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「ギャァアアハハハアハハハハハハ!オメェ誰!七三プギャア!マジワロス。」 撫子がある意味で涙を流しながら髪型が七三になっている男子を指さしている。 「じゃかしいわ!撫子かて尻尾が低いやん!ニーソやのうなっとるし、ホンマ御馳走様です。」 どうやら七三の髪型になっているのは忍足のようだ。撫子はドツボにハマっている。しかしながら撫子もいつものポニーテールの位置は耳の辺りになっており、ニーソもハイソックスになっている。長い前髪も耳にかけており、何処のイモ子である。 「黙れよ!正装しないといけねぇんだからさぁあ!」 「俺も正装や!健康的な膝小僧御馳走様です!」 「どこ見てんだよ、バルス!」 「目がぁ!目がぁあ!」 「フハハハハ!ヴァカめ!」 「「アハハハハハハハハ…フゥ…。」」 「あえて言おうか。」 「せやな。」 「「卒業おめでとう俺ら!ピシガシグッグ!イ、エーイ!」」 テンションが今以上に高い。二人してお互いを祝い合うと言うべきか、自分を祝っていると言うべきか。 「ついに卒業だぜ!?信じられるか?」 「ホンマやな!俺ら、来年高校生やなぁ。」 「お前等は今まで中学生ってのが嘘っぽいけどな。」 「失礼な事言わんの。」 「事実なりや。…今だから言っておこう。私、この学校に来たくなかった。」 「なんやて!?ホンマ今更やな!」 「だって…地元の学校で地元の友達と卒業したかった。」 「……。」 「まぁ、こっちに来て沢山の友達が出来たからいいけどね。」 「…撫子……。」 撫子の言葉に感動したかのように忍足は撫子の名前をこぼす。そして撫子はそれを満足げに笑い、言葉を続けた。 「まぁ、ぶっちゃけ東京のイベントとかに参加したくてこっちに来たのが第一要因なんだけどな。」 「ひっど!?俺の今さっきの感動を返せ!」 「やーだよ。あんたが勝手に感動しただけじゃんかよ。」 撫子がただでデレる訳ないだろう。そろそろ理解したらどうだよ…。 「キーッ!…まぁ、理由はどうあれ来てくれてありがとうな。」 「フ、礼を言われるとはな。私も出世したものだ。」 撫子の見事なドヤ顔を見せつけられたら忍足は一瞬言葉を失った。 「………せやな。あ、もう列にならんといけんな。じゃ、撫子、後でな。」 「あー…たるいなぁ…ふけんか?」 撫子はこれから始まる卒業式をサボろうと言いだした。理由は先生や来賓の人の話が長いから。 「何言っとるんや。卒業生代表。」 「あら、バレてる。…私だと、いつから錯覚していた?」 「錯覚なんてしとらんし、それ言いたいだけやろ。まぁ、始めは跡部やと思うとったけど…跡部は卒業証書授与される者代表や、言うやん?」 「ふぅ…まぁ、私もまさかのって感じだったけど交換学生様だし?当たり前、みたいな?…つーか言葉中にお前のキョトン顔を拝みたかったのに…。」 「それかなり趣味悪いからな。」 「どうとでも言え。まぁ、感動させてやんよ。別れの涙を見せてくれ?」 「アホ言うな。どうせ16日のパーチーで会うやん。ほな、期待しとくで?卒業生代表交換学生椿崎撫子殿。」 「私の肩書きスゲェ事になってるな。ま、後で!」 撫子と忍足は男女の為、列が別である。列を整えるために別れることに、次対面するのは卒業式後。 撫子は、泣きはらせや。忍足ぃ…。と、ゼッテェ泣かす。と心に誓い、式への意気込みに気合いを入れた。 教室の前から体育館に向かう間、様々なクラスの前を通って行くため三年生徒の顔を拝むことになった。 女子、男子ともに笑顔である。まぁ、殆どの生徒はこのまま高等部に持ち上がるため、悲しみは無いのだろう。その光景を微笑ましく眺め手をヒラヒラ振っておいた。それに応えるように手が沢山振られる。撫子の人気は健在である。 そして始まる厳かな式。 こんなにも大勢の生徒が居ながら沈黙に包まれるこの空間は異空間のように錯覚する。 |
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