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撫子は門に移動する。 すると程なくして、立海の制服を着た軍団がやってくる。きっとあれが立海テニス部のメンバーなのだろう。 「おはようございます。」 撫子は営業スマイルで挨拶。 第一印象は大切だ。 「フフフ…おはよう。」 美人さんだなぁ…。 滝にも負けない美人さんを筆頭に諸々が挨拶をする。 「そんな、美人さんだなんて照れるよ。」 何故心の声が!?…まさか滝二号? 「さっきから滝って名前がよく出てくるね、紹介してくれる?仲良く慣れそうだから。」 「(心を閉ざしたい。)………はい。あ、申し遅れました。私テニス部マネージャーをしております。椿崎撫子と申します。」 「ご丁寧にどうも。俺は立海テニス部部長の幸村精市です。でこっちの帽子は副部長の真田弦一郎で後は平部員以下略。」 「…はぁ……あれ?人少なくありません?私は8人だと聞きましたけど…。」 幸村君に真田君。 糸目のでかい人に、ハゲ…ハゲ!?赤毛、眼鏡……。 うん、やっぱり足りない。 「あぁ、二人は遅刻だよ。いつものことなんだ。」 「まったく、たるんどる!」 「迷惑な二人なんですね。」 「そうなんだ…近々締め上げることにするよ。それで、案内してくれるかな?」 ニコッと笑う幸村を恐ろしく感じた。 「ハイ、案内サセテイタダキマス…。」 撫子が立海レギュラー陣をコートまで案内をする。 「ではここの部室を使って下さい。」 「わざわざありがとうございます。椿崎さん。」 部室の扉を開け、ドアマンの様に皆が入っていくのを見送る撫子に一番最後に入室した眼鏡にお礼を言われてしまった。 なんとも社交的な紳士であること。 「いえいえ、仕事だったんで。えー…。」 「柳生比呂士と言います。」 「柳生君。では着替えていて下さい、また部員か私が迎えにきます。私はこれから後二人を門の所で待ちますので。」 撫子はとりあえず跡部の元へ行った。 二人遅刻しているという情報を跡部の耳に入れておく必要があったからだ。 「跡部ー?二人ほど遅刻しているようでー、他の人はもう部室に通したよ。」 「そうか、残り二人を迎えに門の所に行け。」 「イエス、ユアハイネス。」 門の所で待つ。 待ち始めて十分程度経過した頃二人、立海の制服が見える。 きっとあの人たちが遅刻魔なのだろう。 ひとりは黒い天パで、ひとりは銀髪。 銀髪? 撫子の脳裏には昔の忌々しい記憶が蘇ってきた。 何故なら撫子がテニスを嫌いになった原因。いざこざの原因が銀髪の男子によって引き起こされたからだ。 二度と忘れない。 その男子の名前は、 仁王雅治。 黒天パと銀髪が近付いてくる。 銀髪の男子の顔がはっきり見える。確信した。 銀髪男子は仁王雅治だと。 「仁王雅治!?」 「は?…ッ椿崎!?」 仁王も驚いたように撫子の名を呼ぶ。 「ちーっす!って二人とも知り合いなんスか?」 赤也が挨拶をし、質問している間に撫子は速攻で脱兎。 仁王は驚いたまま固まって動かない。 「なんで、なんであいつがこんなところに居るんじゃ?は?…はァ?」 「あの…仁王先輩?椿崎って人行っちゃいましたよ?」 「ッ…ちょっ待ちんしゃい!」 意識を戻した瞬間仁王は走り出す。 「仁王先輩待って下さいよ!」 赤也も続けて走り出す。 |
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