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「…なんだこのダンボールの壁は?」 いつもは来ない二年教室あたりへ移動したら目の前にはダンボールの壁。通行止め、なのか? 「あ、椿崎先輩だ。」 「ん?鳳ではないか!これより先は通せんぼだぜ!」 コンコンと段ボールを叩いていたら後ろから鳳の登場である。残念だったな。ここから先は通さねぇ。とか、通せねぇ。 「はい、知ってますよ。この段ボールの壁は俺達のクラスがやったことなので…。」 「そうなの?なればこの壁は何ぞ?」 「俺達C組とF組は合同でお化け屋敷をやっているんです。」 「おお!なんか庶民的!」 「それでC組がお化け屋敷の通路の作成を担当して、F組がお化けを担当しているんです。」 「へー!協力してるとこが青春っぽくて良いね!」 「良かったら入ってみます?」 「え?ここから?」 「はい、正規ルートではないですけど…。」 「んー…でもきっとこの壁の反対側では長蛇の列なんでしょ?きっと。」 「はい!ざっと一時間待ちですかね?中は迷路で暗闇なのでよけいに時間がかってしまうんです。」 「はー…よく客達逃げないね。」 「はい、その辺は樺地のクラスが列の前で夏祭り風の夜店を開いていて注文があったらそこまで届けるサービスをしてますからね。」 「画期的すぎ!無駄がなさ過ぎて蔵さんに紹介したい!と言うわけで諦めるよ。二時間も待ってない私がチート入場だなんて…。」 「そうですか…残念です……お化け役やってる日吉は残念がるなぁ。椿崎先輩に色んな意味で下克上したいって言ってたから…。」 「ちょっと待て鳳、今なんて言った?」 「え?色んな意味で下克上…?」 「その前!」 「…お化け役やってる日吉?」 「鳳様、前言撤回します。私にチート入場の許可を!」 「いいですよ。」 軽やかに前言撤回。日吉がそんなに面白い格好をしているのなら見るしかないじゃない。そういうわけで撫子は鳳の後ろについて暗くなっている通路を進んでいく。 所どころ進んでいくと悲鳴が響き渡っている。悲鳴がハモっている。それを聞いていると二時間列んで損はないという物だと判断できる。 「ひゃっほい鳳様マジお釈迦様!」 「そんな、大袈裟ですよ。」 「いやいや、鳳様が誘ってくれなかったら日吉のお化け姿を拝めることが出来なかったのだから!」 「そう言うものですかね。」 「そう言うものですよ。」 「あ、日吉の待機場所はここですよ。」 話していたら日吉の待機場所に着いたようで指示される。そこは井戸があるだけで、まぁ予想はできるが…。 「で、ですね。聞いての通り悲鳴が大きいので自分のブースにお客さんが来ているのか分からないから、俺達はこんな装置を設置してみました。」 こそこそと話す。鳳は入口側の方へ歩いていって足下に設置されているその装置を指差す。 「なんだい?」 「赤外線です!これに引っかかったらお化けが待機している所のランプが点灯して合図になり、お化けが驚かしに出て来ます。」 鳳はワザと赤外線に引っかかってみせた。するとおどろおどろしいBGMが流れて更に井戸が赤くライトアップされる。そこから白い着物を着た日吉が這いずりながら此方へと近付いてきた。 「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁあ一枚足りないぃいぃぃぃぃ……。」 「…わー、日吉、意外にノリノリだねぇ。」 「流石日吉だね!」 「は、な…っ!?鳳と椿崎先輩!?」 |
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