青春Destroy | ナノ


023


時間は遡り、宍戸と女子が校舎裏についたばかりの頃。宍戸と女子は少し言い争いしながらも宍戸がはっきり断ることによって言い争いに終止符が打たれた。

「……だーかーら、部活一筋でいてぇから俺お前と付き合うことできねぇ。」

部活にかける青春。さわやかに断って格好良く聞こえても最終的に後悔してしまう。断ち切り隊メンバー。

「……分かった。」

女子の方は下を向いて少々傷ついているようだ。

「そうか、なら俺もう部活行くわ。」

その場を後にしようとする宍戸。しかし、この場を去ることは出来なかった。何故なら後から出てきた女子二名により羽交い締めにされたからだ。

「あ?んだよ。」

「その二人、私の友達なの。」

「んなこと聞いてねぇよ。離せ!」

女子と密着する事が恥ずかしい14の春。

「宍戸君私と付き合う気無いんでしょ?」

「あぁ。」

「だったら代わりにキスして。」

「んな!?」

「ねぇ。良いでしょ?」

女子の腕が宍戸の首に回される。

(良いわけあるか!告白して断られたらキキっキキキキっキスしてって…ふつー付き合う気もねぇ奴とするもんなのか?脱出して逃げたい…女子を振り払うって男としてだめだよな。って近づいて来やがったぁ!?タンマタンマタンマ!激ダサ激ダサ激ダサァアァアァァ!!チョータロォオォオオォオオォォオォォ!!)


「――――。」
「―…―。」

羽交い締めにあっている後ろから話し声と足音がする。一瞬場の空気が凍る。その凍った場に忍足が一人の女子を姫抱きして登場した。

「ねぇ?侑士ぃ。」

甘ったるい声がする。しかし、凛とした芯の通った声。

「何や?」

「何でこんな所に来たの?人が来たら恥ずかしいわ。」

スラリとした指が忍足の喉元で遊ばれる。スラリとしているのは指だけでない、忍足に支えられている腕も足も。きっと体のラインも流れるような曲線を描いているに違いない。宍戸達の方から忍足に抱えられている女子の顔は確認できないがとても妖艶な雰囲気を醸し出している美人系女子だと想像される。
宍戸は見惚れていた。あんな生徒氷帝に居ただろうか。

「なんや、そんなん気にするんか、俺は逆に燃えると思うでぇ?」

忍足が耳元で囁く。

「ん、もうバカ…。」

女子は忍足の肩に頭を乗せる。メロメロなようだ。
その二人は周りに誰が居ようとお構いなしな空間を作り上げていた。宍戸を囲っていた女子達は二人を見てはいけないような雰囲気にあてられたのと。ただ、宍戸を襲っていた?現場を見られたくないが為に逃げていった。宍戸も女子の拘束から逃れたため逃げ出したかったが腰が抜けてしまい、動けなかった。

「……お、忍足…、やめッ。てか女子誰!?」

とりあえず知り合いのラブシーンなんて見たくない、宍戸は声をかける。

「フッフッフ、誰!?と言われたら。」

「答えてあげるのが世の情け。」

女子がなんだか不敵な笑いをして言葉を続けた。そして忍足はその言葉に合わせてその女子をゆっくりと地面へと降ろす。

「世界の破壊を防ぐ為。」

「世界の平和を守る為。」

「愛と真実の悪を貫く。」

「ラブリー・チャーミーな敵役。」

「撫子!」

「侑士!」

「銀河をかけるロケット団の二人には。」

「ホワイトホール 白い明日が待ってるぜ!」

「…………は?」

初期の言葉を借りて二人は格好よく宍戸に向かった。宍戸は呆然としている。

「おや?最新版がよかった?」

「宍戸ー、アカンで?俺ら初期世代やろ?流行りに乗っかっちゃアカンでぇ。」

「まぁ、なんだ。助けに来てあげたよー。お前の大嫌いな椿崎さんがねー。」

「フフッ…面白いものが見れたよ。」

遅れて滝の登場。肩をふるわせながら笑いをかみ殺しながら…かみ殺せてはいないが。
手にはさっき忍足に没収されたはずのカメラが構えられていた。抜かりのない滝様であった。

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