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見送られて三人は練り歩くことに。因みに謙也は撫子の写真攻撃でかなり精神疲労したようだ。銀と小石川に慰められていた。この光景ですら撫子と白石は食い扶持にするという。弱点の無い腐った奴らは恐ろしいわ。 「とりあえず、客引きは看板持って練り歩いとけば良いんだよね?」 「おん、別に懸命にならんでええよ。外を回っとるついでやもん。それより頭は取ろう思わんの?」 「え?うさぎが本体であってだな。中に誰も居ませんよ。」 「誠氏ねや。中に誰も居らのんやったら、脱げんか。」 「そう言うこと。」 「でも撫子さん、食いもんとかどうするんすか?」 四天王寺が大阪の学校というものがありクラスの模擬店にはたこ焼きが多い。しかもそのせいで客引きが大変で、味の大戦争である。その辺にあるたこ焼き屋よりも美味しいかもしれない事態だったりする。 「おお!良いことを聞いてくれた。私もさっき気付いたんだけどね、この着ぐるみの顎…ガコッと下に開くんですよね。彩雲国の黄鳳珠さん、みたいな?」 撫子が着ぐるみの中でうさぎの顎を下にガコッと開かせてみせた。 「うわ、グロ。あ、そこの女子。写真撮るんなら有料やで。」 雑談していたら女子の数人のグループにケータイを構えられていた。ただで撮らせまいと白石は頻繁に注意を行っていた。 「うわー蔵さん人気者ー。」 「そのまま拉致られてしまえばええんや。」 「白石君!」 また新しく声がかけられた。すると白石の鉄壁の営業スマイルが崩された。 「あ、撫子さんや!」 「ホンマや!白石君、撫子さんが来たで!」 「え?」 「チッ、このタイミングで来んなや。模倣犯が、」 財前もとても冷ややかな目をした。 「まさか…あの子猫が、私の名を語ってるコピーキャット?」 撫子が聞くとさらにブスゥとした顔をしながら財前は頷いた。白石とその女子との会話を暫く聞いてみるとする。 「もー、今は本名で呼んでやぁ恥ずかしいわぁ。」 「何言っとるん、自分めっちゃ凄い人なんやから誇り持ちねーや!」 「そう…だね!」 「じゃあ私ら行くわ。今日のプチライブ楽しみにしとるで!」 「うん!」 白石を初め囲んでいた女子達が去っていった。そして残るはコピーキャットと白石。白石はこちらを向いて助けを求めてきたが、撫子と財前は他人のフリなう。 「あのね、白石君…今日のライブ来てや。」 「……おん…行くつもりや。良かったらでええんやけど、舞台袖で見せてもらってもええやうか?財前もそうしたい言っとるんやけど…。」 「え?…ええよ!私初めて学校以外の人が居る前で歌うから…緊張ほぐしてな!」 「……おん。」 「私、準備かあるから行くわ!」 そしてコピーキャットも去る。白石はげっそりした顔で撫子と財前の元へ帰ってきた。 「撫子さん!なんで助けてくれんかったんや!?」 「え?撫子ってさっきの人でしょう?私椿崎さんだよ?」 「っすわ、椿崎さんすわ。」 「おまっ…ハァ……まぁ事情は分かったやろ?」 「おk把握。しっかし、私よりも目つき柔らかいし何?あのこの方が可愛いじゃん!しかも身長も169cmあたりじゃねーの!丁度いい感じじゃねーの!撫子の名譲ってやろうかなぁああああ!!」 「冗談言わんといて下さい!撫子さんは撫子さんっすわ!撫子さん以外撫子さんを出来るわけないすわ!」 「……光君…!」 「はい!」 「自分で言ってて謎だろ。」 「………はい…。」 「まー…それは冗談だって。しかし、あの子猫度胸あるわ。」 「度胸だけは認めたりますわ。やけど…撫子さんへの侮辱行為、身を持ってしれや。」 ハン、と鼻で笑い滝様御用達の黒い笑みを浮かべた財前。 「…蔵さん…、サディスティック星から来た王子が居るよ。」 「今の格好は姫や。」 |
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