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千石を散々あしらって、その後檀について亜久津宅へ向かう。 「わー、随分とおっきな家だねぇ。」 「です!やっぱり亜久津先輩が居るって感じの家です!」 「へー、随分金持ちなイメージを抱かせる先輩なんだね…。」 檀と二人で玄関前に立って感想を言い合っていたら中から若い女の人が出てきた。 「あら、太一君どうしたの?」 「ダダダダーン!こんにちはです!」 「はい、こんにちは。どうしたの?…あぁ、今日は部活に顔を出す日なのね。仁をいつも迎えに来てくれてありがとう。」 「いえ!いつも指導をしてくれるので、どうってことないです!」 「あら、そう?仁ならリビングでテレビを見てたから……もしかして…貴女、撫子さん?」 撫子が不躾に、美人さんだなぁとか亜久津君のお姉さんかな、是非私のお姉さんになってくれませんか!?とか邪念を抱きながらジーっと見つめていたらいきなり名前を言い当てられた。 「え!?な、んで私の名前を!?」 「あぁ、貴女が仁の…。」 フフフと柔らかく笑みをこぼした。 「え、すみません亜久津君のお姉さん!どう言うことですか!?なんで本気で私の名前を!?」 「お姉さん?いやだ、私は仁の母親よ。」 「えっ!?なにそれ亜久津君マジ羨ましい!って話を逸らさないで下さい!」 「フフフ、私の口からだとちょっと…仁から直接聞いて?太一君に撫子さん。私これから買い物に行ってくるから、じゃあね。」 亜久津の母親は買い物に行くためにその場から離れた。 「はいです!お邪魔させていただくです!お姉さんは撫子さんって言うんですね!撫子さん、行きますですよ!」 「え、あ…うん。」 檀に連れられ家の中へ入っていく。中も広い広い。檀を先頭に歩いてリビングへ到着、壇はお目当ての先輩が居たようで声をかけた。 「亜久津先輩!迎えに来ましたです!」 「お、お邪魔しまッ!?」 撫子は思わず立ち止まるし言葉をぶっちぎった。 「ぁあ?」 だって目の前には銀髪のお不良様が居るんだもん。しかも喫煙なう。それに撫子が妄想していた人物像と遙かにかけ離れているのが原因だと思われる。撫子がビビっている中でも壇は亜久津に声をかけ続けていた。 「ちゃーんとモンブラン買ってきましたからね!撫子さんが最後の一つを買っていたんですが、譲ってもらっちゃいました!あ、撫子さんケーキかして下さい。モンブランだけ冷蔵庫に入れておきますから。亜久津先輩、この作業が終わったら学校に行くですから準備しておいてくださいです!」 「う、うん。」 壇は撫子からケーキを受け取ってキッチンへと移動。そして残されるは撫子と亜久津。亜久津も二文字を発したまま、撫子を視界に入れたまま微動だにしていない。タバコの灰が落ちそうである。 このままでは亜久津が座っている高そうなソファーに焦げ目が出来てしまう。そう思って撫子は死ぬ気を出して声をかけてみた。 唸れ!俺のティキンハート!! 「あ、の…タバコ…の灰が……。」 最後の方はもう声が消えかかっていた。残念、唸ることは出来なかった。 お不良様怖い…。チッDQNが!たばこ吸い過ぎて肺ガンになってしまえ! そう撫子が念じた瞬間に亜久津が吸っていたタバコをへし折って火を消した。そしてそのまま灰皿へ。 「…おい。」 「ヒィ!?ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、心の中で悪付いてさーせん。いや、実に申し訳ありませんでした。命だけは勘弁して下さい。」 腰を90°に曲げて謝罪。 「……煙草は嫌いか?」 「え、な……好きくないです…けど………。」 「…そうか……おい。」 「な、んでしょうか!?」 ゆっくりとソファーから立ち上がった亜久津。そしてゆっくりと撫子に近付いていく。身長170オーバーの撫子でも亜久津の威圧感は最強。確か千歳に似た様な感じで襲われかけた事ありますけど、知り合いでない+お不良様だったら抵抗するのマジ怖いわ。 あ、て言うよりも山吹ってよく考えれば白ラン?うっはテラ二次元。リアルに存在するとかスゲェ。しかし汚れが目立つ白ランだったら男子共は休み時間のプロレスごっこってどうするんだろう?アハハハハハハハハハハハハ。 分かり易い現実逃避である。 |
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