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「ねぇ、君、こっちに来なよ。部活で集まり始めてるよ。」 (撫子様ぁ!私はやり遂げました!撫子様ああ!)「あ、うん!」 女子は滝に呼ばれテニス部が集まっているらしい所へ歩いていった。 「ねぇ、パーティーどう?」 「え?楽しいよ!子猫ちゃんみんな可愛いし、スーツ萌え!フォーマル萌え!」 「そう、それは良かった。」 「撫子ー、注目すべきはそことちゃうやろ。」 「テヘペロ!しかし、本能に恵まれた私はそれしか考えることが出来なかったのだよ。」 「理性に恵まれろや。」 「忍足の癖に生意気だ。」 「さて、君に質問があるんだ。」 「ん?今度は何さ滝。」 忍足と再びどうでも言いことを語っていたら滝が質問があると言い出した。 「懐中時計、見せて?」 「……へ?」 「あぁ、そういやぁ滝最近よう時計のこと聞いとるな。俺あんま詳しゅう知らんのんやけど…。」 「あ、そッそうそう忍足に言ってなかったっけ?文化祭で滝のクラスのショップにあったやつでな!クリスマスプレゼントで滝に貰ったんよ!」(ヒィっ!ヤバいヤバいッ懐中時計なんて持ってへん!撫子様から預かってへんもん!) 「へぇ、ちょう見せてや。」 「き、今日は置いて来ちゃった!ポケット無いからね、この服!」 「へぇ、ポーチは持ってきてるのに?」 「ッ…。」 「回りくどいことはやっぱ苦手だな、僕。単刀直入に聞くよ。君、誰?」 滝が確信付いているかのように聞いてきた。実際確信がついているのだろう。女子を人差し指で差して威嚇するかの如く。 「え?滝、何言っとんの?」 「忍足、黙って。」 キョトンな忍足。それから蠱惑的な笑みは一切無く、真剣身を帯びた声の滝。滝が指を指している先をジッと見つめるテニス部メンバー。 それを一人で真っ向から受ける女子。それから直ぐに女子は諦めたように両手を上げてヒラヒラさせて降参のポーズをとった。ミッションはクリアしているのでとりあえずはバレてもいい。ただ自分の身の安全が確保されにくくなったのだが…。 「人を指差すのはいけん思うで?滝君。……ハァ、…降参、こーさんやぁ。バレてもうた…あーあ、撫子様から免許皆伝してもらったのになぁ。」 「え?誰や?関西弁て…。」 「その辺は説明面倒くさいから省いてええ?まぁ、私は撫子様とちゃうよ。撫子様は今…空港。」 「ハ?空港ってどういう事だ?」 「おぉ、岳人君、いい質問やな。撫子様はアメリカに留学するんやて。自分らには内緒でな。撫子様言っとったよ。私はいきなり現れたからいきなり消えるんだって。」 「なッ!?」 女子の発言で固まるメンツ。 「特に忍足にバレたら今度はグーで殴られるって言っとたよ。」 「…そりゃ黙ったままとか殴るに決まっとるやん…せめて一言挨拶してから行けや……。」 「おい、メス猫。椿崎はどこの空港に居やがる。」 「ここから車で二時間かかる空港や。うちのミッションは12時までは絶対バレへんようにすること。ちなみに撫子様は14時の便で出国するて。」 「Aー!?それじゃ間に合わないC!」 このままでは間に合わない。ジローを始めとするメンバーは嘆く。 しかし滝と跡部は威風堂々と会場の出入り口を目指そうと体を翻した。 「跡部に滝どこ行くんや?」 「アーン?んなもん椿崎を一回殴りに行くに決まってんだろ。」 「僕もちょっとお仕置きにね。」 |
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