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そして撫子は寝る前に財前に電話をかけた。 「もすもす?光君?」 『お久しぶりっす!いつもニコニコあなたの隣に這いよる混沌財前光っす!』 「いんや、ね。教えてもらいたいことがあって電話したのよー。」 『なんです?新作ならもう少しで出来上がりますよ。』 「なんですって!?…じゃなくて、聞きたいことはあの子の電話番号。」 『……あの子…って誰っすか?』 「あの子だよ。あの子!」 『…あー…もしかしてあいつっすか。』 「そうそう、その子。光君はその子の電話番号知らない?」 『…一応知ってますわ。…やけど、なんでいるんです?』 「んー…野暮用かな。光君には迷惑かけないから安心して?」 『…分かりました。メールで教えます。空じゃ覚えてないんで。』 「あーもう、ありがとう!」 『いえ、撫子さんのお役に立てれて光栄っすわ。』 そして撫子は財前から聞きたいことを聞き出し、名残惜しいが電話を切った。それから撫子はあるところに電話をかけた。 「あ、もしもし?撫子だよー。…え?本物本物!…うん、うん。あのね、光君に君の番号流してもらったんだ。ごめんね、勝手に………うん、ありがとね。でね?私、今回君に頼みたいことがあって…うん。君にしか出来ないんだ。……あのね、3月中旬に東京であるパーティーに私の替え玉として参加して欲しいんだよー。…うん、勿論そっちの卒業式と被ったらそっちを優先していいから。…ちゃんとこっちまでの交通費とか色々こっちが持つし…。あ、君はドレスとか持ってる?…ですよねー!うん、こっちで用意させてもらうよ。何色が好き?…よし分かった。出来れば3サイズ……うお?教えてくれた!?サンキュー!ええ身体してまんがな。ウヘヘ…すみません調子に乗りました。…うん、うん……ごめんね。あ、誰にも言わないでね。じゃ、また詳しくメールするね。あ、メアド教えてー………ふん、…@……はい了解!また後でね!」 撫子は要件を言って通話を終了した。それから脱力したようにベッドに倒れ込んだ。 「…ハァァァァ……ごめん。」 この謝罪は誰にも聞かれることなく消えていった。誰にに対する謝罪なのか分からない。そして分かることは一つ。撫子はパーティー参加しない。…いや、参加出来ないという事だけ。 卒業式までの宙ぶらりんの時期、撫子は今まで以上にはっちゃけた。 思い残すことがないように、 それから悟られないように、 そうしていたらいつの間にか3月1日。 いよいよ卒業である。 |
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