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「やッちょ、追いかけてくるんだけど!」 「待てや君達ぃい!」 「「「!?」」」 持てる力を発揮して撫子は女子達の前に先回りした。 「ね、跡部にチョコあげるの?」 「悪い!?」 「や、別に?」 くそ、確実に三つはあいつ高級チョコが手にはいるのか…。しかも美人から…。 「だったら放っておいてよ!」 「はいはーい。お邪魔しました…っと?」 女子達の警戒は解けることなく撫子を威嚇しっぱなしだった。少しは警戒を解いてもいいだろうに…と言うかこのメンツだと被害者は撫子だろう。ウィッグをボロボロにされたしね。 撫子は来れ以上刺激する必要性は無いだろうと判断して女子達から離れようとしたとき、この街、この場所に似合わない男子を見かけたのだ。 「おいお前!」 誰だ。 「…ミチル?なんでここに居んの。」 どうやら女子達の知り合いらしい。 「べ、別に?たまたまここ通っただけだしよ。」 「あっそ。」 「あぁ、そうだよ。……お前…誰かにチョコやるのかよ。」 「ハァ?あんたには関係無いでしょ!」 「そ、そりゃそうだけど…。」 「「………。」」 何故だが張り詰めた空気が漂う。 何故だろう。 「ね、つかぬ事を伺いますが…どういう関係でしょうか?」 コソコソと撫子は他の女子達に聞いてみた。 「……あの子とミチル…幼なじみなの。」 「…へぇ、君達は応援とかしてないの?」 「だって…私達跡部様好きだし……。」 跡部が好きらしいが、明らかに理由にしている。見てみろ。ミチルと言う男子と向かっている女子の顔を。照れが入っているではないか。これがツンデレなんですね、萌え。 「ごめん、君達の思いに水を差すようで悪いけど…それってlikeじゃないの?跡部の事、loveなの?」 「「ッ……。」」 「跡部って言う存在をアイドル扱いするのは君達の勝手だけど…跡部を他の男子を無碍にする理由にはしないでほいしな。つーか、跡部は恋愛対象で見るのは止めとけ、身を滅ぼすだけだから。イヤ、ほんとマジで。」 「「……。」」 「あー!もううるさいうるさい!2人共行こう!もうチョコ買ったし帰ろう!気分悪い!」 撫子が二人と話している間にもミチルと言う男子と幼なじみの会話は繰り広げられていたようで…言い争いで関係が悪化しているらしい。キレている女子は女子二人を連れて去っていった。この場に残っているのは撫子と、うなだれているミチルと言う男子。 「……元気ですかー、1ー2ー3ー。」 「ダァアアアア!うっせぇデカ女!ほっとけよぉお!お節介クソ女ぁあ!」 「…テメェ、それ以上言ったら発展場ぶち込んでケツの穴ファックすっぞ!」 「は?発展上?意味分かんねぇよ。つーかそこはファックユーだろ。うわ、お前バカ?」 あぁそうか。ファックの正しい意味を知らないのか。相手を貶す言葉という認識なのだけなのだろう。 「おどれ…ええ加減にせんとケツの穴に手ぇ突っ込んで奥歯ガタガタ言わせてあげらぁ。覚悟しね。」 「すんませんしたッ!」 ちょっと撫子が手刀のポーズをしてやればミチルと言う男子は速攻で謝った。 「ハァ…氷帝学園三年椿崎撫子。」 「…銀華中福士ミチル。」 「単刀直入に聞こう。君、彼女のこと好きでしょ。さっきの態度じゃバレバレよー。」 「!?」 撫子の言葉を聞いて心底驚いたようだ。 「何でそんなに驚くのさ。あぁ、そうだ。私にチョコ買ってきてね?」 撫子よ突然何を言い出すんだ。 「は!?」 「私を散々貶した罰だ。待ってるからね?14日の放課後、チョコでもクッキーでも、なんでもいいから、買って来てね?氷帝学園で待ってるから。」 |
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