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率直に自分の気持ちを伝えてみた。しなしながら、勿論これは挨拶程度なもので、恋心は一つも入っていない。日吉は定石にしらっと返事をした。 「強いて言うなら脳内発酵してます。日吉…そんな事言ってもいいのかね?私を貶してもいいと思ってるのかね?」 いきなり不敵に笑い出した。一体何をしでかそうとしているのか。 「は?何を今更言ってるんですか。」 「後悔しても遅いんだからな!」 撫子は一度深呼吸をしてそれから言葉を発した。 「…ハァ……っ日吉の列に並んでいる子猫ちゃん達よ聞いてくれ!日吉の好きなタイプは清楚な人だから!清楚な人になるように日々精進すれば日吉と付き合えるぞ!ちなみに日吉はこの先一年間、24時間365日誰からの告白を受け付けるってさぁあああ!!」 「は!?」 「「「キャー!日吉くぅん!」」」 撫子の言葉を聞いて興奮する女子達。それに反比例するかの如く日吉はポカンとしている。状況把握が難しいようだ。 「プププ、ザマァ。じゃ日吉達者でな。キャー!日吉くぅん!」 「アン、タ!ふざけるのもいい加減に!」 日吉が思わず古武術の構えをとった。撫子は技をかけられてしまうのか。 「鳳!日吉を羽交い締めにして拘束!」 しかし撫子は日吉との距離を確実に離して鳳に命令を下した。そして鳳はその言葉に従い、日吉を羽交い締めにした。 「は、はい!もう、日吉!先輩にそんな口の聞き方は駄目だよ。」 「テメッ鳳!離せ!」 拘束から抜け出そうと日吉は暴れる。しかし体格差からか日吉は拘束から抜け出すことが出来なかったようだ。 「う腐腐腐腐腐腐。御馳走様です!最後の最後まで美味しい絡みあざーした!アディオス!」 二年の萌えを堪能した撫子は挨拶をしてその場を去った。 「岳人!ジロー!好きです付き合ってくださぁい!」 「俺、付き合うなら俺より身長の低い奴が良いから。ごめん。」 「んー…ごめん。」 撫子の冗談に岳人とジローが本域回答。 「ごめん冗談だから、ネタだから。謝んないで、ガチレスしないで、より惨めだからッ!」 「クソクソ!なんだよ。冗談かよ!」 「もー、駄目だよー。俺ら今感覚麻痺ってんだからさぁ。」 「ごめん、ごめん。つい便乗したくて…。でも愛してるぜ!二人とも!」 「それはありがとうだC。愛してるついでにポッキー頂戴!」 「持ってないわ。卒業式だもの。手ぶらだわさ。」 「Aー!」 「そうだぜジロー。どうせパーティーで会うんだ。そん時にたかれば良いじゃん。」 「そうだC!撫子!たかるからシクヨロ!」 「あぁん!シクヨロシクヨロ!」 「シクヨロは丸井君と俺の特権なのー!だから言っちゃダメだC!」 そもそも人に食べ物を集ることが間違いだと思うのだが、そんな事撫子には関係ない。 可愛いは正義。 「よし、後は帰るか。」 撫子は色々やり遂げた満載で帰宅しようと意気揚々である。が、しかし、それは阻止された。 「撫子、僕への挨拶は?」 「デスヨネー!滝様、ご卒業おめでとうございます!」 撫子は思いっきり滝との関わりを避けようと思ってしまったのだが、この世の中上手くはいかないらしい。平等が大切って事ですね。 「フフフ、撫子もおめでとう。」 「うはっ!?勿体ないお言葉、身に余る光栄です!」 「そんな改まらないでよ。僕と撫子の関係でしょ?」 「ど、…どのような関係で?」 「そう…あれは身も凍るような寒い日だった。そして僕は衰弱している撫子を介抱したじゃない、撫子は顔を赤らめちゃってさ……。」 「あー…。」 |
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