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お約束通り、色んな人を誘って巨大かまくらの作成開始である。 「粉雪じゃなくてよかったな。」 「そうだねー。」 ロッジからそりを借りてそれを雪運び機に利用。それから一か所に集めながら圧縮。積み上げて積み上げて、やっと山になった。が、結構大きいものを作り始めてしまったために、疲労は半端ない事になった。これから中を掘っていかないといけないのか? 「…俺、もう疲れたなり。」 疲労を一番に表した仁王。 「仁王、脱線は許さねー。」 その嘆いている仁王の近くで作業していたブン太がピシャリと厳しい言葉を言った。 「疲れたなりー、疲れたなりー、もう色んな意味で帰りたいぜよー。」 「仁王…だったらなんで来たんだよ…休憩でもしてくれば良かっただろぃ。」 「何となくじゃ。グェ、ッピョォオオオオ!?」 襟を引っ張られて首が閉まったと思ったら、次の瞬間に背筋が大変冷たくなったようだ。ビッタンビッタンと浜に打ち上げられた魚の様に跳ね回る仁王。 「うわ、仁王マジで気付かなかったわけ!?無様すぎんだろぃ!」 「丸井君さっすが!気を逸らしてくれてありがとう!って言うかナイス俺のミスディレクション?」 どうやら仁王の背中に大量の雪を突っ込んだ犯人は撫子の様だ。協力してくれた丸井とハイタッチなう。 「いやこっちも仁王の態度にはイラッとしてたとこだから丁度良かったぜ。始め片手に山盛りに雪持って何してんだって思ったが、協力してよかったぜ。ナイスだぜ椿崎!」 「………犯人はおまんか…椿崎ッ…!」 背中に入れられた雪を排出し終わった仁王は撫子を睨みつけながらゆらりと立った。 「出来心…だったんですッ…俺は、俺は、本当にやるつもりなかった。けど、あの男がッ!」 「椿崎、お前だけのせいじゃねぇ…探偵。犯人扱いするなら俺だって共犯だ。逮捕するなら俺も!」 「丸井君ッ違うんです刑事さん!俺が、俺だけが犯人なんです!」 「そんな茶番されて気がまぎれるとでも思ったんかぁあ!ブピッ!?」 今度は後頭部に雪玉がぶち当たった。衝撃で膝から崩れ落ちてリアルorzである。撫子とブン太で気を逸らしていたようだ。二度もひっかかった仁王乙である。 「「ぎゃーはっはっはっはっは!ナイスジロー(君)!」」 「丸井君に褒められちゃったC!嬉C!」 「いい加減にせぇよこらぁああ!」 「うわ、仁王がブチギレた!」 「丸井君、ジロー、雪玉構え!」 「「おお!」」 雪を握りしめながら仁王は再び立ち上がった。手に武器を持っているため、こちらも準備である。 ここにプチ雪合戦の開始である。しかし三対一、仁王死亡フラグしか立っていない。 「この勝負、待ったー。待った、待ったー。」 「「「!?」」」 幸村が間の抜けた声で待ったと乱入。絶対王政の作用かな、咄嗟の一言だったのに動きがピターっと止まった(ジロー以外)。 「かまくらはまだ完成してないのに何で別の遊びをしているのかな?」 「……すみませんでした。」 「言いだしっぺは椿崎さんだと思ったんだけど?」 「すみませんでした。」 「でも雪合戦したいって気持ちは分からなくもないよ。」 「ご理解ありがとうございます。」 「と言う訳で、雪合戦、皆を巻き込んでやっちゃおうか。」 「「「イエッサー!」」」 とてもいい笑顔で言ってきたため、なんでやねんとツッコむことは出来なかった。しかし、怒られないで済んだのだから儲けものである。 |
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