青春Destroy | ナノ


022


「これ、助けんでええん?」

「忍足やっさしー!いやだって私、宍戸にマネって認められてないし、なんか自分を嫌ってる奴助けるのってやだよ?」

もっともな意見である。わざわざ助ける義理はない。

「そう言わんとさ。」

「さっきまでちゅー羨ましいっつってたのはどこのどいつだ。」

「俺はもっと見ていたいかな。」

「ですよねー!」

「ねー。」

「滝は黙っとき!あとカメラやめぇ!」

カメラを奪い取る忍足。

「チッ、忍足覚えとけよ。」

「滝なんかキャラ違ってるで!?ほら撫子助け行こ!」

撫子の腕を掴む。

「えー、だるいー。いーじゃんちゅーの一つや二つ。」

やる気の無さは只今天下一品。今お前にやろう、俺のやる気のなさを。ごう打って売り出せるぐらいのやる気の無さだ。

「宍戸はファーストキスもまだな純情少年なんやで!」

「え!?何それ萌える!…つか何で知ってんの。」

にやけた顔の撫子が聞く。妄想スイッチオンだ。

「あ…しもた……あれやあれ、男ばっかだったらなそんな話題も話すんや。」

「ほーぅ、だったら他の人の経験も知ってんだ?岳人とかジローとか跡部とか?んで?嫉妬しちゃうんだ?」

「戻ってきー!」

「撫子、助けに行かなくても良いの?」

宍戸と女子のMK5(マジでキスする五秒前)

「行きませう!宍戸のファーストチッスは鳳に捧げて貰いたい!行くぞ忍足!」

今度は撫子が忍足の腕を引っ張る。

「どないして助けよ?」

撫子が女子を注意するとなったら荒波をたてるだけだ。

「あー、これ以上女子に嫌われたくないし…。あ!」

撫子は高い位置でポニーテールをして髪を束ねていたがそれを解き始めた。

「おぉ、なんか別人やんな…そんな髪長かったんか。」

「切りに行くの面倒くさくて……。で、あーメイクする時間はないから髪を前にして顔を隠そう。」

ぱっと見、撫子と分からない女子が出来上がった。というか根暗なそうな女子が。

「それで止めに行くの?はっきり言ってあの3人は反撃してくるよ。」

根暗そうな女子が言っても気の強そうな3人組は聞かないだろう。

「大丈夫大丈夫、私の演技でどうにかできる、私の演技力なめんな!」

コスをしている関係で演技もそれなりに勉強している。

「ならいいやでもその身長はどうする?」

撫子ほど大きい女子はそう居ない。

「…………どしよかな…。」

「あー!早よせんとくっつく!」

「忍足ぃ!」

「何やねん!」

「私を抱いて!今すぐにだ!」

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