青春Destroy | ナノ


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「じゃ、行ってみようか。」

「滝様!精市様!流石に異議を唱えさせてくださいまし!」

「だが断るー。で良いんだっけ?言ったでしょ?元気があるならこの先のきつい道を通って高ポイントを手に入れようって。」

「いやいやいや、これ一歩足を踏み外せば急な坂を滑り落ちて森の中に突入して遭難しそうなこの道。誰が通るんだよ!」

「撫子だよ撫子。まぁ、安心してよ。元々学校側がOKを出してる道だから。もし……なことがあっても損害賠償みたいな?慰謝料みたいな?そう言うのはがっぽり頂いておくから。」

「ちょっと待て、遭難するの前提?その発想に至る滝様が心底怖い。」

「さ、行ってみよー。」

うだうだ言ってんじゃねーよ。さっさと行けよ。と言いたげな滝がグイグイと撫子の背中を押してくる。

「ちょちょちょ待て話し合おう落ち着け話せばわかる。」

「話す事なんて無いよ。僕の言う事は正しいんだから。すべてに勝つ僕達は全て正しいんだよ。」

「略してすべすべ!滝様!さっきから赤司様の台詞強奪し過ぎ!私が発信源だけれど!率先して言ってるのは私だけれども!乱用するのは止めて!ときめくから!」

「ときめくんかい!撫子、自分歪みないなぁ!」

「黙れよ忍足!威圧感のある方が目の前に君臨し、その上同じセリフを吐いてるんだぞ!キセキ達がこんな威圧感のある台詞を毎回受けていたと思うと同じ立場に立てれてトゥンクしてるんだよ!私GJ!つかこの状況に限っては男のお前先頭行けし!」

「ありがとうございます。丁重に断らせていただきます。やで。」

「テメェエエエエエエエエ!!マジ天使のセリフ吐いてんじゃねーぞぉ!烏滸がましい!お前なんて妖怪のセリフでも言ってろよぉ!モッサイ髪に眼鏡、関西人。胡散臭い。ホラぴったり。」

「ホンマやで…俺、自分が二次元に行けた思うてテンションあがった。」

「だよな。しかも声が奥州筆頭だぜ?ホントチート。」

「撫子。グダグダ言ってないで行けよ。」

「ハーイ、滝様の言う事はゼーッタイ!」

グダグダと話して軽やかに回避、と思っていたのだが流石滝、華麗に妨害して下さった。これ以上の抵抗は逆効果だと思った撫子は細い道を滑り始めた。
撫子を先頭に跡部、真田、幸村、滝と言う風に道に沿って一列になって行進なう。

「おい椿崎、もっと早くいけねーのかよ。日が暮れちまうぜ。」

「黙れ跡部。先頭の怖さ思い知るかコラ。命綱もねーのにスィーっと滑れるものか!こちとら生まれて初めてスキーやってんだよ!昨日が初体験だったんだよ!それにしても私上手くね!?」

「知るか。先頭に立ってんなら後ろの奴らを引っ張っていかねーといけねーのに、押されてどうすんだよ。」

「どうもこうもねぇよ!怖いつってんだろうが!」

「黙って早くいけよ!後ろがつっかえてさっきから真田のスキー板が俺様のスキー板にぶつかってウゼェんだよ!」

始めからそう言おう。跡部。確かに後ろからド突かれていたら文句も言いたくなるよね。そう言ってくれれば謝罪した上でスピードアップしてやると言うのに。

「え?そうなの?真田君ごめんねー?もうちょっと頑張ってスィーって滑るねー。」

勿論謝罪は真田に対してだけれどな。

「うむ。頼んだ。」

「頼まれましたよー。」

撫子は宣言通りスピードをちょっとあげた。

「おい。おい。俺様の意見は頑なにシカトか。」

「あら、シカトなんて言葉お坊ちゃまも知っていたの。撫子ちゃんビックリー。」

「お前は人を茶化さねーと生きていけねーのか!」

「よく分ったな。実はそうなんだ。私は茶化さないと死んでしまうで症に罹患しているのだよ。」

「…そうか。」

「そこはツッコミが欲しかったかな。」

そして撫子が跡部に絶望している最中、事件が起こった。具体的に言うならば、幸村が真田にぶつかり、玉突き事故を起こしたのだ。

「あ、真田ごめあ。」
「む、かまわなぁあああああああああ!?」
「うお!?掴む…ッ!」
「え、ちょテメぎゃぁああああああああああああああああああああああ!?」

一番危惧していたことが起きてしまった。早い話追突事故からの転落事故。真田が前に居た跡部を掴み、そして跡部は前に居た撫子を掴んで三人が落下。一瞬の出来事でした。生き残った皆の顔はとてもポカンとしている。状況把握が追いついていないようだ。

「………もしかして俺のせい?」

「もしかしなくても精市、お前が事の発端だ。」

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