

「ほう、椿崎は太っ腹じゃな。」

「え?仁王が奢るんだよ?」

「え?」

「では仁王君がみんなのを奢るという事で、仁王君ご馳走になります。」

「仁王先輩!ゴチになります!」

「さっすが仁王!ゴチになりまぁす!じゃ、赤也君着替えて集合ねぇ。」

「ハイっす!」

それぞれ行動に移す。仁王だけそこにポツンと佇んでいた。

「……マジで?」






――――――――――――
400000hit企画第12弾
Reebok様リクエスト「仁王とコスあわせ/誰かが予備のコスで巻き込まれ」でした。

オチがいまいち…。バナナイスのコスにしてしまってすみません!!三人で都合のいいものでメジャーなものがこれしか思いつかず…。

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