青春Destroy | ナノ


032


「おい!!開けんしゃい!おまん椿崎撫子じゃろ!」

「………皆さんだけでコートに…。」

独特の方言、懐かしさと恐怖とその他諸々複雑な感情が撫子の感情を支配した。
なんだろう。冷や汗と動悸が半端なくヤバい。
血の気が引いて行くってきっとこんな感じ、今仁王と対面したらきっとただでは済まない気がする。
そんな思いで立海諸君に勝手に行ってくれ、と提案したがそれは部長の幸村によって却下された。

「場所が分からないなぁ?」

「デスヨネー?」

そんなまさか、部室とコートは目と鼻の先だ。

「フフッ冗談だよ。でもここから出なきゃマネージャーの仕事も出来ないよ?」

「そう…だけど……。」

「任せて。椿崎さんは真田の後ろにでも隠れて出て行けばいいよ。」

撫子は言われた通りに真田の後ろに隠れる。

「…ご迷惑おかけします……。」

「うむ…。」

「みんな行くよ。」

幸村がドアに手をかけ開く。

「椿崎!……幸村…。」

目の前の幸村の姿に仁王は動揺した。

「どうしたんだい?また遅刻じゃないか。お灸を据えられたいかい?」

「椿崎を出しんしゃい。」

真田の後ろに隠れている撫子の肩がはねる。

「仁王、荷物を置いてから、置いてから着替えてコートの方においで。赤也もだよ。」

黒いオーラを出す幸村。

「プリ…。」

「ウイッス。」

仁王と赤也が部室に入る。
そのすれ違いに撫子は幸村達に紛れて外へ出る。

「…すみませんが後よろしくお願いします。」

「分かったよ。でもちゃんと理由聞かせてね?」

「…はい。」

撫子は氷帝のメンバーが集まっているところへ、
ジローと岳人を目指してBダッシュ。

「ジロー岳人ぉ!!」

二人はたまたま話をしていたようで近くにいた。
撫子は二人抱きしめることに成功した。

「どしたの!?」

「おい!?何なんだよ!」

「お家に帰りたい…。」

「何さっきから奇行に走ってんだ。アーン?」

「私実は奇行種なんです。
…跡部様。お願いします。練習試合中私と仁王を近付けないようにして下さい!」

ジローと岳人から離れ跡部の正面に向かい、腰を90度におる。
れっきとした人に物を頼むときの態度だ。

「……お前、なんか変なものでも食ったのか?」

「食ってないから!それよりもお願い!」

「撫子〜。さっきからなんやねん…キャラ崩壊激しいで。」

そんな撫子の不自然な態度に忍足は珍しく心配をした。

「忍足には言ったけどさ…私ってテニス部に、てかテニスする人に偏見持ってるって言ったじゃん?」

「そういや言っとったな。」

「あれ…仁王が原因なんだ……。」

「なん…だと……。」

「おい、話が見えねぇぞ。」

跡部が言う。
そしてこの場にいたメンバーも同じ事を思っていた。

「跡部、俺からも頼むわ。会わさんようにしてやってぇな。」

「…詳しい理由は話してくれるんだろうな?」

「話す。」

「お前等、こいつと仁王が近づかないように気にかけとけ。」

跡部がメンバーに指示を出す。

「…ありがとう……。」

「しおらしいお前はキモいんだよ。いつものように電波でもなんでも放っとけ。」

樺地を連れて幸村に挨拶するために場を後にする跡部。

「!?電波なんて放ってねぇし!跡部の知識が少ないから電波に聞こえるんじゃないの!?このアホ部がぁ!!」

撫子の叫びは、跡部には聞こえていない。
しかし聞こえなくて正解だ、アホ部なんて言ったことがバレたら……まぁ、殴られる位で済むと思うけど。

「ア、アホ部っ!語呂よすぎやでッ!」

忍足を筆頭にそこに居るメンバーは静かにツボっていた。

「すっげー!今度からそう呼ぼうかな!」

「やめとき。練習量増やされるで。」

「それは困るC…。」

(…あほ部景吾。)
(あほ部部長…。)
(あほ部さん…。)

それぞれメンバーは、実際に呼びはしないも心の中では『アホ部』と呼ぼうと思った。

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