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そして昼休み。 「「「お姉様ぁ!」」」 ドドド、と押し寄せてきた子猫ちゃんs。皆の手にはチョコレートがあった。受け取って下さい、と言わんばかりの勢いである。 「ッキャァアアア!子猫ちゃんありがとう!」 「撫子の机の上にはチョコレートのピラミッドが出来たのであるマル。」 「状況説明ありがとう。君の机の上にはスカイツリーなう。ピサの傾塔にしてやろうか。」 「堪忍したって。」 「チョコに溺れて死ぬなんて本望だろう?」 「撫子、それ間違っても跡部の前で言わんときや。現実するで…。」 「…肝に銘じてます。なんなんだよ…チョコ7747個ってよ…ジャ○ーズ一人よりも貰ってんじゃねーの?」 「さぁ…○ャニーズの相場が分からんから何も言えんわ。」 「ですよねー!…さてと。」 撫子は休み時間の半ばになって席から立ち上がった。 「何?」 「ちょっくらチョコ配ってくるよ。」 またまたチョコを装備してクラスから出て行った。 「岳人ー!」 とりあえずは本命といっても過言ではない岳人にチョコを渡しに行ったのである。 「おー!チョコくれるのか?サンキュー。」 「グハッ!?先読みされた!」 「いや、だって袋持ってるし、今日バレンタインデーじゃんか。」 「リア充めいた行事に参加してるよー。日本のお菓子メーカーに率先して踊らされてやるよー。ホレ、チョコだよー。ありがたく受け取ってよー。」 テンションだだ下がりの中、岳人に手渡した。 「おぉ、サンキュー!」 岳人は受け取りそれをゴソッとチョコの山が入ってある紙袋へと入れた。 「山のように貰ってますなぁ…。」 「あったり前だぜ!俺のイケメンで銀河がヤベェ!」 「だったら跡部はどうなるのか!」 「………。」 返答に困ったようだ。岳人は撫子から目をそらした。 「ですよねー。で、岳人チョコ頂戴!ギブミーチョコ!」 「……チロルチョコでもいいか?」 「…その心は?」 「準備してませんでした。」 「酷いわ岳人!跡部に私が負けても良いって言うの!?」 「そんなこと言ってねぇだろ!つーか撫子なら俺からのなんて貰わなくても勝てるだろ!」 「7747個に勝てる気はしねぇ!」 「だよなー!」 「…はぁ…無いのなら仕方ない。他の奴らから集るとるすわ。」 「おう、そうしてくれ。」 岳人はあまり怒られなくて良かったとホッとした面もちでうっとりした面もちでチョコがいっぱい入ってある紙袋を眺めた。確かに萌えるがなんだかイラッとした。 「…岳人ー。」 「んー?」 「それをうっとりと眺める表情は御馳走様です。そしてそんな岳人にこの言葉を贈るわ。」 「なんだよ。」 「飛べない豚はただの豚。太ってふくよかになったら、君のアイデンティティ消失だから。じゃバイバイ。」 「なっ!?」 撫子は残酷なる一言を言い放って岳人の教室から離れた。後ろの方でクソミソとか言ってた気がする。なんだろう。青いツナギの人物が脳裏によぎった。 |
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