265 |
そんな感じでだべりながら校内闊歩。 どこに行っても人に囲まれてしまう白石に財前。 二人の人気が垣間見えた。 ぶっちゃけ撫子がうさぎの頭を脱がなかった理由は女の嫉妬が怖いからである。 着ぐるみを着ていたら中は誰だか分からないし、もしかしたら男子が入ってると勘違いしてくれるかもしれないから。 結果的に撫子の思惑通りに進んだ。 一回喫茶に戻ろうと言うことになって、帰った。 客は午前よりではないが、繁盛している。 裏に行ってみると奇抜な衣装に着替えている一氏と小春が居た。 「あら、おかえりー!」 「なんやもうそんな時間か。小春準備はええか?」 「OK牧場よん!」 「古いわ!」 「ユウ君のバカ!お笑いに賞味期限なんて無いんよ!」 「小春っ!なんてええ事言うんや!せや、お笑いは永遠なんや!」 「あるのは消費期限だけやで!」 「致命的やないか!」 「「どうもありがとうございました。」」 いきなり漫才が始まって、終了。とりあえず撫子は拍手を送った。 「わー…その格好なんなの?」 「ん?これはな、私らこれからステージで万歳の披露があるんよ。それの予行練習や。」 「去年まで俺と小春のコントがとりやったのに、今年は奴のせいで三連覇できへんかったわ!」 「…なんか……すみません。」 「別に撫子ちゃんのせいやないわよ。」 「小春君!」 「と言うわけで、撫子ちゃんお着替えしましょ?」 「へ?」 ガシッと両側から腕を女子に羽交い締めされてしまった。 「小春先輩、これっすわ。」 財前がこれ、と言って小春に手渡したものは木手作の撫子イメージ衣装。合宿最終日に財前にあげた記憶はあるのだが、何故今四天宝寺にあるのだ。 「はいな、確かに!」 「ちょっと待て、なんで今此処にある!?」 「それは模倣犯だって証明するときの証拠用として持って来たんすわ。」 「え、えー…それ別に着なくても私が歌えば一発じゃないか!」 「椿崎ー、中途半端は許さへんのやろぉ?ほれ、着ぃや。」 謙也の反撃である。ニヤニヤとした笑みを浮かべているので忍足侑士を思い出させる。 「あー!くっそ、忍足に言われてるて思うとテラムカつく!うわぁあ!蹴り上げてやろうと思ったのに着ぐるみの足上がらねぇ!」 「ざまぁみさらせ!」 「く、蔵さん助けて!」 「…すまん俺もグルや。」 「孔明の罠か!」 「あ、安心して下さい。その羽交い締めしとる奴らちゃんと女子なんで。」 「撫子様!憧れてます!いつも歌を聞かせてもらってますわ!」 「私達、笑顔動画で底辺歌い手をやってます!さっさとあの身の程知らずを懲らしめてやりましょう!」 「わーい!ありがとねー!でもこんな風に出会いたくなかった!」 「因みに撫子さんの右側の子が謙也を振った女子やでー。」 「マジでか!?子猫ちゃんある意味GJ!」 「じゃ、みんな出てって出てって女の子が着替えるんだからん。」 小春に促されて男子共は裏から追い出される。 「ちょっと待て、小春君も男子だろ!」 「あらやだ、二人っきりでお風呂に入った仲やないの!」 「「なんやて!?」」 過剰反応白石と財前。 「はーい、白石も光も自重しような。じゃあ椿崎、ごゆっくり。」 謙也がそれを制して連れ出すことに成功。 「うふ!撫子ちゃん覚悟しいや!」 「ちょ、待…アッー!」 |
<< TOP >> |