青春Destroy | ナノ


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「…どうしただーね?」

「いや、…人探しをちょっと……。」

「初めて会う人だーね?」

「いや…もう私の萌えなのだよ。もう俺の嫁な…。」

「…そんなに仲良かったらケータイの番号とか知らないだーね?」

「あ…その手があった。」

「………。」

盲点だったと本気でボケをかます撫子に柳沢はどうツッコんで良いか分からず無言を押し通した。
撫子はテヘペロとふざけながら柳沢と別れリョーマに電話をかけた。そうしたらワンコールであちらが出た。どうやらあちらも撫子を探し回っていたらしい。撫子とリョーマは柳のスペース前に、と集合場所を決め落ち合うことに。しかし既に冬コミが終わるまで後一時間。

「っリョーマァア!」

「撫子さぁあん!」

「「会いたかった(っす)!!」」

出会った二人は思わず抱き合う。リョーマは今までにないぐらいの笑顔を振りまいていた。

「わー、感動の再会じゃのぉ…。」

「しかしケータイと言う便利機器の存在を二人とも忘れるとは…ドジッ子萌え、とでも言っておこうか。」

「ほら、時間が経つ度に友達となんちゃらはあてにならなくなるって言うし、一緒に来た友達と逸れたら出会う事なんて絶望的。初めからいないものと思えば気が楽になりますってあるものねー!目の前に欲があったら人間それしか目に入らないのだよ。ねー?リョーマ!」

「っす!けど俺は撫子さんを驚かせてみようって意図的に連絡入れませんでした…こんなに出会うのが難しかったなんて…。」

「リョーマ、コミケの参加人数をなめたらアカン。」

3日間で50〜60万人とかその辺の市の人口だろう。

「次から気をつけるっす!」

撫子の忠告を素直に受け取りリョーマは次こそは、と意気込んだ。

「さて撫子さん、もう冬コミも終わる。どうだ?思い残すことはないか?」

「んー…強いて言うことは無いかなぁ?委託本も捌けたし忍足はきっとフルコンプしてくれただろうし…うん、ない!」

「そうか、それは良かった。では片付けに入ろう。撫子さんと仁王は着替えてこい。こちらの片付けは忍足と柳生でやる。この後は例の執事喫茶でアフターだ。無論、予約は完璧だ。」

「マスター流石!じゃ後でー!ほら仁王さっさと着替えるよ。」

「はいはい、執事喫茶って…女が行くもんじゃろ。」

「なに?メイド喫茶が良かった?仕方ないなぁ、その格好をしたまま秋葉原かぁ…まぁ、行けるか。よし行ってこいその格好で、異論は認めない。」

「冗談じゃ冗談!めっちゃ執事喫茶行きたいのぉ!楽しみじゃなぁ楽しみじゃなぁ!」

「大人しく執事喫茶で我慢しとけよ…目的はマスターと私のアフターみたいなものだぞ。」

「…プリ。」

最後の最後まで仁王は撫子に反論していたがことごとくカウンターを食らい自分の首を絞めるといったドM行為を行った。
しかしながらこの冬コミでは今まで出会ってきたオタ仲間に会った。偶然だが、ある意味で必然だった。撫子は東京に出てきて、オフで交流する機会が多くなったネット上の友達に、萌えたり、興奮したり、ととても充実していたと感じる。これからもこの出来た友達との交流は一生のものになればいいのになと思いながら、撫子は次に向かう執事喫茶に行くための準備を行う。

しかし時の流れは止まることはなく中学卒業まであと三ヶ月あまりである。

執事喫茶にてアフターを行っているときにふと撫子が思い出した。皆に会うことが出来たと思っていたが、乾でんち、つまりは乾に出会っていないことを思い出した。忘れてた訳ではないのだ、サークル巡りの時に乾のスペースにはきちんとチェックを入れていたのだ。しかし実際行ってみるともぬけの殻で、もう少し時間が立ってたらお邪魔しようとして、忘れて…たのだ。

「そう言えばマスター。乾君は?サークル参加してると思ったんだけどパンフにも名前があったけどさ、スペースはもぬけの殻だったよ?」

「あぁ、確かに貞治は参加予定だったのだが、あいつは何時まで経ってもバカだったと言う事だ。」

「つまり?」

「前日に乾汁の新作を自らが飲んで、腹をくだし、寝込んでいる確率100%。」

「うそーん……新作は次の機会?」

「いや、俺が俺と撫子さん用に二冊貞治から奪ってきた。」

「キャァアア!!マスター惚れる!マジ神!」

「それほどでもない。」

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