青春Destroy | ナノ


以心伝心


「おい。」

「……………。」ピコピコピコ

「…おい。」

「…………………。」ピコピコ

「おい椿崎テメェ、シカトしてんじゃねぇ!いい加減にしろ!」

話しかけても一向に反応しない撫子に跡部はキレて、撫子が歯科としていた原因であるDSを奪い取った。そしてやっと跡部の方を向いた撫子。

「あ!?跡部返せ!」

「返せたぁ良い度胸じゃねーか、あーん?散々俺様を無視しやがって。」

「じゃあその度胸をかって返してよ。」

「まだほざくか。テメェ今何の時間か分かってんのか?」

「は?部活の時間っしょ?馬鹿にしてんの?」

「馬鹿にしてんのはどっちだ。で、お前は今何してた?」

「ポケモン。」

現状を分かりやすく言うなら、マネージャー室でポケモンのゲームをしていたら跡部と樺地が入って来たのだ。

「おい樺地。」

「ウス。」

「ぅお!?樺地スゲェ!俺空飛んでる!?」

ちょっとした浮遊感を撫子は味わい、移った先は樺地の肩。

「…ウス。」

「凄いね!こんな巨体の私を担げるなんて!あ、ちょっと待って、これ結構鳩尾に刺さる。あ、待って。」

「樺地、そのまま部室へ移動だ。その場で無駄にジャンプしても構わねぇ。」

「あ゛と゛へ゛こ゛ろ゛す゛!」

樺地は撫子を肩に担ぎレギュラー室へと進んでいった。レギュラー室に入るとレギュラーメンバーが勢揃いしていた、が、みんなDSをいじっていた。

「おい、お前ら…。」

「「「………………………。」」」

誰も何も反応しない。
撫子は樺地の肩で臨死体験を経験していた。肩に担がれて、息が上手くできないらしい。
そんなカオスな状態の中、ブチっと何かが切れる音がした。

「テメェら…テメェら全員正座しろ!!」

「「「……………は?」」」

「おい樺地!やれ!」

「ウス。」

樺地は撫子を床に降ろし、メンバーそれぞれが持っていたゲームを奪っていった。

「「「あっ!?」」」

DSを捕られた者は我に返り跡部のブチキレた顔を目の当たりにした。そして静かに正座の体勢へと変化する。もちろん撫子も樺地の肩から降ろされていたため、空気を読んで正座の態勢をとった。

「お前らに聞く。今何の時間だ?」

「「「部活。」」」

「お前らは今何をしてた?」

「「「ポケモン。」」」

「今は部活の時間だ、テニスの練習をしやがれ。」

「異議あり!私はマネージャーなので練習しません!ので返せボケ。」

「あーん?テメェはタオルとドリンクを用意しやがれ。」

「終わったっつーの。私の二次元に対する愛をフル活用すればそんな雑用チョチョイのチョイだ!」

「だったら球出ししやがれ。」

「超理不尽!」

「何が理不尽だ!」

「だってこのソフト昨日発売したばっかなんだよ?最新作ってやりたくなるじゃん!人間欲望には勝てないんだよ!ねぇ!」

「せや!待ちに待った新作やで!?ホンマなら今日部活サボりたかったわ、来ただけでも凄いことなんやで!」

「そうだそうだ!欲しがれば良いのだよ。つーか私と忍足以外にもポケモンユーザーって居たんだね。びっくりだ。」

撫子が周りを見渡して正座をしていない人は居ない…予定だったが滝、滝だけは跡部が来る前にゲームを隠したため正座する必要はなくなった。滝は笑うのを我慢して肩が震えている。若干腹が立つが口に出さない。

「だってポケモンは庶民の味方だC。やらなきゃ非国民?みたいだよね!」

「跡部に気付かずにやってたなんて激ダサだぜ…。」

レギュラー+マネージャーの頭の中にはポケモンと言う単語しか無いようで、その姿を見た跡部は怒りを通り越して呆れ始めた。

「……レギュラー落ちしても知らねーからな。」

「あぁ、その辺はご心配なく。ほら、跡部。そこの窓からコート覗いてみ?」

跡部は不審に思いながらも撫子が言ったように覗く。そこには先ほどまで活動をしていた部員達が立ったままDSをいじっていた。

「だから言ったじゃねーかよ。ポケモンは庶民の味方だってな。部活よりも優先するのは当たり前じゃねぇか。」

跡部は拳を震わせ樺地に指示を出す。

「樺地ぃいいいい!」

「ウス。」

樺地が部室から出て行き部員達のDSを奪っていく。部員達は嘆き悲しみ、跡部に返せとすがった。しかし、そんな事で意見を変えるわけがない跡部。部員を見下し、言い放った。

「おいテメェら!今は部活しやがれ!これは部活が終わったら返してやる。返すと言う選択をしてやる俺様に感謝しな。」

久しぶりに跡部のブチキレた顔をみた部員は恐怖に怯えながら部活を再開。レギュラーと撫子も部室から出て行きそれぞれの行動へ。



そして部活が終わり宣言していた通りDSがそれぞれの手元へ。
myDSとの再会を喜んだ撫子を始めとするメンバー。少しだけでも進めようとゲームをその場で始める。
しかし、様子がおかしい。なぜならば主人公の名前がアトベになっていたのだ。つまり、今まで育てていたポケモン達が存在しないのだった。

「はぁああ!?跡部!ちょっとどういうこと!?」

「あーん?気づくの早いじゃねぇか。罰だよ、部活をサボってゲームをしてたな。お前だけじゃねぇぜ?没収したやつ全員その設定だ。」

周りを気にしてみると悲鳴があちこちから。

「っ鬼!悪魔!」

「なんとでも言え。これに懲りたらもう二度とするんじゃねーぞ。」

跡部は樺地を連れて颯爽と帰って行った。その場に立ち尽くすメンバー。

「「「(あ゛と゛へ゛こ゛ろ゛す゛ぁああああああああ)」」」

200人あまりの部員の心が一つになった瞬間だった。


――――――――――――
20000hit企画第三弾。
なつ様リクエスト『ポケモンゲームネタ』

リクエストありがとうございました!そしてすみませんでした…。管理人、ポケモンアニメは6年前に見たきり全く見てないのですよ…ゲームも幼稚園の頃、白黒のゲームボーイの「レッド」を持っていた記憶しかないのです。最終的に友達に貸し帰ってきませんでしたけど。ですのでこんなものになってしまいました…。

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