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サンドリヨン[Cendrillon] 04


日にちが少し経って撫子はいつもの様に家の掃除をしている。
洗濯ものを干したり、料理を作ったり、暖炉の掃除をしてみたり、そんなことをしているとあっという間に一日が終わる。
そんな中ジローと岳人が慌ただしく撫子に話しかけてきた。

「シンデレラー!聞いて聞いて!今日、この国で舞踏会があるんだって!」

「姉さんホント!?やったわ!美味しいご飯が食べれるわね!」

「あぁ!マジだぜ!っつーわけでおめかししてくれ!」

「任せなさい!世界一の美女に仕立て上げてやんよ!あ、母さんも行ってきてね。」

「え、マジかい…。今日はゆっくり恋愛小説ものでも読もうか思うとったのに…。」

「母さんこの国の王子とフラグでも立ててきてよ。」

「何の冗談や!?」

「嘘だよ。ただ……食費………。」

日に日にかさんでいく食費。こうやって舞踏会に参加して料理を掻っ攫ってくれた方が食費も浮いてくれるもの。

「行ってくるわ。ドレスの準備してやー。」

撫子もテンションが上がり、舞踏会に対する準備を進める。忍足とジロー、岳人の化粧や、ドレスの着替えを手伝う。
三人の姿に激しく萌えて撫子はイケメンの姉、母を持っていて心底よかったと床でのた打ち回った。床を綺麗にしていてよかったと思った瞬間だった。
そうしているといつの間にか舞踏会の始まる時間。撫子は三人を見送ってやれやれと息をついた。
見送り際、姉達に一緒に行こうと誘われたが、おめかしもしていないし家の留守番をしてないと、という理由で誘いを蹴った。とても心苦しかったようだが…。

椅子に座って撫子が一息つく。そんな時に背後から一人の気配を感じた。

「誰!?…ってタキか……。」

振り返ってみるとそこに立っていたのは滝だった。

「こんにちは、かな?流石シンデレラ、よく気付いたね。驚かそうとして気配を消してたのに…。」

「伊達に何か月もタキのオーラを感じてないよ。…怖いし。」

「え?何か言った?」

「いえ、何も?ちょっと待ってて、お茶でも用意するから。」

「いや、要らないよ。それよりも…サンドリヨン……仕事だよ。」

笑いながら冗談を言っていた滝の空気が変わった。冷徹な空気になった。そしてシンデレラをサンドリヨンと呼ぶのは仕事が絡んだ時だけで、今、まさにそれである。

「お伺いしましょう。フェアリーゴッドマザー。」

「内容はこの国の王子、ケイゴ王子をやって来て。期限は明日の12時まで。」

「別に今日だけでも大丈夫なんだけど…了解。今回の報酬と対価は?」

「報酬はいつも通りの額、対価もいつも通り君の命。」

「そちらも了解。」

「サンドリヨン…王子に惚れるんじゃないよ?君位の子の仲間は全員それで命を落としてるんだから。ブランシュ・ルージュもレポンスもショッシュール・ルージュもラ・プティット・シレーヌもル・プティ・シャプロン・ルージュも皆。」

「今更なんの心配してんのさ。私が、王子に惚れる?そんなバカな。私の見てくれだけで寄り添ってくる馬鹿共に、私が惚れる?冗談としても笑えないよ。」

「僕だって君という優秀な人を失うのは痛手だからね。」

「…心配してくれてありがとう。私は恋愛よりもこの家族といた方が好きだからそんなことは、無い。…から安心して?」

「そう…なら良いけど。王子も災難だよねー。今日初めて公の場に出てこれるって言う舞踏会でしょ?それで死んじゃうなんて。そうだ、シシドとオオトリは既に潜伏済みで詳しい情報はそっちから聞いて。ドレスはここにあるから。」

「はーい、今日のドレスは…白かぁ。」

気分上々で撫子は純白のドレスに着替える。一見清楚な娘にしか見えないが、中身は人を何人もあの世に送っている暗殺者。人は見かけに寄らないことがここではっきりと分かる。

「じゃ、サンドリヨン…行ってきて?」

「行ってまいります…。マザー。」

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