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「おい!!開けんしゃい!おまん椿崎撫子じゃろ!」 「………皆さんだけでコートに…。」 独特の方言、懐かしさと恐怖とその他諸々複雑な感情が撫子の感情を支配した。 なんだろう。冷や汗と動悸が半端なくヤバい。 血の気が引いて行くってきっとこんな感じ、今仁王と対面したらきっとただでは済まない気がする。 そんな思いで立海諸君に勝手に行ってくれ、と提案したがそれは部長の幸村によって却下された。 「場所が分からないなぁ?」 「デスヨネー?」 そんなまさか、部室とコートは目と鼻の先だ。 「フフッ冗談だよ。でもここから出なきゃマネージャーの仕事も出来ないよ?」 「そう…だけど……。」 「任せて。椿崎さんは真田の後ろにでも隠れて出て行けばいいよ。」 撫子は言われた通りに真田の後ろに隠れる。 「…ご迷惑おかけします……。」 「うむ…。」 「みんな行くよ。」 幸村がドアに手をかけ開く。 「椿崎!……幸村…。」 目の前の幸村の姿に仁王は動揺した。 「どうしたんだい?また遅刻じゃないか。お灸を据えられたいかい?」 「椿崎を出しんしゃい。」 真田の後ろに隠れている撫子の肩がはねる。 「仁王、荷物を置いてから、置いてから着替えてコートの方においで。赤也もだよ。」 黒いオーラを出す幸村。 「プリ…。」 「ウイッス。」 仁王と赤也が部室に入る。 そのすれ違いに撫子は幸村達に紛れて外へ出る。 「…すみませんが後よろしくお願いします。」 「分かったよ。でもちゃんと理由聞かせてね?」 「…はい。」 撫子は氷帝のメンバーが集まっているところへ、 ジローと岳人を目指してBダッシュ。 「ジロー岳人ぉ!!」 二人はたまたま話をしていたようで近くにいた。 撫子は二人抱きしめることに成功した。 「どしたの!?」 「おい!?何なんだよ!」 「お家に帰りたい…。」 「何さっきから奇行に走ってんだ。アーン?」 「私実は奇行種なんです。 …跡部様。お願いします。練習試合中私と仁王を近付けないようにして下さい!」 ジローと岳人から離れ跡部の正面に向かい、腰を90度におる。 れっきとした人に物を頼むときの態度だ。 「……お前、なんか変なものでも食ったのか?」 「食ってないから!それよりもお願い!」 「撫子〜。さっきからなんやねん…キャラ崩壊激しいで。」 そんな撫子の不自然な態度に忍足は珍しく心配をした。 「忍足には言ったけどさ…私ってテニス部に、てかテニスする人に偏見持ってるって言ったじゃん?」 「そういや言っとったな。」 「あれ…仁王が原因なんだ……。」 「なん…だと……。」 「おい、話が見えねぇぞ。」 跡部が言う。 そしてこの場にいたメンバーも同じ事を思っていた。 「跡部、俺からも頼むわ。会わさんようにしてやってぇな。」 「…詳しい理由は話してくれるんだろうな?」 「話す。」 「お前等、こいつと仁王が近づかないように気にかけとけ。」 跡部がメンバーに指示を出す。 「…ありがとう……。」 「しおらしいお前はキモいんだよ。いつものように電波でもなんでも放っとけ。」 樺地を連れて幸村に挨拶するために場を後にする跡部。 「!?電波なんて放ってねぇし!跡部の知識が少ないから電波に聞こえるんじゃないの!?このアホ部がぁ!!」 撫子の叫びは、跡部には聞こえていない。 しかし聞こえなくて正解だ、アホ部なんて言ったことがバレたら……まぁ、殴られる位で済むと思うけど。 「ア、アホ部っ!語呂よすぎやでッ!」 忍足を筆頭にそこに居るメンバーは静かにツボっていた。 「すっげー!今度からそう呼ぼうかな!」 「やめとき。練習量増やされるで。」 「それは困るC…。」 (…あほ部景吾。) (あほ部部長…。) (あほ部さん…。) それぞれメンバーは、実際に呼びはしないも心の中では『アホ部』と呼ぼうと思った。 |
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