青春Destroy | ナノ


私の歌を聞かないで


「撫子ー、カラオケ行こーぜ。」

岳人を先頭に跡部以外の氷帝レギュラーメンバーがカラオケに誘いにきた。

「んー―…パス。ゴメンね?岳人。」

「えーなんでー!?」

「ジロー…いやー、私マイク持ったら離さなくなっちゃうから…。」

岡山にいたときは楽だったなぁ…友達は聞専、私は歌専、バランスとれてたのに……。それにカラオケって一発勝負じゃん?噛んじゃったら恥ずかしんだよね。その上…自重できなくなるしね。

「あのよー、お前の歓迎会を兼ねようと思ってんだよ。」

「あー…食いもん奢ってくれるんなら行く。」

食費が浮く。

「それでもええわ。跡部がもう先に行っとる。」

「ういーっす。」

メンバーはカラオケの一室に来た。入ったら跡部がすでに居りソファーに座ってふんぞり返っていた。ツッコミが飛ぶだろうとみんなが身構える。しかし撫子が一番に確認するのは機種だった。

「ジョイサウンドじゃない…だと!?」

「そこなんですか?」

「そうですよ、鳳!ジョイサウンドじゃないなんてっ……あ、でも私歌わないからどうでも良いんだっけ。んじゃまぁ、みなさん歌ってよ。私は食いながら食いながら食いながら聞き耳立てるから。」

と言って撫子はメニュー表を開きフロントに電話をかけ料理を注文し始める。
そしてメンバーも歌い始める。
順番に
日吉、
鳳、
宍戸、
ジロー、
岳人、
忍足、
跡部、
跡部
跡部、
跡部、
跡部、
跡部……。

「ん?跡部さっきから連続で歌ってない?」

唐揚げを食べていた撫子は顔を上げるとげっそりとしたメンバーの顔が見えた。

「…ガチでどうした。」

「撫子…跡部を止めてくれや…俺らじゃどうにも出来へん。」

「お願いします椿崎先輩、跡部部長ばかり歌って俺たちも飽きました。なので椿崎先輩。歌ってください。」

日吉の言葉でふとジローを見ると完璧に寝ていた。

「やだ!?可愛いっ!日吉ちょっとまって先にジローの寝顔撮るから。」

構えるはデジカメ。

「ん、よし良いもの見れた…では皆の衆。腹筋が筋肉痛になりたくない人は耳塞いでてね?あ、忍足は跡部を羽交い締めにして。」

「わかったわ…。」

撫子は機械を操作し、跡部の曲を停止させる。そして割り込み予約で曲を一曲入れた。
曲を止められたことに気づいた跡部は不機嫌な顔で美咲を睨みつける。同時に忍足が心を閉ざしながら跡部を羽交い締めにする。

「あーん?何すんだ。」

「苦情が出現されましたので、正義の名の下に貴様を削除する!」

撫子がマイクを持ち叫ぶ。

そして曲が始まった。

松浦亜○で『ね〜え?』(跡部声)

「!?」

これは辛い、かなり辛い。自分の声でブリッコソングを歌われているのだ、しかも無駄にいい声。跡部の怒りやテンションが一気に降下する。

「ふっ…他愛もない。」

曲が終わりみんなが耳を塞ぐのを止める。が、塞いでいても少々聞こえていたようで肩がしきりに震えている。

「撫子、マジサンキューな!」

「そんな!良いって事よ岳人。笑顔マジ眩しい。」

「せや撫子。ついでになんか歌ってや。」

「えー…。」

「撫子が一曲歌ったら解散するって事にすれば強制的にマイク置けるやろ。」

「…これボカロ入ってないし……。」

「やったらハルヒのGod knowsをリクエストするわ。」

「はいはい、歌えば良いんでしょ?」

返事を聞いた忍足は速攻で入れる。

「もちろん、撫子さん自身の声で歌ってな。」

チッ声マネで歌おうと思ったのに、先に釘刺された。忍足のくせに生意気だ。

「………。ではでは、みなさん。聞き苦しい声で歌うんで聞きたくなかったら演奏停止ボタンで曲を強制終了させてね?」

曲が始まる。撫子はマイクを握り直し、構える。
息を大きく吸って歌い出した。

「…っ。」

メンバーは一気に引き込まれた。上手いどころではない。美しい。
そんな安易な感想をメンバーは抱く。安易な感想しか抱けない。何故ならメンバー全員が撫子は音痴だと思っていたから、ギャップが激しすぎて思考停止状態に陥ったのだ。

「はい、終わりお粗末様でした。」

「撫子…スゴいC…。」

「…私お腹いっぱいになったし帰るね。今日はありがと、また明日。」

撫子はカラオケボックスを後にする。

「クソクソ、帰りやがって!もっと聞きたかったぜ!」

「椿崎は音痴なんだとばかり思ってた…激ダサ。」

「撫子が音痴なわけないやん、笑顔動画で伝説のお方なんやで。URL教えたるわ。いっぱい歌っとるでぇ。でもなんで帰ったんや…?」


撫子は帰路につき自宅に向かって歩いていた。

「やっべ、私男子とカラオケに行ったの初めてだった……あいつらの声思ったよりも腰にキタ…みんな歌うまいし、声ヤバいし忍足と跡部に至ってはエロいし。…絶対私の歌唱力バカにされてるよー!どうせしがないうp主ですよー!みんな笑顔動画に投稿すればいいんだー!あっ、録音しとけばよかった。あーもード畜生!よし、監督に歌のレッスンしてもらおう!うん、そうしよう!」



――――――――――――
30000hit企画の第3弾
なつ様、れいな様、なな。様リクエストのうpしました。
『青春デストロイ!?』でカラオケネタ「氷帝メンツ」verでした。

かなり不完全燃焼…。主がここまでてれるなんてありえない。

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