青春Destroy | ナノ


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「…ん?」

混雑しているエリア発見。そこにはオレンジ帽子が数個見受けられた。

――ただいま混雑しております。――

オレンジ帽子のスタッフがその場の混雑を収集しようとしきりに声掛けを行っている。スタッフは時々素敵な名言を言って下さるから油断できない。撫子はなんなとなく「聞こえてこないかなぁ」と思い耳を澄ませることにした。

「ただいま混雑しております。押さないで下さい。お求めのものは逃げません。焦れば焦るほど逃げます。怪我をしてしまったらそれこそ列から離れなければならなくなる事を忘れるな。」

「…手塚君かな?」

声質からしてきっとそうだ。○鮎さんっぽいから、撫子は取りあえず見かけたから挨拶をしておこうと手塚に近付いた。

「コミケは人を傷つけるためにあるのではない。萌えるためにあるのだ。さぁ、油断せずにイこう。ふぅ…。」

「どるぁ!?てづk…ぶty…君、今発音おかしくなかったか!?」

手塚と呼ぶことはダメだろうと思い、さらに舞長と呼べば身バレしてしまうと考慮して結局は代名詞呼びになってしまった。

「む?あぁ、撫子さんではないか。冬コミ楽しんでいるか?」

「あぁ、楽しんでるさ!楽しんでいるともさ!」

「ならばいい。」

「こっちがよくねぇよ!君、今の発言大丈夫なの!?」

「大丈夫だ。問題無い。発言者はスタッフとして3chや笑顔動画で話題になるだけだ。」

「いや、まぁ…そうだけど……。しかし、気をつけなよ。今の発言を聞いたのは私だから良かったものの…もし魔王様達に聞かれてたりなんかしたら…アッー!」

「それも違うだろう。」

「いや、君のネタにあわせてみた。ま、スタッフさん仕事頑張れー。」

「うむ、俺はスタッフの柱になる。」

「…そうか。」

撫子は若干呆れながら手塚の元から去った。しかし、分かりやすくテンションが上がっていた。あんなにも妙なことを言うキャラではなかったと思うのだが…きっと今日の晩辺りに忘れてくれだの何だの言ってくるだろう。スタッフの誰かが言ったこととして私が責任持ってうpるから安心しろ。

「フー…結構色んなところ見て回ったな…っとごめんなさい。」

「ぁあ?」

「ヒッ!?ごめんなさいごめんなさい許して下さい。」

撫子が再び会場内を散策していて人とぶつかってしまった。咄嗟に謝る。しかし、ドスの利いた声で返事をされたため撫子は短い悲鳴を上げ更に謝った。

「…撫子、さんか?」

「ごめんなさい、ごめんなさい、お金は無いんです。資金でいっぱいいっぱいなんです。どうかご勘弁ごめんなさいごめんなs…ん?あぁ!白菜さん!」

名前を呼ばれ顔を上げる。必死で謝っていたため気付かなかったが顔をよく見たら亜久津であった。

「久しぶりだな。」

「確かに、…あの節はどーもでした……。」

「気にすることはねぇ。ジジイなら俺がシメといた。」

「お年寄りは大切にしようぜ…。」

「ぁあ?」

「イエ、ナンデモアリマセン…。亜久津君は今日一人?壇君とか壇君とか壇君とか居ないの?」

「一緒に来るわけねぇだろうが。こんな苦行でしかねぇとこによ。」

「ですよねー。壇君がここにいたら踏みつぶされるか男の娘としてhshsされちゃうもんねー。」

「あぁ、千石に預けてきた。今頃は千石にテニスでも教わってんじゃねーのか?」

「亜久津様っマジ良い先輩!」

「ふん。」

少し照れたような素振りを見せた亜久津だった。

「あ、私人探しの最中でもあるから行くね。」

「ぁあ?誰捜してんだ。」

「んー…リョーマなんだけど…名字何だったけ…坂本じゃねーし…っと……。」

いつもリョーマ、リョーマ言ってるから苗字忘れちゃったよ。

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