青春Destroy | ナノ


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「ぅおおぁあッ!寒いぃぃぃ!!」

撫子は一人寒空の下、街に繰り出していた。何故インドアな撫子が街に繰り出す必要があったのか。それは簡単である。

「シャラララー、バレンタインキィイッス!」

そう、来週にバレンタインデーが迫ってきているのだ。リア充でもない撫子がリア充の三大イベントに参加する必要があるのか。あるに決まってるじゃないか。だって二次元には嫁々がいっぱい居るのだから!一腐多妻制万歳。
まぁ、それは手作り…と言うかチョコ達は手作りをするからガラスケースの向こう側に鎮座してある高級チョコは買わないのだよ。一粒500円超えを買うなんて懐が真っ赤かになるわ。しかし…美味しそうである。しかもチョコを懸命に選んでる美人さん達萌え、彼氏さんだか上司だか本命さんだかそこ代われ。

「うはぁ…嫁にはトリュフとかだけにしようとしたけどもっと色々作ろう…。ま、その他大勢にはチョコチップクッキーでも作って…。後お世話になった人には嫁レベルの物と、あ……そうだ!」

撫子はあることを思いつき何処かへ電話をかけ始めた。

『アーン?何のようだ。』

「もちもち?跡部れすか?オレオレ、オレオ!だけど。」

『ツッコミどころ満載な話し方をするな。イタ電なら切るぞ椿崎。』

「いやん、つれないんだから!」

『切るぞ。』

「待て待て待て、短期は損気だ。待ちたまえよ。私は貴様に再戦を申し込む為にTELしたのだよ。」

『は?』

「ハロウィンの時負けたからさー。バレンタインで勝ちたいな、と。」

『お前に勝ち目があると思ってんのか。』

「ある!」

『フン、どうだか。俺様は日本中からプレゼントがくるんだぜ?去年は7747。』

「ファ!?人間じゃねぇ!」

『それでも勝てるのか?』

「……マイリスト…マイリスト=チョコの数でもいい?そしたら勝つる気がする。」

『アーン?よく分かんねぇが…まぁ、いいぜ。それでも俺様には勝てねぇだろうがな。』

「アーン?なめてもらったら困るぜ。この撫子様だぜ?テメーのその発言、後悔しても遅ぇからな。」

『ハッ!言ってろ。勝のはー』
「私だぁ!」
『俺だ!』

散々跡部の決め台詞を奪ってきた撫子だが今回は電話口と言うことで跡部の決め台詞を許してしまった。

「幸先悪いのぉ…。」

さて…チョコ作り本気出すか。
勿論初めから本気を出すつもりだった。嫁にあげる本命チョコだし。本命チョコ、義理チョコ、さらに作るものが追加されたのである。
投稿チョコ。「【チョコ】全力でバレンタインを呪う。あ、間違えた祝う。【作ってみた】」笑顔動画に投稿するための造形的に高クォリティーかつインパクトのある物を作る。
そしてコメントを出来るだけ集めるのだ。ならばもっと本気でチョコの店を周り今年流行のチョコは何なのか、などリサーチする必要性がある。
唸れ俺の両足!

「あー……柑橘系男児さんとコラボしてぇ…。」

確実に話題性としてもクオリティーとしても申し分ないだろう。しかし撫子ひとりの力ではないからなんかフェアではない。そんなチート技ばかり思いついてしまうのであった。

「跡部様受け取ってくれるかな!」
「受け取ってくれるって!」
「わぁ!これ素敵ぃ!店員さんこれ下さい!」

「ん?」

跡部と言う単語。
子猫ちゃん達かしら?
撫子は声をかけておこうと聞こえてきた方へ向かった。

「子猫ちゃー……!?」

「「「あーッ!?椿崎撫子!」」」

「跡部ファンクラブ銀華中支部!」

そう、跡部様云々と騒いでいたのはなんと文化祭にて色々とお世話したお世話になった女子達。女子達は撫子の姿を確認すると一目散に逃げていった。がしかし、それを撫子は全力で追いかけた。

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