青春Destroy | ナノ


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「あぁ、そうだ。俺様の企画はローズ関連の全てを網羅した!香水からクッキー、生花に致までな。俺様の為にあるような花だが、文化祭と言う祭りだ。庶民にも分けてやろうとな。」

「うわー、何でそんなに威張れんだー?ただバラを用意しただけなのに、ただクラスで用意しただけなのにー。後、跡部がバラの花瓶みたいになってるだけなのにー。」

「俺様が今日はバラの引き立て役になってやってんだ。」

「いや…残念ながら跡部本人のオーラがバラのオーラを凌駕しているのでダメだ。」

「ふん、椿崎にしては良いこと言うじゃねーか。礼だ、受け取れ。」

と跡部は胸ポケットにさしていたバラの大輪を撫子に投げ渡してきた。

「…ありがとう。」

「その衣装似合うじゃねーか。特注しただけあるな。」

「確かにな!」

「食いもん食って汚したりすんじゃねーぞ。」

「……子猫ちゃーん!バラのジャムがこれでもかって乗ってるクッキーあるぅ!?紅茶でもいいよー!?」

「キャーッお姉様ぁ!ありまーす!」

「おい。」

バラのクッキーをその時のテンションでお買い上げ。跡部から貰ったバラを自らの胸ポケットに差し込み、クッキーを食べ歩きなう。

「あ、撫子。」

滝がクラスから顔を出してきた。

「ん?滝だ。あー…そっかここで…。」

「そうそう、僕のクラスは雑貨屋…って言うよりもフリーマーケット?骨董品店、みたいな?」

確かに滝のクラスの出し物は各自の家から持ち出してきた物達を販売している。だからフリーマーケットと言う表記で合っているのだが、金持ちの学校が故に一つ一つが高そうなものである。よって骨董品店でも間違いではない。

「良かったら見ていきなよ。」

「おん、見ていくよ。」

ちょっとアンティーク調のレイアウトになっている滝のクラスへと足を進めた。これも宣伝の内だ。今の撫子の姿にはアンティークが似合うもん。

「っていうか滝のその店員の格好、女子の…?」

ちょっと可愛らしすぎるのではないか?

「え?僕専用だけど。」

「え?他の男子もこんな感じ?」

「僕だけが、僕だけのデザインだけど?」

「……………わー…シルバーの食器とか何?本当に持ち寄りなの?え、これ銀メッキ?」

「それは僕のクラスに対する挑戦かな?そんな庶民くさい物置いてるわけ無いでしょ。ホールマーク見てよ。」

そう言われて撫子はスプーンに施されている刻印に目をやってみた。

「え、…ライオン!?え、マジもん?パチもんじゃない…だと!?」

「そうだよ。撫子のくせにその刻印の知識はあったんだね。」

「フッ、伊達にオタクしてないよ。和柄、アンティーク、厨2チックはオタク三大デザインと言っても過言ではないのだよ。」

「ふーん、…今なら銀食器スプーン、ナイフ、フォークのセットあわせて1000円でいいよ。」

「うわ、いきなりセールトーク始めよった。1000円って安すぎないか?そんな値段で大丈夫か?」

「え?だったら10000円がいい?撫子には買うって言う選択肢しかないから。」

「買います!1000円で買わせていただきます!」

「うん、毎度あり。良かったね、これを使ってたら毒の混入がすぐ分かって死なないでも良くなるね。」

お買い上げの撫子。滝は撫子から札を受け取り展示されていた銀食器を簡単に包んで袋に入れてくれた。

「私、毒盛られる予定あんの!?」

「でも砒素は使わないから意味ないか。」

「冗談ですよね滝様!?」

「多分ね。じゃあ、ついでにこれをあげよう。」

そう言って滝は縦長の少し古ぼけているカードを袋の中につめた。

「何を入れたんだい?」

「僕が少し前まで使ってたタロットカードだよ。」

「なっ!?そんな曰く付きのまでこの店は置いていたのか!?」

「曰く付きってどういうことかな?僕が使ってた由緒正しい物だけど、文句ある?」

「いえいえ御座いませんとも!わー嬉しいな!滝様が少し前まで使っていたタロットカードをこの私に譲り受けてくださるなんて感無量でございますわ!」

「まぁ、僕が更に的中率の高いカードを買ったからこっちが要らなくなっただけだけどね。」

「大盤振舞の滝様素敵!」

「もうこれ以上はあげるもの無いよ。撫子も自分のクラスの宣伝頑張りなよ。」

「おう!そこそこ頑張るわ!」

「じゃあ明日の劇を死ぬ気で頑張ってくれるのかな?」

「もちばち!死にながら頑張りますわ!」

明日の決意表明も行って滝のクラスから脱出。
うむ、最高に素敵なアンティークショップだな。また滝様が店番でなさそうなときに来店しよう。あそこにあった懐中時計が気になった。手頃なお値段なら購入したい。

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