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ダッシュで旗に向かう四人。しまった!と言う表情を氷帝側は浮かべるかと思ったのだが、逆にしたり顔をしていた。 「かかった!皆やれ!」 「「「食らえぇえ!」」」 どうせ即席で作られた雪玉だろう、当たったところで攻撃力は弱いはず。臆さず突進してきたのだが、その勇敢さが仇となった。 「「「グハッ!?」」」 それぞれ雪玉が急所にぶち当たり、四人は沈んだ。たった一個しかあたっていないというのに。 「アーン!?審判!そいつらの作った雪玉、石でも入ってんじゃねーのか!?」 そんな疑惑が持ち上がった。 「んー…タイムタイム。」 滝がタイムをとって氷帝ゾーンに近寄る。 「ねぇ、それ石入ってるの?」 「いやいや、古典的に雪を溶かしながら新たに雪をくっつけてさらに溶かしての技法。『無限ループって怖くね?弾丸』だぜ!」 撫子の手に握られている弾を滝は回収して、マジマジと観察。少し力を入れて崩壊させてみようにも、壊れないほど頑丈である。 「これを作る為に一回目の戦力は撫子さん一人だけだったんだ。」 「子供体温の岳人が頑張ってくれたんや。」 「頑張ったけど流石に手イテェ。侑士、背中に手ぇ突っ込んでもいいか?」 「重々お断りさせていただきます。とりあえず手袋して手ぇをブラブラさせとき。」 「ほーい。」 「まぁ、雪だけだから…セーフかな。」 「異議ありじゃ!それもう氷じゃろ!元雪じゃろ!そんなんおk出したら死人が出るぜよ!」 「仁王、滝君と俺の言う事は?」 「…ぜ、絶対なり……。」 審判の判断にケチをつけた仁王だったが綺麗にかわされた。 「やっほぉお!一気に四人脱落したな!跡部ザマァ!」 「ク…こっちはあと俺様と柳生だけか…。向こうは椿崎に忍足に岳人に柳、か…チッ。」 「跡部君。どうしたいですか。このままでは戦力の差だけで負けるというのにあちらには柳君も居ます。」 「何が言いたい。」 「私は、足掻くなどと言う行為はしたくありません。と言う訳で審判、私棄権します。」 「うわ!?紳士の華麗なる裏切り!」 「「うん、いいよ!」」 対した理由も無いため却下すると思ったのだか、簡単にさらにとてもいい笑顔で許可を出した幸村と滝。 「テメェらぁあ!」 「跡部君。これが勝負というもの。ではアデュー。」 柳生は軽やかに審判をしている二人の隣へと移動した。待機場所である。そして立海チームには氷帝の跡部だけが残った。とてもなんだか、何とも言えない空気である。 「「「………………………。」」」 「…跡部、棄権してくれないかね。流石に私弱い者いじめはしたくないのだが。」 「アーン?俺様は弱者じゃねぇ。最後まで俺様は倒れねぇ!」 もう守るモノは無い。後にも引けない。と言う事で特攻をしかけてきた。両手に4つ雪玉を携えて、だ。 「く、これが王者。…その勇気、感服に値する。が、私は負けねぇえええ!」 「ハッ、てめぇが俺様に勝つだぁ!?100年早ぇんだよ!」 「勝てねぇくらいが丁度いいんだよぉお!私と言う壁を越えてゆけ!」 「バーカ!テメェなんか板だ!」 「はーい、試合終了ー、勝者氷帝チーム。」 「「っしゃぁあああ!」」 「…は?」 突如言い放たれたゲームセットコール。なんで?、跡部はその疑問でいっぱいになった。 「だってこのゲームの勝利条件。真ん中の旗をとったらだよ?ほら、宍戸が取ったから終り。」 そう言いながら旗を手にしている宍戸を指をさす滝。宍戸はドヤ顔をしている。 「跡部ー!激ダサだぜ!」 「ふ、ミスディレクションオーバーフロー的な?私以外のメンツ、消えるよ…。」 「目の前しか見えへんってこういう事を言うんやな。」 「愚かなり跡部。始めから撫子さんの味方をしていればそのような展開にならないで済んだのにな。」 それぞれ、跡部をザマァ扱いをしてこの雪合戦は幕を閉じた。今日の跡部は踏んだり蹴ったりである。 「じゃ、立海チームはかまくらを完成させてね?あと30分で。」 幸村の一言で立海チームの屍は起き上がり作業を開始。氷帝チームはそれまで気楽に待機である。 |
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