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練習試合が始まりそれぞれ対戦相手を指示されコートに入っていく。 審判をしているのは準レギュラー陣を中心に。 撫子はスコアの報告を一つにまとめたり、次の試合の指示を監督から生徒への橋渡しをしたりと翻弄していた。 撫子としては立海を観察してかけ算をしたいところだったが、そんな暇は無さそうだ。 ときたま撫子と仁王が近くに…と言うより仁王が撫子に近付こうとする。 しかし幸村が仁王を呼び止めたり、跡部が撫子を呼びつけたり、まわりがこれでもかというほど気遣って仁王と撫子が接近することを回避させていた。 しかし、仁王は詐欺師。 撫子がタオルを干しに部室裏に行った瞬間を狙い、人の目をかいくぐって撫子に接近。 「椿崎…。」 撫子は振り返り仁王が後ろに居るという現実を目の当たりにする。 撫子は威嚇する。 「仁王…何?私はアンタなんかに用はないんじゃけど?」 「俺にはあるんじゃ。」 仁王が一歩、また一歩近付いてくる。 「ちょっ、こっち来んな!」 「………やじゃ。」 仁王は撫子の言い分を無視し近付いてくる。 離れている距離が5mから4mが3mと近づいて行く。なにこの恐怖でしかないカウントダウン。 それから撫子が腕を伸ばしたら届いてしまうくらいの距離に仁王が入っていき、その瞬間、 「来んなつっただろーがぁあぁぁぁ!!」 撫子は仁王の足をからめ捕りアンクルホールドをかけに入った。 「ピョッ!?」 「言ったじゃろーが!アンタは私の復讐対象者でしかないんじゃけん、そんなやつがノコノコと私の前に現れてさぁ!私はね、他校の選手に怪我させたら後が面倒臭いけん近付けないようにしてたんよ?それなのに……はぁ…。」 撫子は怯えるているわけではなかった。 仁王を発見して飛び出してしまいそうな拳を抑えるために震えていたそうだ。 こんな話をしている間にも綺麗にアンクルホールドをきめている。 「ピョォォォオオ!!」 よく分からない悲鳴を上げている仁王。 その声を聞いた立海メンバー、氷帝メンバーが裏に集まってきた。 「…椿崎さん、仁王を扱いきれなかった事は謝るけど……何してるのかな?仁王は腐ってもうちの生徒なんだけど?」 訳をすると、 うちのレギュラーに手出しやがってどういうつもり?どうやって落とし前つけてくれる? 「……説明させていただきます。」 「そうだね。丁度お昼だし休憩にしようよ、ね?跡部。」 気がつけばいつの間にか12時を過ぎていた。 「まぁ良いだろう。各自昼を摂れ。氷帝レギュラーは立海と昼を食う。部室に集まれ。」 各々行動開始。 立海レギュラーと氷帝レギュラーは部室に集まる。 これだけの人数が同じ部室に入っても狭く感じない氷帝部室。これぞ氷帝クオリティ。 撫子と仁王は対角線の様に一番遠い所に座る。 「揃ったね、椿崎さん話してもらえるかな?」 「早く話せ。俺様にここまで気を使わせたんだからな。」 「話しまぷー。…何から話せばいい?」 「何故、仁王を嫌っている?」 「小学校の頃仁王が短期間転入してきて、その時に嫌がらせを受けたから。」 「あぁ、だからさっき仁王にアンクルホールドをかけてたんだね。」 「ソウデゴザイマス。 …私がみんなに近付けないようにしてって頼んだのは私が仁王に手を出さないようにするための予防線だったんですよね…最終的に手を出しちゃったけど。 幸村君、すみませんでした。腐っても大事なレギュラーなのに手を出してしまって…」 仁王に謝らず幸村に謝る。 「気にしないで良いよ。さっきは驚いたからあんな態度とっただけで、ちゃんと理由があるんならもっと技をかけてもいいよ。お勧めはキャメルクラッチだよ。名前かわいいよね。」 名前はな! 怒られると思ったが逆に技をかけるのを勧められてしまった。 「…そうですね…。また後で…。」 睨みつけるように嘲笑うかのように仁王を見る。 「!?」 「仁王…悪いことは言わへん。大人しく始めからやられとき…抵抗すれば抵抗するほどエスカレートしていくで…撫子は嫌がらせの達人や…。」 経験者語る。 |
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