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「…マスターみたい。」 撫子が呟く。 「ん?何故俺のHNを知っている?」 ポロッ言った撫子の一言。 ただの独り言のはずだったのに、柳はその言葉を拾った。そして剰え自分のハンドルネームだと言った。 「え?柳君がマスタァー!?」 「確かに俺はマスターだが…。まさか撫子さん?」 柳は何故、こんな一介の女子が自分のHNを知っているのか怪訝そうな顔を示した。 しかしその疑問も柳の賢い頭でピンと来たようだ。撫子はあの撫子かと、 「撫子です!!え、ちょ、まって本当にマスター!?」 「撫子さんは最近俺にエクスタさんの小説を読んで劣等感に苛まれたので愚痴を言ってきたな。」 証拠に、と言わんばかりに最近のマスターと撫子のネット上でのやり取りを言った。 「マスターだ……。あ、お会いできて嬉しいです。」 「こちらもだ。後でまた話をしよう。今は仁王との問題を解消しなければいけないな。」 「……っす。」 部室がまた沈黙。 さてどうしよう…。 「仁王…なんか言えって、お前のせいなんだろぃ?」 「当事者に話を振らんでほしかったの…。」 「仁王君、無責任過ぎますよ。椿崎さんの人生の一時でもって変えてしまったのですから。」 仁王は意を決したように撫子に向かい謝罪する。 「……椿崎すまん。参謀の言っとった通りじゃ…。俺はおまんを好いとうた。じゃけん意地悪ばっかしてたぜよ。」 「うぇ、う…はぁ……ぃ。うごぅお……。」 撫子は呻いている。顔を真っ赤にしながら。 「……撫子どないしたん?」 「う、生まれてこの方十数年間告白された事なんて無かったら免疫がっ免疫がぁ!」 「ほほー。撫子の弱点はそれかいな?」 忍足はニヤついている。 そういえば過去に撫子の弱点を探るって言っていたような。だがしかし、空気読め。 「忍足テメェ。」 「撫子!侑士の嫌いな物教えてやるよ!」 「ちょぃ岳人待ち!」 「納豆だぜ!」 「…猿飛あやめのコスでもしようかな…。」 「堪忍してや!」 「おい、結局どうするんだ?アーン?」 「どうするって?」 「仁王君は椿崎さんに謝りました。こんなただ頭下げるぐらいでしかできない仁王君の謝罪では足りないでしょうが、これが精一杯のかわいそうな頭なんです。許してやって下さい。」 「やーぎゅ、それは言い過ぎぜよ。」 「………………よし、許そう。」 数年間の恨み。と言うほど重い決断をするわけでもなく、とっても軽く仁王を許した撫子。 「軽っ!?」 「だってなんか悩んでた私がバカみたいじゃん。仁王は恨む対象から外すよ。つか恨む必要性って無かったね。昔のことでも私をすす好きだったって言う事もあるし。」 「ほんまか!?」 仁王の顔が晴れやかになる。 心なしか後ろで束ねてる髪が尻尾のようにはねていた気がする。 「でだな…仁王……昔私のことがすっ好きだったらしいが…い、今は?」 話の流れで聞いてしまった。しかしここ重要。 興味津々のメンバー。再び部室は沈黙。 「…今は……普通じゃ。友達になってくれら嬉しいの。」 「よっよかった!」 「何が良かったんで、自分フラれてんで。」 「バカ言うなぁ、私は仁王に惚れてなかったからフラれる定義に入ってませーん。 それに私には二次元に嫁がいっぱい!いやん言っちゃった、きゃっ…。」 …………………。 冷たい空気がひゅーっとながれた気がする。 「仁王これから友達としてよろしく!一日あったら友達、二日あったら親友、三日あったら兄弟だぜ!私イタちゃんリスペクトしてるし。」 「サンキュウの。」 「よし、解決!みんなご飯食べよう。もう休憩が終わっちゃうよ。」 撫子と仁王のいざこざも解決し、今までになかったような和やかな空気が流れる。 氷帝メンバーとはよくご飯を食べている撫子だが今回は立海メンバーが居ることもありガン見する。 真田君は黙々と一人で食べている。……ご飯とおかずの比率が7:3…おかしいだろ。 どんだけお米好きなんだよ。日本さんをリスペクトし過ぎだよ。かくいう私も白米ダイスキー! ん?ちょくちょく幸村くんが真田君にちょっかいをかけて…というよりおかずを横からかっさらってる…。 まさかの薄幸美人×老け顔!? ねーy…やっぱ有り。あれ、いつの間にか幸村君の隣に滝が……やべ滝様と目があった。 「撫子。」 「何かな?」 「さっき幸村君と同盟組んだからもし僕や幸村君で妄想したらその時は…。」 「その時は?」 「黒魔じゅ―。」 「おk把握したぁ!我が命に代えてももうしませんから許して下さい。」 「椿崎さん、そう言うことだからしないでね?変わりに俺と滝君以外ならしてもいいからね。」 「イエッサー!」 |
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