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「…もしかして小僧か?」 「小僧…ではあるかな?」 「…越前リョーマ。」 「ああ!そうそう越前!亜久津君、知り合いだった?」 「一回試合で当たった事がある。」 その声が少々穏やかではなかったため試合結果はお察し下さいと言うものだったのだろう。速攻で話を逸らすことにする。 「あー………で、見かけたかね?」 「いや…見てねぇ。見かけたから連絡する。」 「あざーす!じゃ、また出会えたら!」 亜久津との会話を終え、撫子は再び戦地へと繰り出す。次は商業スペースに向かうことにした。 そこも結構な人数が居たのだが髪型が特徴的な彼はすぐ見つけることが出来た。 「あーかーやー君!」 髪型が天パでワカm(ry物凄くくしゅくしゅしているのですぐ分かる切原赤也。赤也は商業スペースのゲームブースに居た。 「んあ?撫子さんっすか?」 「そうそう、お久しぶりー。」 「本当っすね!そのコスも似合ってるっすよ!」 「誉めても何も出ないぞ!で、赤也君は戦利品は有るのかね?」 「いえ、物を買いに来た訳じゃないっつーか…今金ねぇし……お正月明けたらいっぱいあるのに…年末とか一番金ねぇ時期っすよ。」 「男子中学生のお財布事情ェ…。だったら何しに来たのさ?」 「あのっすね、スタッフさんの迷台詞を発する現場に居合わせること出来ないかなぁって思いましてですね…。」 赤也はどうやら迷台詞目当てにここに来ているらしい。どんな体力の使い方だ。そんなコミケの楽しみ方初めて知ったわ。 しかしながらそれ目当てにここに来たって事は先程の手塚の発言は聞いたのだろうか。もし聞いたなら手塚よ…撫子と赤也の力によってより早くより広範囲に広まることになるぞ。 「へぇ…どんなの聞いた?」 「えっとっすねぇ!」 いくらか例を言いあげる赤也。その中には手塚の台詞は入っていなかった。あの迷台詞を例に挙げないとは有り得ないからきっと言う瞬間にいなかったのだろう。 …チッ。 「…またこの世にそんな素敵な名言を生み出すお方々がいらっしゃるとは……。」 「っすね。」 「あ、ところでさリョーマ見かけなかった?」 「越前っすか?さぁ…見かけて無いっすねぇ。つーか来てるんすね。」 「らしいんだよねー。じゃ、私引き続きリョーマ探索に出かけるよ!」 「はいっす!出会えること祈ってるっす!」 「あざーす!」 そして撫子は歩き出す。撫子としては商業スペースに居ると感じている。ここのブースが一番邪気的なオーラを感じないから居やすいと思うから。 しかし見つからない。当てが外れたか…。 「ん?」 撫子は見覚えのある顔を発見した。具体的にはアヒルを連想させる顔つきである。そして買う物を悩んでいるらしくブツブツと呟いている言葉の中に「だーね」と言う物があった。 「あ……アヒル、さん?」 「だ!?誰だーね!なんで知ってるだーね!」 突然話し掛けられ柳沢は慌てる。 「撫子です撫子です、ルドルフであわせをしたとき青い人をやった撫子です!」 「あ、撫子さんだーね。びっくりしただーね。」 「驚かせてさーせん…お久しぶりに会えたんでつい…。」 「お久しぶりだーね。撫子さんはスペース出してるだーね?」 「二次創作のBLアンソロの方で…マスターのスペースに委託して貰って。」 「友達受かっただーね?羨ましいだーね…。」 「あぁ、そう言えばアヒルさん落ちちゃったんだっけ?観月君から聞いたよ。」 「そうなんだーね。けど次は受かるつもりでいるだーね!その時は遊びに来ると良いだーね。」 「はーい。機会が有れば、そうするよ。……。」 ちなみに撫子は柳沢と会話をしながらも神経は若干外に向かせリョーマの探索にあたっていた。なんとも失礼な話である。 |
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