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「お、おぉ…。」 巨大迷路でありお化け屋敷である。そう言う恐怖を撫子は恐怖を味わうことになった。まず、人間が特殊メイクをしているのだ。流石氷帝文化祭と言うべきなのか、金のかけ方がヤバい。誰が庶民的だ。誰が文化祭だ。これは既に文化祭の域を超えている。恐怖からさっさと出て行きたいのに迷路だから行き止まりに突き当たったりしてしまう。その時の恐怖と言ったら…。日吉も日吉で案内してやるとか言いながら撫子の反応を楽しむ為なのか、案内してくれなかった。 そして出口。撫子は力を完全に抜いてへたり込んだ。 「…庶民的って言ってすみませんでした。ハイクオリティー過ぎて魑魅魍魎が跳梁跋扈……。」 「フッ下克上だ!」 上から見下ろす日吉。いつも身長差の関係で同等の目線だが今回は完璧に見下ろせる。ある意味で勝った気分である。 「ちげーからな!このド鬼畜!!お前にビビったんじゃねーし!お前にはかなりの勢いで萌えてんだよぉ!今気付いたけどよ、お前のその浴衣の裾から見えてる足首が異様にエロいんだよ!新訳紅桜の高杉か!もう一度言う、エロいんだよ!舐め回しても良いですか!?」 「気持ち悪いです。」 「残念ながらその悪態でさえ御馳走様だからな!ウヘヘprpr。」 「土に還って下さい。」 「やだね!帰るなら天子様の母胎に帰ってやんよ!さっきのブースに居たけど屍人?目から血ィ流してるやつ。よく思いたったな!ただのゾンビより怖ぇ!蜘蛛屍人役の男子パネェ!」 屍人と撫子が言った瞬間日吉が驚いた顔をした。 「え?先輩、サイレン知ってるんですか?」 「え?日吉、サイレン知ってるの?どうあがいても絶望。呼吸をするだけでも恐怖ってやつですよね?」 日吉の口からホラーゲームのタイトルが紡がれた。 「はい、サイレン2では忍足先輩にそっくりの声が聞こえてる奴です。」 「あぁ、日吉にもそう聞こえるんだ。」 「耳に付くんですよ。あのねっとりとした声。」 「確かに…って言うか日吉ゲームするんだね。」 「はい、ホラーゲーム…特に日本雰囲気のモノは結構持っているつもりです。」 「へー!意外だ。他には?」 「トワイライトシンドロームは全て制覇しました。」 「おー…隠れた名作ではないか!だがしかし究明編の大吉コンプリートの末のあのIF物語だけは認めない!」 「それは同意します。…今はコーリングと言うゲームをやってみたいです。それからイケニエノヨルニを、」 なん…だと!?笑顔動画でたくさんの実況者が手を出しているゲームを、だと!?なればこれは日吉を巻き込むべきではないか? 「日吉、私そのゲームカンパするから一緒にしないか?」 「は?一人用ですよねそれ。」 「いや…コーリングは一人だけどイケニエノヨルニは二人でもいけるんだ!頼む!」 「まぁ…断る理由はないので良いですけど。」 「マジか!グラッツェ!」 詳しい内容は伝えずに撫子は日吉をこっそりと笑顔デビューさせることを計画した。あ、赤也君も誘ってみよう。 一通り知り合いのクラスには顔を出したと思われる。気付けば12時辺り、一度クラスに戻ることにした。自分のクラスに戻ってみると何だがざわめいついている。黄色いものではない、雰囲気を述べるなら戸惑っていると言った方が良い。 何事だと撫子がギャラリーをかき分けてクラスに入る。そうすれば忍足がこちらに気が付いたようでこっそり早歩きでやってきた。 「忍足さん、何があったんですか。何があっているんですか。」 「どうもこうもないで!山吹中の亜久津っちゅー奴が撫子出せぇ言うてこっち睨んでくるし謙也らも来て白石と謙也のダブルパートナー君が一触即発や!」 「え゛?亜久津様と蔵さんと光君!?」 奥に目をやってみると三人が睨み合って緊張状態。さらにそれを見ている周りのクラスの男子がボソボソと何か相談している。 「あ、なんか物凄くいやな予感がする!」 これぱっと見不良同士のいざこざに見えるくない?まともに髪色の人居なくね。脱色にピアスって見るからにお不良様ですって主張してるよね。 |
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