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それから撫子は岡山に一時的に帰省して、再び東京にやってきたときには一人、誰かを連れていた。 「こねーこちゃん!ドヤ!東京は!」 「オシャレや!ダッサイ訳も分からんファッションセンスのオバンも居らん!ちゅーか、みんなオシャレ!」 大阪弁を流暢に話し、且つ子猫と表現されている女子。更に撫子とそこそこ仲の良い人は彼女しか居ない。 「楽しそうで何よりさ!さて、これから東京観光…と行きたいのだが、何分時間がない。色々と手伝って下さいな。」 「寛大なお心の撫子様の為ならなんだって!イエスマイロードや!」 そう、四天宝寺にいる。いや、居た。撫子のコピーキャットの彼女。今回は彼女に撫子が世話になる番である。 「では早速、私ん家へgo!」 撫子は早々に自分の家に案内をし、少々片付けられている部屋の中に案内をした。 「……一人暮らし、なんやね…。」 「あれ?言ってなかったっけ?」 「言っとらんよ!?移動中はずっと…撫子様の友達について語ってもらっとったもん。」 「あぁ、確かに…私はあれだよ。田舎の学校と都会の学校の生徒が交換的に転校してどんな効果があるのかなプロジェクトの田舎の学校代表者でこっちに来てる的な。」 「うわ…えら……。」 「まぁ、ぶっちゃけ良い効果有りましたーって結果だから来年度も生贄が選ばれるんじゃないかな?私はこの度卒業したからお役目ごめんって感じ。」 「へぇ…岡山に戻るん?だから私は手伝いに呼ばれたん?」 しかし、違っていた。 「いんや?アルフレッドの家に行く。」 「…………は?」 「あぁ、アメリカに留学するんだ。」 田舎に帰るなら君を手伝わしたりしないよ。と撫子は重いことをケタケタ笑いながら軽く言った。 「ちょう待って、詳しく話して。」 「えっとー、クリスマスイブの日にその交換学生の発表会があって、その時私は英語が苦手だったけど今は得意になることが出来ましたって発表したら、私の英語力を認めてくれたどっかのお偉いさんが『ユー凄いね。ユー、アメリカ行っちゃいなよ。費用はこっちで持つぜ』的な事を言われたから、その話を受けました。」 「…簡潔な説明ありがとさん。お偉いさんの口調がジ。ニさんだったことにはツッコまへんで。」 「あらイヤだ。まぁ、そんな感じ。日本を発つのは君に代役を頼む日なんだ。だから頼むんだけどね。」 「ふーん…その跡部とか忍足とか言うやつにはサヨナラ言ったん?」 「いんや?黙って消えるつもり。忍足なんかに言ってみろ。今度はグーで殴られるわ。」 「…それでええん?」 「何が?サブカル活動は向こうに行っても続けるつもりだから別に。」 「ちゃうわ。お別れ、ちゃんとせんでええんかって言っとるんよ。」 「…みんなお別れに固執し過ぎって言うか……お別れ、そんなに大事?特に私はいきなり現れたからいきなり消える。」 「…撫子様がそうしたいのならこれ以上は口出さんけど…。」 「ども。さぁ、ダンボールに物を詰めて…それが終わったら君のドレスを合わせよう。それからちょっと練習しよう。」 「後何日なん?」 「後、3日。」 期間が少ない。しかし一日中頑張れば荷物も、練習も何とかなるだろう。 「そう、君はもう卒業式は終わったの?」 「うん、ちょっと前に。そん時氷帝にも負けへんぐらい白石君とか財前君とか告白されよったよ。」 「うわ、その光景が容易に想像できるわ。…謙也君は?」 謙也も結構顔面偏差値は高かった気がするのだが。 「忍足君は…ホラ、あのキャラやろ?イケメンなんやけど…友達ポジションやん?」 ずっといい友達で居ましょうね、と言うポジションだろうか。不憫である。 「……謙也君、ごめん。フォロー出来ない。」 しかし振られて慰められたり、白石や財前がモテモテでコンプレックス感じたりして嫉妬とかしたり、フラグを立ててくれたらなお美味しいのだがどうだろうか。 「ま、忍足君もその辺は分かっとるって言っとったから大丈夫やろ。」 「謙也君ェ…。ま、謙也君はおいといて、色々とやらかしましょうか!」 「全力でやらせていただきます!」 |
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