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「次はー…む、杏ちゃんが居てるでー!杏ちゃーん!」 次はどこに行こうかと迷っていたら目の前を杏が横切ったのだ。 「!?えっと…。」 撫子だと分からないようで杏は返答に困っている。 「撫子です…。」 「あッ!ご、ごめんなさい!!すぐ気が付かなくてッ。」 「いんや気にしてないから良いよ。こっちこそいきなり声かけてゴメンね。杏ちゃんは今何してんの?出展してた?」 「いえ…兄の手伝いをしてて…撫子様は石田君、見てませんか?」 どうやら人を捜しているようで撫子に知らないかと尋ねてきた。 「石田?…伊武君と神尾君しか顔と名前が一致しないっ、ごめん…。」 確かに一度過去に氷帝はぶつかったわけだが覚えていない。杏の家に行ったときも伊武と神尾しか居なかった気がする。 「頭に白いタオル巻いてて、…後、もみあげがありません!」 「どんな特徴だよ!」 「石田君のタオルの下は謎に包まれてるんです。それよりも早く捜さないとッパンピなのに一人で行動しちゃって…!」 「なん…だと!?それは危険すぎる!探すの手伝うよ!」 杏の説明を元に頭にタオルを巻いてもみあげの無いと言う石田を捜す。 「しかしなんでパンピが来ちゃったかなー…。」 「それは兄がスペース参加して、みんなが手伝いたいからって、兄はそれを断るわけにもいかないって言うもんだからみんな来ちゃって…。」 確かに柑橘系男児、即ち橘桔平がサークル参加することは予めカタログにて知っていた。今までうpしてくれた料理の作り方を載せたものを発売するとか…。がしかし今何と言った?みんな…だと? 「おいおい待ってくれみんなと言うことはキューティクル君と鬼太郎君も来ているというのか。」 「はい、後は桜井君も内村君も森君も来ています。」 「それって不動峰みんなやんなぁ!?」 「はい!兄さんってみんなに好かれてますよね!」 「腐的に素敵な情報ですね!いや予想はしてたけど立証されるとは…。」 「あ、予想してましたか?」 「うん、だって橘君以外は二年でテラハーレムじゃね?」 「まぁ、兄とみんなは先生と園児…いえ生徒っぽいですけどね。」 「園児って完璧に言ったな!じゃあここに来たのは遠足か!?」 「ああ!あながち間違ってないと思います。」 「訂正してあげて!」 「あ!杏ちゃん!」 「あ、石田君!もう、探したんだから!」 どうやら石田と言う人が杏の姿を見つけて向こうからやってきた。若干撫子を睨みながら。 撫子は「あ、本当にもみあげがない…。」とか思いながら石田の本来ならもみあげがあるだろうと思うところをガン見しながら、そんなことを思いながら石田からの厳しい視線を感じた。 「あなた、誰ですか?」 石田が杏の腕を引っ張り自分の方へと寄せて撫子と杏の距離を取らせた。その態度から推測するに石田は撫子を男だと勘違いしているようだ。 うん、実に面白い。 「何を言っているんだい。こんな美人が一人で居るんだ。声をかけないという事は失礼に値するだろう?」 「はッ!?」 「まぁ、俺は君のような青年もいける口でね。」 「な!?ホホホ、ホモ!?」 「もう、撫子様!石田君で遊ばないで下さい!」 「テヘペロ。」 「は?」 「石田君、この方は女子よ。撫子様、知ってるでしょう?」 「撫子様?…あぁ!橘さんが言ってた。」 「そう、私が石田君を捜してる時に出会って一緒に捜してくれてたの。」 「え、あ…どうもすみませんでした…。」 自分に非があったことを素直に認め石田は謝罪した。 「素直な人は好きだよ。そんで私もふざけ過ぎてごめん。」 「じゃあ、二人とも行こう!お兄ちゃんが待ってるからね!」 三人が意見を一致させ、橘桔平つまりは柑橘系男児のスペースに行くことになった。 |
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