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「あー…それはそれは…。」 「クスクスクス、撫子さんこっち来なよ。そんなのと一緒に居ても楽しくないでしょ。」 「んー…ツインズABさん。木手君ってあのチョココロネさんだよ?」 「「なん…だと!?」」 左右対称に驚いた木更津兄弟。不二はシャッターチャンスだとカメラを構えてその瞬間を激写した。 「撫子さん、いきなりバラさないで下さい。」 「ソーリーソーリー。だけどもいがみ合われたくないからここはいっそ木手君のとても素敵すぎる肩書きでツインズさん達を黙らせてしまおうかと…。」 「確かにそれは一理ありますね…ツインズさん、どうも私がコス衣装、特に撫子さんとペテンさんに対して作っているチョココロネですよ。」 「「……信じたくない。」」 「ツインズさーん、残念だけどこれが現実だからねー。ホラ、みんなも固まってないでさ!私の来てるこの衣装、木手君が作ってくれたんだよ!」 「え!?それをこいつが作ったのかい!?」 「イグザクトリー!正解でございます!テニスではラフプレイが目だって悪役な木手君だったかもしれないけどさ、ここはテニスコートじゃないし…二次元と三次元の境目に等しい所だからいがみ合いは止めようぜ!木手君も一言謝る!」 「…………あの時は大人気ないことをしてしまいましたね。謝罪します。」 「え…うん、まぁ…おじいも元気だし…もう良いよ。」 「…そうだね!寛大な心を持ってないとかっこいい大人になれないからね!撫子さんの張り手を食らったときそう思いました!」 「え……?やっぱ平手には何か不思議な力が…?」 「撫子さん、それは無いね。」 「ですよねー。周助君にそう言われたら反論すら出来ないわぁ。」 「そうだ。今日は手塚はスタッフとして参加してるはずだよ。」 「マジで!?あの目立つ帽子をあの手塚君が被ってんの!?」 「フフ、そうなるね。探してみると良いよ。」 「ラジャー!」 実にその姿の手塚は目にしておきたい。撫子は次のターゲットを手塚にした。が、どこのブースを担当しているのか分からない…だから適当に歩き回ることにした。 「あ…撫子……。」 「あ、忍足、元気?」 歩き回っていたら忍足と出くわした。 「後ここの買ったら終いやから!」 「わぁ!お疲れ様だね!流石忍足、やるときにはやるねー。」 「フフン、もっと誉めてもええんやで。」 「ちょづんな。」 「さーせんした。」 「まぁ、本当にお疲れ様だね。ご褒美的なの何が良い?金以外なら応えてあげるよ。」 「ホンマ!?やったら正月、一緒に初詣行こうや!勿論撫子は着物着て!」 「なんて羞恥プレイ!?」 「金は絡んどらんから応えてくれるんよな?」 「…着物持ってねぇし。」 「跡部に言ったら有る言うてた。」 「…着付け出来ねぇし。」 「跡部ん家のメイドさんが出来るから。」 「…正月に着物って…あり?田舎ではまず見かけねぇよ。見せ物になるくらいの物珍しさだよ。」 「ここ田舎ちゃうし。…男らしゅうないで?」 「くっ…男に異論はねぇ!」 「フッ、じゃぁ楽しみにしとくわ。」 「侑士やぁ!侑士が居るぅ!」 忍足のしたり顔に一発かまして伊達眼鏡を粉砕してやろうか、と撫子が考えて身構えた瞬間縋るような声が聞こえてきた。 「「謙也(君)!?」」 「ん?声からして椿崎か!もう助けてぇ!俺もう嫌やぁ!」 「…何からや?ちゅーかなんで自分がこんな所居るんや。嫌いやろ。」 「俺、嫌や言うたのに…白石とかが…買い出ししろってっ!」 「「あー…。」」 「謙也君、あと何サークル?」 「5つ…。」 疲れきった謙也の表情はとても…あれ的な意味で萌えである。 「地味に多いな…。よし、忍足手伝ってやれ。」 「は!?なんでや!」 「助け合うべきだろ!君はいとこを助けると行った行為はしたくないのか!」 「や、やって…。」 「ホンマか!?流石侑士や!めっちゃ助かるわぁ!あ、これが残りな。俺が2つ回るから侑士は3つよろしゅうな!」 じゃ、任せた。と謙也はさっさとどこかに移動してしまった。 「なッ謙也テメェエエ!!」 「じゃ忍足、それのノルマクリアしなかったら私の着物無しだからね。」 「はっ!?撫子関係ないやん!」 「フッ…蔵さんが買った物は必然的に私も貸してもらうのだよ。分かったか!」 「っ…ジーザス!」 「その言葉、地獄に行っても忘れるな。」 決め台詞をはいて撫子は再び移動する。いい加減手塚と遭遇したいものだ。 |
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