青春Destroy | ナノ


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一次審査の審査が終了。
勿論撫子は通った。そして19番の子も。僅差ではあったが撫子の方が獲得票は多かったようだ。

「次は二次審査!内容はカップル審査!!テーマを決めて自分達に勝るカップルが居ないことを証明して下さい。ちなみに今回の参加者はみんな彼氏が居ないようなので彼氏役はそれぞれ代わり的な人です。」

そんな事まで言わなくても良いじゃないか司会者よ。

「さて、こんな事に付き合わせちゃってごめんねー樺地ー。」

「いえ、大丈夫です…。でも…何故、自分を選んだんですか。」

撫子が彼氏役として選んだ相手は樺地だったようだ。

「んー?身長差も欲しかったし、後は樺地みたいながたいも欲しかったんだよぅ!ウホ、いい男!なんつって。」

「でも自分は、イケメンでは…ない、です。」

樺地が自分はイケメンではないと言い出した。気にしなくてもいいじゃない。と思うがそうはいかないのが氷帝ミスコン。この審査では彼氏役のイケメン度も審査対象なのである。樺地は足を引っ張ってしまうのは嫌だと、訴えてきたのである。

「フッ樺地よ。君は十分魅力的なんだぜ。跡部の隣に居るから霞んで見えるだけで、だからついでに証明してやろうや。」

撫子が意気込んで自分のメイク道具から様々な大きさの筆を取り出し六爪流のように指に挟んだ。

「…ウス。」

メイクする事数十分。完了である。

「ふぅ…俺、天才!後はウィッグつけて整えてーっと、完成!」

「………流石、です。椿崎先輩…。」

「ウフフフー、じゃ樺地、他の奴ら驚かしに行こうぜ!」

「…ウス。」

撫子出番である。袖に待機、それから司会が紹介をする。

「次はエントリーナンバー18番!彼氏役は二年の樺地宗弘です!」

樺地だと分かると在校生がザワザワと騒ぐ。そのざわめきも嘲笑が混ざる。

いてこましたろか。

そう言えば一部からはとてつもない殺気を感じたとか感じなかったとか。エクスタ殺気だとかピアス殺気だとかチビ殺気だとかドタバタ殺気だとか、まぁ、気のせい気のせい。

「樺地よ、アイツら驚くから見とけよ。」

「ウス…。」

樺地の腕に自分の腕を絡ませてステージ上に登場。瞬間ざわめきが止まる。その時の心は一つになっただろう。「え、コイツ誰?」と。それもそのはず。あか抜けていなかった樺地だったのに、今はあか抜けている。あか抜けまくっている。

「え…っと、このカップルのテーマは肉食女子とロールキャベツ男子です。」

撫子の格好は適度に攻撃的な。樺地は清潔さを保ちながらも、どこか肉食っぽい。
素敵に表現されている。二人の身長が高いこともあって、存在感がすごい。そして先程嘲笑していた奴らは樺地に対して100%の敗北感を味わっただろう。ざまぁ。

「す、素敵なカップルでしたね。次は、19番です。彼氏役は…跡部景吾です!?」

「なんだって!?」

舞台袖に引っ込んだ撫子は思わず叫ぶ。勿論叫んだのは撫子だけではない。全員が叫んだ。今までも毎年、ミスコンはあった。このカップル審査もあった。今までに幾度となく彼氏役を頼まれた跡部だったが断り続けていたというのに、何と言うテロなのだ。

「あ、跡部が…なん、だと!?」

19番の子も出番が終わって戻ってきた。

「お姉様、私、本気ですからね。あぁ、ありがとう跡部。」

「いや、別にいい…樺地、行くぞ。」

「ウス。」

跡部は樺地を撫子から回収して去っていった。去り際に含み笑いを浮かべていたが、なんだ。

二次審査も終了。
最終審査には5人参加できるのだが、その中の二人、撫子と19番のこの票は他の三人の票を圧倒していた。しかし詳しく述べると今回は撫子が負けた。げに恐ろしきかな、跡部票。

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