青春Destroy | ナノ


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撫子に近づいた亜久津はケータイをおもむろに操作し始める。が、そこで撫子は異変に気づく。

「………ん?」

チラッと撫子が亜久津の画面を覗いたとき、待ち受けが…財前作詞作曲、木手衣装提供、手塚振付、柳生不二撮影と言う豪華なメンバーで作った動画のサムネが待ち受けになっていた。つまりは撫子が亜久津のケータイの待ち受けに存在していたのである。

しかも大昔、撫子が「【粘土】DQNっぽいブツ【作ってみた】」で作ったものが銀細工となって亜久津のストラップとなっていた。なんて素晴らしいクォリティーだこと…。
撫子が笑顔動画で銀細工を作ってみたで有名な人と言ったら白菜さん…だけどなぁ。白菜さんの動画の中で撫子をイメージしてペンダントトップを作ってみたって言う嬉し過ぎて撫子はそれを見てから一週間以上はウハウハしていたのも良い思い出だ。

「メ、メアド…教えてくれねぇか?」

撫子が再び現実逃避していたときに亜久津が話しかけてきたではないか。

「え、はい!はい!それで許しが頂けるなら!」

そしてメアドの交換。初対面での交換だなんてあまりしたくないが、これで助かるならお安い御用。

「………。」

撫子は交換した後、どう話しかけようか迷っていた。待ち受けが自分だった事実。もしかしたらこの人は仲間なのかもしれない!がしかし、違っていたときのリスクは高い。それにどう話しかければいいのだ。「オタクですか?」は無い「私のファンですか?」は痛すぎる。他…無い!つんだ!

「お待たせしましたです!さぁ亜久津先輩行きますですよ!ってあれ?まだ道具とか持って来て無いじゃないですか!」

壇がモンブランの確保を終えて戻ってきたようだ。亜久津に話しかけた、と言うよりも叫んだ。

「あぁ…待ってろ。」

亜久津は用意を自分の部屋に取りに行ったのか二階に上がっていった。しばらくしてラケットバックと共に降りてきた。それから握り拳を勢いよく撫子の目の前に突き出す。

「…手を出せ。」

「は、はい!」

一瞬殴られるかと思ったが、違ったようだ。撫子は言われたとおりに両手を受け皿のようにして出した。そしてその手の上に乗るのは、どう見ても白菜でしかなし得ないクォリティーの撫子をイメージしてネックレストップを作ってみたがあるではないか。

「…やる。」

「あー!撫子さん羨ましいです!」

「え、ちょっ亜久津君って白菜さん!?」

撫子が白菜さん!?と言った瞬間亜久津の目が見開かれた。

「すみませんすみませんすみません、間違えました。人違いでした。」

「…白菜の存在を知ってたなんてな……最高じゃねーの!」

「え…?え!?わー!白菜様!?本当に白菜様!?会えるなんてとても光栄です!」(ちょっと、いやかなり怖いけど!)

「壇、練習行くぞ。」

「はいです!」

「…撫子さん。も来ればいいぜ…?」

「え、あ…はい!行きます!」

撫子はここで役目終了だと思っていたのに、亜久津に誘われもう一度山吹中に向かうことになった。その道中、撫子はどうにか白菜様…いや亜久津君のイメージをちょっとでも和らげることを名目にし、妄想をする事にした。

はい、まずは基本スペックをあげていきましょう。
お不良様、銀髪、白ラン、多分ツンデレ、モンブラン好き。…うん、最高じゃねーの!お不良様ってところはブリーチの一護みたいに見た目が原因でってことで根は優しい子だと私は信じているよ。何よりツンデレってスペックがかなりの評価だよ。私に煙草の事聞いて私が好きくないって答えたときすぐに吸うの止めてくれたしね。それにモンブラン好きって所も可愛いじゃねーの!きっとあれだぜ?お不良様のなりしてるから自分では買いに行きづらいんだぜ?だからきっと壇君に任せてあるんだぜ?
ウハーッ、そう思えば一個も怖くないよ!同級生だし、何より白菜さんだし!白菜さんだし!白菜さんだし!
あ、山吹中に着いちゃった…千石君から隠れてぇ……具体的には白菜さんの背後に隠れてぇ…。よし、隠れるか。

「はk、亜久津君!」

「ぁあ?」

「背、背中にって言うか背後に隠れさせて下さい!」

「は?……いいけどよ…。」

「あざーす!いや、ありがとうございます!」

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