286 |
そして次の日、舞台の準備をしている氷帝テニス部メンバー。そこに様子を覗きに来た四天メンバー。 「アーン?なんだお前ら来たのか。」 「ぁあ!?跡部クンがなんでKAITOの服を着とるんや!?撫子さんとちゃうんか!?」 そう、白石達が一番に出会った人。即ち跡部が昨日撫子が着ていた服を着ていたのだ。 「昨日のあれは椿崎が着たい着たいうるせぇから着さしたんだよ。椿崎はサンドリヨンだ。」 「「なん、だと!?」」 「跡部ー!役交換しtギャァアアア!蔵さんと光君が居るぅう!?まだ役になりきってないからこっち見んといてぇえ!」 奥から黒いドレスを纏った撫子が跡部に用事があったようでこちらに来たのだが、まさか白石達が居るとは予想外でしたよ。思わず叫んでしまった。 「「撫子さん萌えええ!」」 「萌えないでぇえ!」 「うるせぇ…白石と二年、観客席に帰れ。」 「えー、跡部クンいけず言わんといてや。」 「バーカ、こいつは腐っても主役なんだよ。とちられたらテニス部の恥だ。安定させとけ。」 「グホっ!デレや、デレやで!跡部クン、ネタをありがとうな!これでもっと泥沼化や!」 「部長の着地地点が分かりませんわ。」 白石は一頻り興奮して観客席へ戻った。財前も後を追いかけるように。 「おい椿崎。アイツ等帰ったぜ?」 「…不完全見られた、鬱だ死のう。」 角の方で体育座りなう。そんな無様な姿を見て、跡部は嘲笑した。いつもなら撫子は過剰反応して喧嘩に発展するのだが、今はそんな気分にすらならないらしい。撫子はずっと膝を抱えている。跡部はそんな様子を見かねて、一言言い放った。 「……――テメェの実力はその程度だったのか?シンデレラ。」 「―――私が、その程度?バカなこと言わないで、私を誰だと思ってるの?みんなが恐れるサンドリヨンよ?」 その一言で、撫子は立ち上がり、跡部に向かって胸を張った。そして堂々とした目つきを跡部に向け、衣装を靡かせながらステージの方へと歩いて行った。撫子を奮い立たせることに成功。このまま本番まで突っ走る。 「ここれから始まる劇、テニス部が物語るステージ、『サンドリヨン』はシンデレラを現実的に解釈した物語。何故、魔法使いはシンデレラと言う少女に豪華な服を着せてお城に送り込んで王子と引き合わせたのでしょう?何故、そんなことを必要としたのでしょう。何か理由があったのでしょうか?この物語が織りなす人と人の関わり、シンデレラとは、そして愛とは?皆々様、それではご覧ください。」 ナレーションが流れブザーが体育館内に響き渡る。ざわついていた空間が誰かの呼吸音も聞こえてしまうのではないかと言う位静まった。それからステージを隠していた幕がゆっくりと開かれる。 |
<< TOP >> |