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翠の皇女


「お願いします!!」

「すみません、これどういう状況ですか?」

「せやなー…俺んちに撫子と渚ちゃんが居って、撫子が渚ちゃんに土下座をしている図。なんやシュールや。」

只今、忍足の家でお茶会なう。忍足が準備した少し高めの紅茶を飲んでいた。そして、なぜか撫子が土下座を始めたのだ。

「あの…すみません、撫子先輩。どうして…土下座を?」

顔をあげて撫子は渚をまっすぐに見つめた。真剣だ。

「えー…その、私とコスのあわせをしていただきたいのです!」

「あわせ…ですか…なんのでしょう?」

「お?おお?あわせおk的な?してくれる的な?」

「理由を聞いてから判断させていただきます。」

「……カンタレラの…KAITOとミクのあわせがしたいんです。」

「KAITO…ああ、撫子先輩が蒼の貴公子って呼ばれるようになったキャラですか…。」

「え!?渚ちゃん知ってたの!?」

あの格好KAITOじゃんって誰もツッコんでくれないから誰も知らないのかと思ってた。

「ええ、侑士先輩に昔、聞いたような聞いてないような?」

「忍足…パンピに教えるとは何事だ。」

「やって!仲間が居らん過ぎて布教や!あわよくばこっちの道に来んかなって思ってな!」

「ああ、責められない。君のその気持ちが分かりすぎて責められない。普通ならそれは責めるべき所業なのに、」

「侑士先輩は悪くないので、責めないであげてください。」

「渚ちゃん、マジ天使!この流れでミクをする気は無いかい!?」

「丁重にお断りさせていただきます。」

ニコリ、と効果音が聞こえてくるような笑顔と共に言い放った。

貴重な笑顔ありがとうございます。

「なんで!?」

「この年になってコスプレをすると言うのはちょっと……。」

「まだ若いよ!二十歳過ぎてもコスは出来るんだから!て言うか渚ちゃんは私よりも若いじゃん!」

「あ…いえ、私以外にも適役っているじゃないですか、もっとかわいい子とか…。」

「違うの!私は渚ちゃんがいいの!渚ちゃんも十分可愛いし!なにより私と同等の目線で接してくれる女友達が渚ちゃんしかいない!私超可哀想!」

「あー……。」

長い沈黙、真剣にコスを引き受けるか悩んでいる。何より、自分だけと言われると、なんか嬉しい。あと…本当に可哀想。

「じゃー…引き受けます。」

「渚ちゃんマジ天使!」


渚が引き受けてしまって数日後。やってきましたイベントの日。
撫子は既に衣装を着てメイクもばっちりだ。渚は衣装を着て、只今撫子にメイクなう。

「……ハァ…。」

「ん?ん?どうしたんだい!?渚ちゃん!」

「いえ…生理現象です。」

「ダメだよー、ミクになったら妖艶な表情を浮かべてね!」

「え、無理です。」

「ちぇー…ま、そんなむちゃぶりはしませんよーだ。いつも通りにしとけばいいからね。」

「…はい。」

「良し出来た。んー、渚ちゃんメイクのノリが良いねぇ!」

撫子はメイクが完了したようでメイク道具の片づけをし始めた。そして、渚を連れ忍足が待っているであろう場所へ移動。

「忍足ー!お待たせ!」

「おー、今日もカッコええやん…………そのミクって…渚ちゃんやなぁ?」

「何『信じらんない!』みたいな疑問形?正真正銘の渚ちゃんだよ!どう?化けたでしょ!」

「すみません、私まだ自分の顔見てないんですけど…。」

「あ、ゴメン。ほい、鏡!」

撫子は手鏡を手渡す。

「ありがとうございます。…化粧は本当に化けますねぇ。」

「ねー、渚ちゃん可愛いよ!」

「ハァ…ありがとうございます。」

「え、口説くんは俺の役目ちゃうん…?」

「黙れ忍足、子猫ちゃんを口説くのは俺様の仕事なんだよ。」


「………なぁ撫子に渚ちゃん、一枚ええか?」

「おお!忍足成長したな許可を得るなんて、いいよ私は!渚ちゃんは?」

「……誰にも見せないなら良いですよ。」

「おおきになぁあ!!」

テンションも振り切れた忍足、元から振り切れている撫子、ドライな渚。
とりあえず渚は初参加と言うことも有り、案の定と言うかやっぱりと言いますか、渚は体調を崩してしまった。

渚の体調が復活して学校に行ってみると予想もしないことが起きていた。友達のケータイ画面を覗いてみるとなんと渚(ミク)と撫子(KAITO)の写メがあるではないですか。

「……それ、どうしたんですか?」

「ああこれ?忍足先輩から男子に回って私も回してもらったんだ。お姉様の新しい画像!!ああ…いいわ……でもこの緑の髪の子?誰なんだろうって、みんな…噂じゃお姉様の彼女らしいけど。」

「……椿崎先輩は女子ですよ?彼女ではないかと…。」

「ま、ね。でもホント誰なんだろー。絵になるわぁ。お姉様も教えて下さらないし、忍足先輩も教えてくれないし…取り合えず『翠の皇女』って呼ばれてるよー。」

「へー……そうなんですか。」

渚は忍足を一度でいいから後悔するほど懲らしめたいと思いました。





――――――――――――――
200000hit企画第8弾
鴉禽様リクエスト「渚ちゃんとのコラボ文」でした。
勝手にコスプレさせてしまって申し訳なかったです……。

でも!渚ちゃんにコス服を着て欲しかったんです!ええ、管理人は欲望に忠実ですよ!

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