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「ホラ時間がない。みんな講堂に行って着替えようか。」 「「「イエッサー!」」」 「越前君も桃城君も見に来てくれると嬉しいな?」 「あ、はい。勿論見に行くっすよぉ!」 「せ、精市君!私舞台袖に行っても良いかな!?」 「いいよ。けど正面から見た方が良いと思うけど…?」 「その辺は抜かりなく!…おい、桃尻。」 「…なんすか?」 「このデジカメと一眼レフはは君に預けよう。正面から撮って。」 「は、なんで!?」 「だめか?」 「……。」 可愛らしく眉を下げ困った顔をしているのだが、どうだろう。桃城はひきつった顔をした。OKとも嫌だとも言えない。 「いやか?」 二度目の問い。さっきよりもどす黒い何かが発せられたような気がした。 「はい!!やらせていただきます!」 「うむ、ならばよい!はい、これとこれ。」 撫子は鞄の中から撮影機材を取り出し、桃城に手渡した。 「つーか何個カメラ持ってんすか…。」 「ブらしたりしたらそのブレた回数だけ渾身の蹴りを食らわしてやる。散々使い倒してボロ雑巾の様に捨ててやるからそのつもりで。」 「なっ!?」 「さぁ!精市君、行こうか!」 「フフッそうだね。じゃ、二人とも楽しんでいってね?」 撫子は一時リョーマと別れ、幸村に付いて舞台袖へ移動。みんな衣装に身を包んでいる。柳生とブン太が意地悪な継母と姉役らしい。 「うわーぉ。柳生君が一瞬エスエメラルダに見えた。深緑っぽいドレスにして眉毛を剃ってみるつもりはないかい?」 「そこまで身ははれませんよ。第一化粧、その他いじることは禁止されてます。」 「なーに、堅いこと言ってんだよ。折角の文化祭で舞台だぜ?羽目外しても良いじゃねーか?」 「私は!…私は文化祭の後の心配をしているのです。剃ってしまっては今後の日常生活に支障が…。」 「冗談だって!そんな本気で考えなくても…でもさ、一回だけ!一回だけ『グレイス!マリア・マグダレーナとの蜜月も今日までと知れぇ!』って早口で言ってくれない!?」 「まぁ、その程度でしたら…『グレイス!マリア・マグダレーナとの蜜月も今日までと知れぇ!』…で宜しいでしょうか?」 「エスエメラルダお姉様!」 「ぃやぁーぎゅ、何椿崎の茶番につき合っとるんじゃ?」 撫子がなんちゃってエスエメラルダに萌えていたら仁王が茶色いローブを身に纏って柳生に絡んできた。 「あ?…何、その格好。魔法使い?」 「違うぜよ。謎のキノコ売りじゃ。」 「…怪しい雰囲気垂れ流してたら厨2になれると思ったら誤爆するぞ。むしろ誤爆しろ。」 「……プリ。」 「椿崎…この格好どう思う?」 ジャッカルが若干意気消沈な感じで問いかけてきた。ジャッカルの格好は馬で…。 「か、可愛いよ!もう女子(一部)に、バ カ ウ ケ だよ!」 馬とか…なんか卑猥。さぁ!ジャッカル君四つん這いになって、その上に丸井君、足を組んで座って下さい。そして蔑みながら「もっと請いなさい、この家畜共」って罵るシーンを一瞬で妄想してしまった私、乙。そしてごめんなさいでしたジャッカル君。 「ハハっそうか…ハァ。」 「さぁ、お喋りはここまで。もう本番だ…気合い入れていくよ。」 「「「イエッサー!」」」 さて、これより立海テニス部による、喜劇『シンデレラ』の開幕である。 「みんな、最高…赤也君マジ可愛い、マジで…シンデレラの役に綺麗にはまってるじゃん。赤也恐ろしい子!」 「赤也をシンデレラにしたのは正解だったな。」 舞台袖で劇を鑑賞している撫子。端から見たらストーカーの様だ。 「マ、マスター!?…その格好は執事服!麗しい…!」 そんなストーカーの様にステージをガン見していた撫子に柳が声をかけた。 「俺は王子に仕える執事役なんでな。」 「すげぇチョイ役にスゲェクオリティの衣装使うんだね。」 「そうだな。我々立海テニス部はどんなことにも手は抜かないぞ?」 「その教訓のおかげで大変萌えさせていただいてますよ。」 「しかし…精市もシンデレラを喜劇にしようなんて思ったな。グリム童話と言えばどす黒さで有名で喜劇にならないと思ったのだが…。」 「ですよねー、シンデレラつったら継母や姉は無理やりガラスの靴に足を入れようとして指斬滅みないにするのにね。」 「ふむ、血生臭いな。」 「俺に不可能なんて無いし、その血生臭さがいいんじゃないか。」 撫子と柳がしみじみと対談していると幸村が乱入。 「いや、ハァ…確かにあの血生臭さは楽しいですがね。」 「俺、初めは本当は怖かったシンデレラをするつもりだったんだよ?」 「ちょっ、それは勘弁!柳生君と丸井君がテラ可哀想!あの後鳩ポッポに目玉をほじくられるんだよ!?」 「だから止めてあげたんじゃん。」 「ワァ!とても優しいね!」 「フフッ当然だろ?」 「すまない撫子さん。俺の出番がきた、出てくる。」 柳の出番がきたようで、柳が撫子に一言。 |
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