青春Destroy | ナノ


302


「今日はウォークラリー日和だね。じゃ、張り切って行こうか。」

「「「イエッサー!」」」

朝から新たに組まれたチームで集まってそこからバラバラに行動していった。本当に山の学習や自然教室とか山で行うようなウォークラリーをスキー板を履いて行うといったモノだ。
立海氷帝、それぞれ集まって自己紹介を行ってそれから地図と方位磁石を受けとっていざリフトに乗って雪山の頂上へ。歩いてみて分かるのだが、平坦な道が続くととても辛い。腕の力だけで前進しなければならないからだ。幸いなことにほぼ頂上から下に向かっていくルートにはなっているので登り道は無い。よかったよかった。

「…ただのウォークラリーより…きつい……!」

「なんじゃ、椿崎もうばてたんか。」

「バーカ。私がばてるより先に岳人がばてるっつーの!」

「なッ!?クソクソ!俺はそう簡単にはばてねぇぞ!」

「フハ!ばててもいいのよ!忍足に背負ってもらうから!それを写メるから!」

「あ?撫子、俺はそんなことせぇへんで。俺かて自分の事でいっぱいいっぱいや。」

「そこは男気見せようぜ。しっかしあれだね。立海チームはいつもより大人しい感じがするのは私だけかね。昨日の雪合戦の時も思ったのだが。」

「あぁ、それはきっと赤也が居ないからだろう。」

確かに何かヤンチャをすると言ったら赤也が筆頭に行っているイメージである。それから面白がって乗っかるのが仁王とブン太。今回は三年生がスキー教室に参加と言う事なので今赤也は一人寂しく学校生活を送っているのだろう。まぁコミュ障ではないから寂しくはないか。

「赤也君…そっか、二年生だもんね……。そう言えば、宍戸、よく二日間耐えたな。」

「は?」

「だって、鳳と二日も会えなんだなんて辛かっただろう!泣いてもいいんだ、ぜ!」

「激ダサ!そんなこと思う訳ねーだろ!大体長太郎と俺を二個一にすんな!」

「あ?昨日、無様に転んで長太郎と叫びそうになったのは何処のどいつだ?お前だよ!」

「ぐっ…。」

「はい論破。」

「ねぇ椿崎さん、疲れたとか言いながら喋りまくってるのはなんでかな?余裕ってこと?もっときついルート通ってあげようか。」

「は!?精市君それは横暴と言うもの!」

「方位磁石と地図を持ってるのは俺と滝君だから!掌握してるんだよ。」

「そうそう、僕たちの気まぐれで通るルート決めちゃうよ。あ、幸村君この道通ってみない?ポイントが一番高いよ。そこのチェックポイント。」

「あ、本当だ。だったらそこ通っちゃおうか。」

「まぁ、ポイント高いってことはそれだけキツイってことなんだけどね。」

ウフフ、アハハととてもいい笑顔で二人が通る道の相談をしている。音声をオフで眺めていればとても微笑ましい場面なのだが、放している内容は鬼である。

「…マスター。なんであの二人が牛耳ってる訳?普通跡部がリーダーとして率先していくようなイメージがあるんだけど。」

「ふむ、簡単だ。跡部でさえもあの二人には勝てないという事だ。」

「…そうなの?跡部。」

「………………………………。」

勝てるとでも言いたかったのだろうか。しかしチラリと跡部が滝達を見た瞬間、二人が跡部に向かって笑みを浮かべた。そんな表情を見てしまったら勝てるだなんて戯言でも言う気がうせてしまうというもの。結果、跡部は押し黙った。

「…無言は肯定プギャー。」

「逆に聞くぞ椿崎。お前は勝てるのかよ。」

「ふ、愚問だな。勝つ負けるといった概念が滝と精市君と周助君に対しては無いだけだよ。」

「俺と同じじゃねーか!」

「違うもーん。私は無言を突き通してしまうようなチキンじゃないもーん。」

「あ゛ーん?誰がチキンだ誰が。」

「お前だ。お前。跡部景吾坊ちゃまだ。」

「テメェ…坊ちゃまとか言ってんじゃねーよ!」

「何言ってんのー。私知ってんだぜ?お前がアトベッキンガム宮殿の執事やメイド様達から坊ちゃまって言われてること!やーい坊ちゃまぁ!」

「名称を低俗な悪口に使ってんじゃねーぞ!」

「アラやだ。そう聞こえちゃいまして?フヒヒサーセン。」

「跡部、撫子。余裕そうだね。と言う事で、この道行ってみようか。」

跡部と撫子が会話に花を咲かしていた最中。滝が割り込んできた。そしてこの道と言われて視線を向けた先には人一人がようやく通れるぐらいの道幅しかない道があった。

「…………なにこれ怖い。」

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