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なるはずだった。 「おや?何故氷帝の生徒が学内に居るのですか?」 顧問のような人が撫子に話しかけてきた。 「えっと…南君には許可を頂きましたけど…。」 「感心しませんね、南君。何故見学を許可したのですか?偵察を許したのですか?」 「え?偵察?」 偵察は何の事だと、南がキョトンとした。 「そんなバカな!私は純粋に見学を、と言いますか私は引退した身でしてですね!」 「え、撫子さんって中学生…だったんですか?」 「もうそんな反応は見飽きたよ!千石君、皆には言わなかったのか!?」 「え、俺のせい!?俺だって一々ナンパした女の子をみんなに紹介してるわけじゃないし!」 「その情報が後輩に行くのではないですか?可能性は0なのですか?」 ネチネチとねちっこい粘着力抜群な語りで撫子は窮地に追い込まれる。 「っ…。」 0ではないと思う…多分絶対アンソロ書いて配布して布教活動をして、それがもしかしたらテニス部男子の手に渡るかもしれないし。…居辛い。 「南君、亜久津様、壇君、…千石君、今日は帰りますわ!!またいつか町などで!アスタラビスタァアア!」 撫子は逃げ出した。先生らしき人からの精神的攻撃には慣れませんな。 後ろからバイバイと言う声がちらほら聞こえて嬉しかった。あと亜久津の「ジジィ!テメェ!!」と言う叫び声が聞こえたが、耳にふたをして…聞こえない聞こえない。 山吹中から自宅へ。そもそもが布を買いに町に出ただけの話だったのにとても濃い一日だった。 「さって…と、型紙作るか。」 ハロウィンの衣装作りに取りかかる。久々に自分で作るものだから凝った物が出来そうだ。 |
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